116 / 200
③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。
館内はお静かに 中編
しおりを挟む
ここの映画館のコーヒーは、
良い豆を挽いて作られているようだ…。
濃いだけじゃない、苦味と酸味が
深い味わいで…すごく美味しい…。
由海広は、まだ温かいコーヒーを
少しずつ口に含み、味を楽しむ。
バァン!
「…っ、」
スクリーンの大きな音に驚いて正面を向く。
通い始めた最初の頃は、
映画館の音量に慣れなかったが
今は大きな音じゃなければ大丈夫。
コーヒーを楽しむ余裕さえあると思うと
私も少し、映画館通だったり…?
「ふふふ…」
迫力満点のエフェクト…は
二度目まではすごい興奮したけど…
少し慣れてしまったようだ。
正面のスクリーンよりも
ちら、と隣の席の燃夏くんを見た。
お気に入りのシーンのようで
がっつり目線が前を向いている。
しかしキャラメルポップコーンは
さくさくと彼に咀嚼され確実に減っている。
映画に釘付けになりながら、器用だ…。
思わず感心してしまう。
聞こえないようにクス、と笑って
なんとなく手元を見た。
ちょっと寂しいところもあるけど、
好きな物に夢中になれるのもいいことだ…。
スクリーンは盛り上がっているが、
視線だけで館内を見回す。
一番後ろの席って…いいかも…。
端っこだからよく見えないかと
心配していたけれど椅子の角度が
ちゃんと調整されていて、
不自由なく映画を楽しめる。
前三列空いているので前回のように
前後左右のお客さんの些細な反応に
びくびく怯える必要もない。
のびのび寛いで、モカくんの手を繋いで
いないほうの手でコーヒーを啜る。
やっぱり美味しい…。
帰りにもう一杯、買って帰ろうかな…。
真剣に悩むほど美味しい。
だけど…結構なピンチが迫っている…。
昨日多少残業して深夜に帰って来て
寝不足のまま映画館に来たからか…。
眠い…。
とろとろ瞼が重くなる。
穏やかな眠りの世界に導かれてしまう…。
少しでも眠くならないように
ホットコーヒーを選んだけど、
カフェインを摂取しすぎて私の体は
麻痺しているようで…、全然眠い。
話の展開が読めているとはいえ
映画館で寝るのは映画にも、
モカくんにも失礼になってしまう…。
そう思いながらも、瞼がジワリ温かくて
今にも閉じてしまいそうだ…。
寝るな、眠っちゃダメだ由海広…。
「んん…っ。」
太ももの肉をつねり、覚醒を促す。
だがその痛みも鈍くなるほど眠い…。
ユラユラ前後に揺れて船を漕いでしまう。
もはやあまり画面が見えていない…。
空調も丁度いいし、座り心地もいい…。
そうだ、モカくんに起こしてもらうよう
助けを求めよう…。
意識の淵で名案を思いつくが、
すぐに愚策と気づく。
パシパシ瞬きする回数が多くなる。
ぼんやり意識がまどろんできた…。
私は…なんて説明するつもりだ…?
モカくんは何度観ても楽しみで
映画館に来ているのに、
「眠いからちょっと起こしてくれる?」
なんて…そんなこと絶対言えない。
例え声を掛けても
絶対そうは言わないけど…。
なんて…声を…?コーヒー…温かい…?
「……………。」
考える隙をつかれて睡魔に襲われ…、
由海広は完全に…目を閉じてしまった。
ふわふわ…暗くて…温かくて…心地いい…。
小声で名前を呼ばれてる気がする…。
「…さん…、みさん…。」
モカくんの声かな…。
ここは家…?じゃない…どこだっけ…。
「…海さん、そんなに積極的に
迫られると…俺、我慢出来なくなりますよ」
「…っ!!」
セクシーな彼の囁く声に、カッと目が開く。
キョロキョロ、その場で現状確認。
ここは映画館で、まだ上映中だ。
モカくんの胸に頭を預けて
随分がっつり寝ていたようだ。
危ない…。普段の声でつい、
「モカくんすき…」とか答える所だった。
一人胸の中でピンチを
乗りきって、ほっとする。
落ち着く間もなくはっと顔を上げて
今まで眠らせてくれた彼を見た。
ニコニコしてるのに、表情が読めない…。
心なしか、怒ってる…?ようにも見える。
「ご、ごめんね…モカくん。」
急いで小さい声で謝って、席に戻る。
もたれていた体がピキッとひきつった。
映画を観ても、大分終盤の様子。
思った以上に寝てたみたい…。
モカくんも、もう正面を向いたかな…?
そう思いながら、おそるおそる
視線を隣に向けてみる。
「………。」
まだ、変わらないニコニコ顔で
私の方を見ていた。
ちょっぴり、背筋がぞくっと冷えた…。
「え、えと…っ。確かこの後の展開、
すごいよね…!負けそうだった主人公が
見事、大逆転するとこだよね?」
笑顔をお返しして、
あからさまに話題を逸らす。
ようやく彼も、自分の席にゆったり収まる。
「そうですね。…でも気にせず、
休んでてくださいね。」
あ、拗ねてる…。
申し訳ない気持ちがチクチク心を刺す。
いつの間にか離れていた手を
もう一度ぴたりと重ね合わせる。
今度は反射ではなく、
しっかり心を込めて小さな声で謝る。
「途中寝ちゃってごめんね…。
最後までは、二人で観たいな…。」
「……でも海さん、眠いでしょ?」
彼の口調はまだ拗ねている。
多分背けた顔の向こうでは
ツンと唇を尖らせて、それでも
言葉を選んで抗議をしてくれている…。
「ぅく…。」
だが鋭いところを指摘されて小さく呻く。
目は覚めたけど、正直まだ眠い。
スクリーンをぼんやり眺めていたらまた、
心地よく眠ってしまうかもしれない…。
ダメだ、それだけはダメだ…!
口に出さないように、心の中だけで焦る。
すると…彼から思わぬ提案をされた。
「…俺が、眠らせないように
刺激しましょうか?それなら最後まで
なんとか起きていられますよね?」
「おぉ、それいいね…!」
簡単に気の効いた対応を思いつくなんて
本当に彼はすごい…!と感動する。
小声で彼の名案を二つ返事で頷いた。
モカくんは、再度にっこり笑顔になる。
「それじゃあ、あと少し…。
頑張って起きてて下さいね?」
「ん!…分かった…!」
目を輝かせてしっかり了承する。
方法はなんだろう…?
寝そうになったら肩を揺するとか
手を握って起こしてくれるとか、かな?
この時…すっかり忘れていた。
彼の笑顔は、裏の計れない、
どこか怒りを感じた表情であったことを…。
「ん…?」
スルリとほどかれた手で
足の間を撫でている現状が理解出来ず…
呆けて見つめていた。
つづきます→
良い豆を挽いて作られているようだ…。
濃いだけじゃない、苦味と酸味が
深い味わいで…すごく美味しい…。
由海広は、まだ温かいコーヒーを
少しずつ口に含み、味を楽しむ。
バァン!
「…っ、」
スクリーンの大きな音に驚いて正面を向く。
通い始めた最初の頃は、
映画館の音量に慣れなかったが
今は大きな音じゃなければ大丈夫。
コーヒーを楽しむ余裕さえあると思うと
私も少し、映画館通だったり…?
「ふふふ…」
迫力満点のエフェクト…は
二度目まではすごい興奮したけど…
少し慣れてしまったようだ。
正面のスクリーンよりも
ちら、と隣の席の燃夏くんを見た。
お気に入りのシーンのようで
がっつり目線が前を向いている。
しかしキャラメルポップコーンは
さくさくと彼に咀嚼され確実に減っている。
映画に釘付けになりながら、器用だ…。
思わず感心してしまう。
聞こえないようにクス、と笑って
なんとなく手元を見た。
ちょっと寂しいところもあるけど、
好きな物に夢中になれるのもいいことだ…。
スクリーンは盛り上がっているが、
視線だけで館内を見回す。
一番後ろの席って…いいかも…。
端っこだからよく見えないかと
心配していたけれど椅子の角度が
ちゃんと調整されていて、
不自由なく映画を楽しめる。
前三列空いているので前回のように
前後左右のお客さんの些細な反応に
びくびく怯える必要もない。
のびのび寛いで、モカくんの手を繋いで
いないほうの手でコーヒーを啜る。
やっぱり美味しい…。
帰りにもう一杯、買って帰ろうかな…。
真剣に悩むほど美味しい。
だけど…結構なピンチが迫っている…。
昨日多少残業して深夜に帰って来て
寝不足のまま映画館に来たからか…。
眠い…。
とろとろ瞼が重くなる。
穏やかな眠りの世界に導かれてしまう…。
少しでも眠くならないように
ホットコーヒーを選んだけど、
カフェインを摂取しすぎて私の体は
麻痺しているようで…、全然眠い。
話の展開が読めているとはいえ
映画館で寝るのは映画にも、
モカくんにも失礼になってしまう…。
そう思いながらも、瞼がジワリ温かくて
今にも閉じてしまいそうだ…。
寝るな、眠っちゃダメだ由海広…。
「んん…っ。」
太ももの肉をつねり、覚醒を促す。
だがその痛みも鈍くなるほど眠い…。
ユラユラ前後に揺れて船を漕いでしまう。
もはやあまり画面が見えていない…。
空調も丁度いいし、座り心地もいい…。
そうだ、モカくんに起こしてもらうよう
助けを求めよう…。
意識の淵で名案を思いつくが、
すぐに愚策と気づく。
パシパシ瞬きする回数が多くなる。
ぼんやり意識がまどろんできた…。
私は…なんて説明するつもりだ…?
モカくんは何度観ても楽しみで
映画館に来ているのに、
「眠いからちょっと起こしてくれる?」
なんて…そんなこと絶対言えない。
例え声を掛けても
絶対そうは言わないけど…。
なんて…声を…?コーヒー…温かい…?
「……………。」
考える隙をつかれて睡魔に襲われ…、
由海広は完全に…目を閉じてしまった。
ふわふわ…暗くて…温かくて…心地いい…。
小声で名前を呼ばれてる気がする…。
「…さん…、みさん…。」
モカくんの声かな…。
ここは家…?じゃない…どこだっけ…。
「…海さん、そんなに積極的に
迫られると…俺、我慢出来なくなりますよ」
「…っ!!」
セクシーな彼の囁く声に、カッと目が開く。
キョロキョロ、その場で現状確認。
ここは映画館で、まだ上映中だ。
モカくんの胸に頭を預けて
随分がっつり寝ていたようだ。
危ない…。普段の声でつい、
「モカくんすき…」とか答える所だった。
一人胸の中でピンチを
乗りきって、ほっとする。
落ち着く間もなくはっと顔を上げて
今まで眠らせてくれた彼を見た。
ニコニコしてるのに、表情が読めない…。
心なしか、怒ってる…?ようにも見える。
「ご、ごめんね…モカくん。」
急いで小さい声で謝って、席に戻る。
もたれていた体がピキッとひきつった。
映画を観ても、大分終盤の様子。
思った以上に寝てたみたい…。
モカくんも、もう正面を向いたかな…?
そう思いながら、おそるおそる
視線を隣に向けてみる。
「………。」
まだ、変わらないニコニコ顔で
私の方を見ていた。
ちょっぴり、背筋がぞくっと冷えた…。
「え、えと…っ。確かこの後の展開、
すごいよね…!負けそうだった主人公が
見事、大逆転するとこだよね?」
笑顔をお返しして、
あからさまに話題を逸らす。
ようやく彼も、自分の席にゆったり収まる。
「そうですね。…でも気にせず、
休んでてくださいね。」
あ、拗ねてる…。
申し訳ない気持ちがチクチク心を刺す。
いつの間にか離れていた手を
もう一度ぴたりと重ね合わせる。
今度は反射ではなく、
しっかり心を込めて小さな声で謝る。
「途中寝ちゃってごめんね…。
最後までは、二人で観たいな…。」
「……でも海さん、眠いでしょ?」
彼の口調はまだ拗ねている。
多分背けた顔の向こうでは
ツンと唇を尖らせて、それでも
言葉を選んで抗議をしてくれている…。
「ぅく…。」
だが鋭いところを指摘されて小さく呻く。
目は覚めたけど、正直まだ眠い。
スクリーンをぼんやり眺めていたらまた、
心地よく眠ってしまうかもしれない…。
ダメだ、それだけはダメだ…!
口に出さないように、心の中だけで焦る。
すると…彼から思わぬ提案をされた。
「…俺が、眠らせないように
刺激しましょうか?それなら最後まで
なんとか起きていられますよね?」
「おぉ、それいいね…!」
簡単に気の効いた対応を思いつくなんて
本当に彼はすごい…!と感動する。
小声で彼の名案を二つ返事で頷いた。
モカくんは、再度にっこり笑顔になる。
「それじゃあ、あと少し…。
頑張って起きてて下さいね?」
「ん!…分かった…!」
目を輝かせてしっかり了承する。
方法はなんだろう…?
寝そうになったら肩を揺するとか
手を握って起こしてくれるとか、かな?
この時…すっかり忘れていた。
彼の笑顔は、裏の計れない、
どこか怒りを感じた表情であったことを…。
「ん…?」
スルリとほどかれた手で
足の間を撫でている現状が理解出来ず…
呆けて見つめていた。
つづきます→
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる