こいちゃ![R-18]

蒼い色鉛筆

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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。

館内はお静かに 前編続き

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広い空間、高い天井。
まるで小さな宇宙だ…。

非日常的な空間を作る映画館に、
由海広ユミヒロは胸を高鳴らせる。

彼の付き添いというか、デートで来たけど
慣れない独特の、この雰囲気が好きだ…。

「今日はもう少し、上です。」

燃夏モカくんがそっと声を掛けてくれた。

「あ、そうだったんだね。」

小声で返事をして、慎重にポップコーンの
入ったかごを持って彼の後を付いていく。

幅のある階段を一段ずつ、
足元の柔らかな照明を頼りに上る。

「ふう…、」

一番後ろの席までやってきた。

上から館内全体を見渡すことができる。

まばらな間隔で、それぞれお客さんたちが
自分の席を探して、着席しているのが
高い位置からよく見える。

館内200席はあるだろうが
上映から日が経っているためか…
今日のお客さんは、ざっと50人程だ。

満員の時のような圧迫感を気にせず、
ゆっくり観ることが出来そうだ…。

「こっちです。」

「あ、ありがと…。」

彼に誘導されて階段で区切られた列、
隅っこに二つある席の壁側に座った。

席は柔らかく、ゆったり腰を落ち着ける。

だけど…見渡すと隣の列どころか、
一番近くのカップルまで三列も空きがある。

がらんとした広い空席は
まるで離れ小島にいるような気分にさせる。

困惑しながら彼を見たけど、
モカくんはニコニコ嬉しそうだ。

ひそひそ耳打ちで尋ねる。

「モカくん、席間違えてない?
この前来たときは真ん中の見やすい所で
座ってたでしょ?」

彼は堂々と答えてくれた。

「いいえ、合ってますよ。
海さんに付き合ってもらっておいて
失礼ですみません…、
だけど今日は、外で海さんと手を繋いで
映画を見たくて、ここにしたんです。」

「…っ!」

ひじ掛けに置いた手をきゅ、と
温かい手の平に包まれる。

思わずドキドキ胸を騒がせていると
彼は企みのある笑顔で、短く笑う。

「手…、握っててもいいですか?」

「っ……!」

色気と年下の特権を上手に使って
甘えられると、いつも敵わない。

本当は、外でこんな…、駄目なのに…。

「んん…、」

結局、私も手を繋いでいたい…。
その欲望が勝ってしまい、握り返す。

彼の肩に頭を寄せて、小声で囁いた。

「人から見えないからって…、
えっちなことはしちゃダメだからね?」

「…!!」

何かまずいこと言ってしまっただろうか。
モカくんが胸を押さえて悶絶している。

「モカくん…?」

心配して顔を覗き込む。

「んっ…、」

映画館の照明が落とされると同時に、
温かい感触が唇に触れる。

よく知ってる感覚だから…すぐに分かった。

唇を離して、イケナイ興奮に
震える声を理性でなんとか鎮めつつ、
そっと押し退けて彼を制す。

「…ちゅーもダメなの。」

熱のこもった情熱的な瞳…、ではなく
モカくんは心配そうに呟く。

「海さん…、俺時々不安なんです。
こんなに無自覚でエロいあなたが、
誰かを誘惑してしまうんじゃないかって…」

真剣な彼の声。
それなのに…私は、少し笑ってしまった。

「ふふ…、」

「…海さん?」

「あっ、ごめんね。
真面目に心配してくれてるのに…。」

「…?」

不思議そうな顔をするモカくんと向き合う。

「でも…、例えおじさんが無意識に
誰かを誘惑してしまうことになっても…
君以外を好きになることなんてありえない
…って思うと、ちょっと可笑しくて。」

「…!そ、それは…っ、分かってますよ。
でも俺、人一倍嫉妬深いですから…。」

合わせた手を、ぎゅうと握られる。
愛しい気持ちで、それを見つめた。

「知ってるよ。笑ってごめんね。」

むすくれるモカくんに、
特別優しい声を掛ける。

正面スクリーンには、広告が流れているが
前を向く二人とも目に映っていない。

「…ちゃんと好きって、言って下さい。」

「…っ。」

拗ねっ子モードのモカくん。

ないはずの母性が、胸の中心が
ぎゅんと締め付けられる。

わざとトントン、と肩を叩いて耳打ちする。

「…好きだよ♡」

「……っ、襲いますよ…。」

本気の低い声でため息をついている。
困ってるモカくんが、かわいい。

「ふふふふ。」

声を押し殺して聞こえないように笑う。

むずむず胸がむず痒いけど、
こんなに近くで好きな人に好きだって
伝えられることは…しあわせだ。

後から頬が羞恥で赤く熱くなるけど、
満足してスクリーンに向き合う。

しっかり手は繋いで。
少し大胆に…頭を寄せあって、
見慣れたオープニングを見ていると…

「んっ?」

頬に、柔らかいものが触れた。
先ほどの感触に似てる…。

ほっぺにちゅーされたと気づいて、
目線だけ隣で寛ぐ彼に向けた。

「なるべく最後まで我慢しますから…。」

彼は…聞こえるギリギリの声量で囁く。

しっとり温かい手を包み、微笑みを返す。

「頑張って…♡」

「ぅぅう…。」

三度目の映画は、まだ始まったばかり…。







つづきます→
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