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閑話
#1
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「……っ………」
ふと目に映ったゴブリンの首筋に手に持っていた鉄板を転移させて、処理する。
ただ、これで、手元の鉄板は全て使い切ってしまった。
「……すまない、周りの警戒を頼む」
「わかりました…」
仕方なく、となりの仲間に頼む。
流石にこれだけ大きな荷物を抱えていては、接近戦ではまともに戦えないだろうからな。
荷物、といっても、大切な親友だ。下手な扱いはできない……
それにしても……
「もう少し、早く会えていれば……」
もう少し時間的余裕があったなら、一度王都へ行って転移可能にしておけた。
とはいえ、今いっても完全に手遅れだ。
「どうしました?」
「……いや……それより、トルンまではあとどれくらいだ?」
「そうですね……あと、一日といったところでしょうか」
トルンは、セントラルから伸びる街道を南にまっすぐ行くとある都市だ。別に何かがあるわけじゃないが、逃げる準備をあまりしていなかったので、色々と買い揃えたい。
正直、防衛戦で負けるとは思っていなかった。勇者の一人一人の能力を過大評価していたというのもあるが……うまく、兵が動いていなかった気がするのだ。士気は高かった…だったらなぜ…
今考えても仕方がないので、周囲の警戒に専念する。
「帝国軍は進軍していない…おそらく、街道を通っても大丈夫だろう…」
「そうですね…森の中をずっと進むのは流石に体力的にも精神的にもキツイものがあります…」
俺たちは街道へ出て、トルンへと急いだ。
せめて、こいつが起きる前に、夜になってくれれば…
まあ、馬鹿ではないから…諦めてくれる…か?
––1日後––
トルンへと到着した…だが、門は閉まっている。
「…当たり前だよな…帝国軍がとなりの都市まで進軍してきているんだから…」
「どうします…? このままじゃ中に入れませんが…」
どうしたものか…南側の門に回るのもいいが…いや、見張りの兵に見つかると面倒なことになる。生憎ここにいる全員を見えなくする魔法を使える奴はいない…
…仕方ない。
「俺が、一人で中に転移して、安全な場所を確保してから戻るよ。そうすれば、みんなをそこに転移で連れて行ける」
「…すみません…いつも頼って…」
俺の支持を聞いてくれている彼…深山 海斗…は、かなり真面目な人間だ。彼の能力は、索敵などですでに役に立っていた。
「いや、適材適所というだろう。大丈夫。それでは、みんなの様子を見ていてくれないか…」
「はい。一巳さん、お気をつけて…」
俺は彼に背を向けると、目の前の壁の頂上直前に転移して、ぶら下がった。そして、視界に入る見張りはいないか確認してから、街のどこに転移するか確認する。
門の裏側は、市場だった。かなり大掛かりな壁だったため、喧騒は聞こえなかったようだ…
お上りさんみたいに呆けてる場合ではないことを思い出し、俺は大人数が泊まれそうな宿を探し始めた。
…だが、都合のいい宿がなかなか見つからない。
おそらく…
「戦争の影響、だな」
帝国方面へ一時的に行けなくなったために、商人やら冒険者やらが、現在の最前線に一番近い大都市であるこの街に集まっているのだろう。
…仕方ない…か。
俺は、治安の悪い低所得層の住む地域で探すことにした。
ここは、決してスラム街みたいに浮浪者が集まるような街ではないが、お世辞にも治安がいいとは言えない。ただでさえ戦時中で兵が不足するのだ。路地裏には物騒な人間が結構いる。
…多分俺でも、不意打ちで即死の攻撃を食らったら防げないだろう。流石に殺しては来ないだろうが、用心するに越したことはない。
–––30分後–––
なんとか、10人一緒に泊まる…というか、合計10人泊まれるだけの部屋は確保できた。いい宿とは言えないが、野宿よりはよっぽどいい。
俺は人気のない裏道に入ってから、みんなのところへと転移した。
街の外の森へ戻ると、俺は深山の姿を探した。みんなの疲労はかなりのものだろうし、なるべく早く休ませてやりたい。
「深山、戻ったぞ」
「あっ、おかえりなさい、一巳さん。みんなはあっちですよ」
「おう……このあと、全員一度に転移するから、そう伝えておいてくれ」
「うん……でも、体への負担とか、大丈夫なの?」
リアがみんなを転移させたときのことを思い出したのだろうか。
「いや、俺はスキルだから、体への負担はないよ。魔法の場合は、人数が増えるほどに体への負担はでかいらしいがな……」
「そうなんだ……あの子、大丈夫なのかな…」
やはり、心配なのだろう。
…だが、あいつが帝国の奴らに簡単に捕まるようにも思えない。あの容姿でこれまでやってきたなら、運もいい筈…だよな?
「みんな、これから一巳さんのスキルで街の中まで転移するから、移動の準備をしておいて」
深山の呼びかけに、勇者たちは動き出した。
もっとも、疲労故か返事はなかったが。
「それじゃ、全員触ってるな?」
俺は口に出してそれを確認する。全員が俺の手に触れていることを確認してから、俺はあらかじめ決めていな場所へとスキルを使用した。
「《転移》」
「それじゃあ、ここからは宿の部屋の中で好きに休んでいいぞ。代金は活動用の資金で払っておく。今後の説明は夕飯の時に行うから、その時はちゃんといるようにな。では、解散」
少しだけ、修学旅行の教師じみた説明を終えて、俺は自分の部屋へと入った。
この宿は、そこまで安いわけじゃないが、あまり治安の良くない地域の中ではかなりしっかりしたところだった。
そういう場所は空いていないと思っていたが、安全な宿はもっと治安のいい地区の宿に集まるそうで、この辺りで中所得層向けの値段ではあまり客が来ないのだという。
俺が、10人という人数を口に出した瞬間に、嬉しそうなオーラをガンガン醸し出し始めたオーナーがかなり印象的だった。
さて、この先どうしたものか…
と、夕飯の時間に説明する内容を考え始めた。
ふと目に映ったゴブリンの首筋に手に持っていた鉄板を転移させて、処理する。
ただ、これで、手元の鉄板は全て使い切ってしまった。
「……すまない、周りの警戒を頼む」
「わかりました…」
仕方なく、となりの仲間に頼む。
流石にこれだけ大きな荷物を抱えていては、接近戦ではまともに戦えないだろうからな。
荷物、といっても、大切な親友だ。下手な扱いはできない……
それにしても……
「もう少し、早く会えていれば……」
もう少し時間的余裕があったなら、一度王都へ行って転移可能にしておけた。
とはいえ、今いっても完全に手遅れだ。
「どうしました?」
「……いや……それより、トルンまではあとどれくらいだ?」
「そうですね……あと、一日といったところでしょうか」
トルンは、セントラルから伸びる街道を南にまっすぐ行くとある都市だ。別に何かがあるわけじゃないが、逃げる準備をあまりしていなかったので、色々と買い揃えたい。
正直、防衛戦で負けるとは思っていなかった。勇者の一人一人の能力を過大評価していたというのもあるが……うまく、兵が動いていなかった気がするのだ。士気は高かった…だったらなぜ…
今考えても仕方がないので、周囲の警戒に専念する。
「帝国軍は進軍していない…おそらく、街道を通っても大丈夫だろう…」
「そうですね…森の中をずっと進むのは流石に体力的にも精神的にもキツイものがあります…」
俺たちは街道へ出て、トルンへと急いだ。
せめて、こいつが起きる前に、夜になってくれれば…
まあ、馬鹿ではないから…諦めてくれる…か?
––1日後––
トルンへと到着した…だが、門は閉まっている。
「…当たり前だよな…帝国軍がとなりの都市まで進軍してきているんだから…」
「どうします…? このままじゃ中に入れませんが…」
どうしたものか…南側の門に回るのもいいが…いや、見張りの兵に見つかると面倒なことになる。生憎ここにいる全員を見えなくする魔法を使える奴はいない…
…仕方ない。
「俺が、一人で中に転移して、安全な場所を確保してから戻るよ。そうすれば、みんなをそこに転移で連れて行ける」
「…すみません…いつも頼って…」
俺の支持を聞いてくれている彼…深山 海斗…は、かなり真面目な人間だ。彼の能力は、索敵などですでに役に立っていた。
「いや、適材適所というだろう。大丈夫。それでは、みんなの様子を見ていてくれないか…」
「はい。一巳さん、お気をつけて…」
俺は彼に背を向けると、目の前の壁の頂上直前に転移して、ぶら下がった。そして、視界に入る見張りはいないか確認してから、街のどこに転移するか確認する。
門の裏側は、市場だった。かなり大掛かりな壁だったため、喧騒は聞こえなかったようだ…
お上りさんみたいに呆けてる場合ではないことを思い出し、俺は大人数が泊まれそうな宿を探し始めた。
…だが、都合のいい宿がなかなか見つからない。
おそらく…
「戦争の影響、だな」
帝国方面へ一時的に行けなくなったために、商人やら冒険者やらが、現在の最前線に一番近い大都市であるこの街に集まっているのだろう。
…仕方ない…か。
俺は、治安の悪い低所得層の住む地域で探すことにした。
ここは、決してスラム街みたいに浮浪者が集まるような街ではないが、お世辞にも治安がいいとは言えない。ただでさえ戦時中で兵が不足するのだ。路地裏には物騒な人間が結構いる。
…多分俺でも、不意打ちで即死の攻撃を食らったら防げないだろう。流石に殺しては来ないだろうが、用心するに越したことはない。
–––30分後–––
なんとか、10人一緒に泊まる…というか、合計10人泊まれるだけの部屋は確保できた。いい宿とは言えないが、野宿よりはよっぽどいい。
俺は人気のない裏道に入ってから、みんなのところへと転移した。
街の外の森へ戻ると、俺は深山の姿を探した。みんなの疲労はかなりのものだろうし、なるべく早く休ませてやりたい。
「深山、戻ったぞ」
「あっ、おかえりなさい、一巳さん。みんなはあっちですよ」
「おう……このあと、全員一度に転移するから、そう伝えておいてくれ」
「うん……でも、体への負担とか、大丈夫なの?」
リアがみんなを転移させたときのことを思い出したのだろうか。
「いや、俺はスキルだから、体への負担はないよ。魔法の場合は、人数が増えるほどに体への負担はでかいらしいがな……」
「そうなんだ……あの子、大丈夫なのかな…」
やはり、心配なのだろう。
…だが、あいつが帝国の奴らに簡単に捕まるようにも思えない。あの容姿でこれまでやってきたなら、運もいい筈…だよな?
「みんな、これから一巳さんのスキルで街の中まで転移するから、移動の準備をしておいて」
深山の呼びかけに、勇者たちは動き出した。
もっとも、疲労故か返事はなかったが。
「それじゃ、全員触ってるな?」
俺は口に出してそれを確認する。全員が俺の手に触れていることを確認してから、俺はあらかじめ決めていな場所へとスキルを使用した。
「《転移》」
「それじゃあ、ここからは宿の部屋の中で好きに休んでいいぞ。代金は活動用の資金で払っておく。今後の説明は夕飯の時に行うから、その時はちゃんといるようにな。では、解散」
少しだけ、修学旅行の教師じみた説明を終えて、俺は自分の部屋へと入った。
この宿は、そこまで安いわけじゃないが、あまり治安の良くない地域の中ではかなりしっかりしたところだった。
そういう場所は空いていないと思っていたが、安全な宿はもっと治安のいい地区の宿に集まるそうで、この辺りで中所得層向けの値段ではあまり客が来ないのだという。
俺が、10人という人数を口に出した瞬間に、嬉しそうなオーラをガンガン醸し出し始めたオーナーがかなり印象的だった。
さて、この先どうしたものか…
と、夕飯の時間に説明する内容を考え始めた。
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