婚約破棄後のお話

Nau

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愚か者には罰を7

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遅れてすまない

旦那様方の言葉に思わず涙がこぼれてしまいそうでした。
ただただ嬉しかったのです。
私だけを見てくれたことが。私のために動いてくれたのが。
元家族にとって私はただの道具。久しぶりに会ってしまったがために少し過去の引きずられてしまったのかもしれません。

「誰だ!!衛兵は何をしている!」
「あんな雑魚、外で寝てるぜ」
「ディノの剣の風圧だけで倒れていましたね」
「な…んだと?!」
「やあ、アホフマ王国諸君」

聞こえた声に思わず目を見開きました。

「き、きさまは!」
「久しぶりだね」

ニコニコ笑いながら入ってきたのは、ユーリ・フェリメシア王太子殿下でした。

「で、殿下?!」
「怪我はない?オルフェリア嬢」
「はい。旦那様が助けてくださいましたので」
「そう。よかった」

「な、なんのようだ!」
「なんのようねぇ?何もないと思ってるなら随分とおめでたい頭をしているようだ」
「な!」
「我が国の国民を返してもらうよ」
「はん!何をいう!彼女はアホフマ王国民だ!」

???私とアレクの話を聞いていなかったのでしょうか?
思わずアレクと顔を見合わせてしまいました。

「私はもうアホフマ王国民ではなくフェリメシア民だと先ほどお伝えしたはずですが…」
「何をいう!オルフェリアは私の妹だぞ!」

だからなんだというのでしょう?
本当にアホすぎて頭が痛くなってきました。

「驚いた。キミは優秀なのにキミの家族はなんというか…」
「正直におっしゃられても構いません、王太子殿下」
「…馬鹿なんだね」
「はい。お恥ずかしい限りです」

お優しい王太子殿下でさえ呆れかえっています。

「はあ…さっさと終わらせて帰ろう。アンジェが待ってる。アンジェも心配してたよ」
「まあ!アンジェ様が?」

アンジェ様は王太子殿下の奥様です。10歳年下の。
因みに王太子殿下は今年で20歳ですのでアンジェ様は現在10歳です。いわゆる幼妻というやつです。お二人はとてもラブラブなんですよ。私は現在アンジェ様の家庭教師をやっておりましてアンジェ様とはよくお茶をする仲なのです。まあそんなことは今は良くて、王太子殿下は一枚の紙を取り出して国王達に突き付けました。

「アホフマ王国大陸同盟から除名する。各国の署名入りだから決定事項だよ」

王太子殿下がそう告げると広間に衝撃が走りました。
それもそうでしょう。大陸同盟から外されれば待つのは破滅。
商人はやってこなくなり経済は衰退。さらにそこを狙って戦争を仕掛けてくる国もですことでしょう。

「なぜ…こんな短時間で用意できるはず…!」
「そこはアルティスが瞬間移動魔法を使って飛びまわってくれたからね」
「それくらい当たり前です。大事な妻が拐われたのですから」
「各国はすぐに署名してくれたようだよ。みんな馬鹿な国より、一騎当千の力を持つSランク冒険者の味方をする方を選んだようだ。まあ、賢明な判断だよね」
「そんな…た、たすけてくれ!オルフェリア!」
「オルフェリア…」

王子や元家族がガタガタ震えながら近づいてきます。
しかし、旦那様方が庇うように前に立ってくださいました。
でも、これは私がけじめをつけないといけないのです。

「旦那様方」

そういうと察してくれたのか、退いてくれました。いつでも攻撃ができるようにではありますが。

「私が、やっていないといった時。皆さんは信じてくださいませんでした。証拠とも言えない証拠だけを信じて。
助けてと伸ばした手は叩き落とされ踏みつけられました。
何を言っても私の言葉は届かなかった。あなた方にとって私はその程度の人間だったのでしょう。彼女よりも価値の低い人間だったのでしょう。私は悲しかった。今まで必死に努力してきたのに、誰も褒めてくれなくても頑張ってきたのに、最後までその頑張りが認められることはなかった。そして私は捨てられた。家族だと思っていた人たちに。でも私は旦那様方に出会って、沢山の人の優しさに触れて生まれ変わりました。だから…今度は私があなた達を捨てます。もう、私の人生にあなた達はいらない」

ずっと言いたかったことを言うと、胸がスッキリしました。

「さようなら」

そう一言だけ告げて私は旦那様達と共に広間から去りました。


—————————————————

ここまでお読みいただきありがとうございます!
次で正真正銘のラストです!
少し修正しました 9/7 18:55

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