『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第6巻

第5話 東京へ、三度目

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五月。

今年も東京へ向かった。

三度目の東京への転移。

今回は制限がない。

帰りたい時に帰れる。

でも今回は——アメリアとユーリを連れていった。

初めて異世界から来る訪問者として。

光が収まると、東京の深夜の路地だった。

アメリアが目を見開いた。

「……すごい。電灯がこんなに」

「魔法ではなく、電気です」

「全部、電気で光っているのか」とユーリが言った。

「そうです。この世界には魔法がない代わりに、電気があります」

「信じられない」

「慣れます」

三人で路地を歩いた。

「LUNA」の看板が見えた。

「ここです」とルーカスが言った。

「向こうのLUNAか」とユーリが言った。

「そうです」

「……小さい店だな」

「そうですか」

「でも——良い場所の気配がする」

「そうでしょう」

階段を降りた。

十三段。

扉を開けた。

清子がカウンターにいた。

「ルーカスさん!」と清子が言った。

「また来ました。今回は連れてきました」

清子がアメリアとユーリを見た。

「……こんばんは。初めまして」

「初めまして」とアメリアが言った。日本語で。

「日本語を話せるんですね」とルーカスが聞いた。

「ファビアンと練習しました。少しだけ」

「少しどころか、上手です」

「少しだけです」

ユーリは何も言わずに、店の中を見回していた。

本棚を見た。金木犀の鉢植えを見た。カウンターを見た。

「……良い場所だな」と、故郷の言葉で言った。

「そうでしょう」とルーカスが同じ言葉で返した。
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