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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。
深くまでちょうだい 前編
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仕事終わりに時間の都合が合えば、
いつもの閉店割引をするスーパーで
スーツ姿の由海広は
同じくスーツ姿の燃夏と
日用品、食料の買い出しをする。
しかし由海広はあることに悩まされていた。
私は…ショッピングカートを押しながら
つくづく思う。
隣の私の恋人はかっこいい…!
気づかれないように、小さくため息をつく。
私のスーツはデスクワークでも
朝ピッシリとアイロンを掛けているのに
夜にはおじさんである自分にぴったりな
ヨレヨレスーツに早変わり…。
それなのに、スーツをネックレスや
バックのように体の一部として
自分を輝かせるモカくんのスーツは…
同じように見えるけど、ピシッとしてる。
絶対してる。
「あ、海さん豆腐欲しいです。
明日麻婆豆腐してもいいですか?」
「ん?あぁもちろん。コーナーに行こうか」
上の空で押していたカートを操り、
方向転換して豆腐売り場へ行き
のんびりと豆腐をかごに入れた。
今日は偶然二人とも同じくらい
残業をして買い物に来てるので、
いつもの奥様方の姿はない。
いつもすごく助けられてるけど…
女性と話すのが苦手な私の心は
ホッとしている…。
心おきなくゆっくりと買い物に集中できる…
のろのろ二人で歩いて欲しいもの、
必要な物をかごに集めていく。
空っぽだったかごが商品で埋まると…
「ゴムも買い足します?」
耳の側で嬉しそうに囁くモカくん。
十も年下なのに時々オジサンぽくなる恋人…
さすがに焦って叱るように睨むが、
幸せそうに顔を綻ばされると
怒る気力もすぐ失せてしまう。
ずるいくらいかわいい…。
「…っまだ一箱あるよ…!」
なるべく言葉を選んで答えた。
「そうでしたね♡普段生ですから
ほとんど消費しませんもんね。」
彼もちゃんと言葉を選んで返す。
「~~~~っっっ!」
色っぽい彼の声にあてられて足が止まる。
鼓動もドキドキ高鳴って興奮してしまう。
飛び出しそうな心臓をスーツの上から
押さえつけて、言葉の代わりに
眉を寄せた視線で彼を黙らせる。
目があったモカくんは満足そうに微笑む。
「もう…っ。後はいいね?レジ行くよ。」
「ふふ、はい♡…あっ、すみません。
すぐ戻りますから待ってて下さい。
すぐですから!」
「ん?うん。分かった。」
何かを思い出して慌てた様子の彼は
レジ前で回れ右をして、
棚の奥へ消えてしまう。
首を傾げて消えた方向を見ていると、
同じ場所からモカくんが息を切らして
戻ってきた。
「はい、これもお願いします。」
食材と消耗品で溢れそうなかごの上に
ぽん、と乗せられたのは…。
「うん?…綿棒?」
まじまじと綿棒を観察した。
「はい、綿棒です。」
何となく違和感を覚えて彼の表情を窺う。
だって…普段、二人とも耳かき派だ。
そしてお互い好みの耳かきを愛用してる。
綿棒は減らないので
共有スペースに置いてあるが、
確かまだ…使いきってないはずだ。
しかも彼が持ってきた綿棒は
見たことない個包装タイプだ。
抗菌清潔抜群!とシールに書かれている。
もう一度、彼の顔を見た。
「…珍しい物買うね?」
「はい。評判がいいんですよ。」
「へぇ、そうなんだ…。」
「海さんにちゃんと使ってあげ…
使ってみてくださいね。
すごくきもちいいらしいですから♡」
「…?ありがと…?」
彼の笑顔は崩れないけどますますおかしい…
評判がいいから、なんて理由で
買い物することも滅多にないと思うのに…
だけど、これ以上探っても
ポーカーフェイスの上手い彼からは
何も出てこないだろう。
結局根負けして素直にレジへ向かう。
最近導入された無人レジをモカくんと
手分けして商品を打っていく。
ちょっと難しいけど楽しいかも…。
買った商品を袋詰めしていると
相変わらずモカくんは重いものを
優先してエコバッグに詰め込む。
「モカくん、おじさんも力はあるよ?
そっち半分分けて…?」
「ダメです。」
毎回キッパリ断られる。
差し出した手をしゅん、と垂れ下げた。
「…………。」
袋の口を閉じたモカくんは少し辺りを
警戒して誰の注目もないことを確認すると
またこっそり、耳元で囁いた。
「海さんには腰を大事にして
もらいたいですから♡」
「なっ……!?!?」
予想外の攻撃。
変に高い声で反応してしまい、
一瞬注目を浴びてしまったが
口を押さえて縮こまり、やり過ごす。
モカくんは機嫌よさそうに、
知らん顔している。
いったい、いったい…?
これから何が起こるんだろう…?
少しの不安はあるけど…モカくんだから…。
「さぁ、帰りましょう?」
「う、うん…。帰ろう。」
信頼で不安を拭い去って
あまり買い物品を詰め込めなかった
軽いバッグを手に提げて、
夜道を二人で帰った。
つづきます→
いつもの閉店割引をするスーパーで
スーツ姿の由海広は
同じくスーツ姿の燃夏と
日用品、食料の買い出しをする。
しかし由海広はあることに悩まされていた。
私は…ショッピングカートを押しながら
つくづく思う。
隣の私の恋人はかっこいい…!
気づかれないように、小さくため息をつく。
私のスーツはデスクワークでも
朝ピッシリとアイロンを掛けているのに
夜にはおじさんである自分にぴったりな
ヨレヨレスーツに早変わり…。
それなのに、スーツをネックレスや
バックのように体の一部として
自分を輝かせるモカくんのスーツは…
同じように見えるけど、ピシッとしてる。
絶対してる。
「あ、海さん豆腐欲しいです。
明日麻婆豆腐してもいいですか?」
「ん?あぁもちろん。コーナーに行こうか」
上の空で押していたカートを操り、
方向転換して豆腐売り場へ行き
のんびりと豆腐をかごに入れた。
今日は偶然二人とも同じくらい
残業をして買い物に来てるので、
いつもの奥様方の姿はない。
いつもすごく助けられてるけど…
女性と話すのが苦手な私の心は
ホッとしている…。
心おきなくゆっくりと買い物に集中できる…
のろのろ二人で歩いて欲しいもの、
必要な物をかごに集めていく。
空っぽだったかごが商品で埋まると…
「ゴムも買い足します?」
耳の側で嬉しそうに囁くモカくん。
十も年下なのに時々オジサンぽくなる恋人…
さすがに焦って叱るように睨むが、
幸せそうに顔を綻ばされると
怒る気力もすぐ失せてしまう。
ずるいくらいかわいい…。
「…っまだ一箱あるよ…!」
なるべく言葉を選んで答えた。
「そうでしたね♡普段生ですから
ほとんど消費しませんもんね。」
彼もちゃんと言葉を選んで返す。
「~~~~っっっ!」
色っぽい彼の声にあてられて足が止まる。
鼓動もドキドキ高鳴って興奮してしまう。
飛び出しそうな心臓をスーツの上から
押さえつけて、言葉の代わりに
眉を寄せた視線で彼を黙らせる。
目があったモカくんは満足そうに微笑む。
「もう…っ。後はいいね?レジ行くよ。」
「ふふ、はい♡…あっ、すみません。
すぐ戻りますから待ってて下さい。
すぐですから!」
「ん?うん。分かった。」
何かを思い出して慌てた様子の彼は
レジ前で回れ右をして、
棚の奥へ消えてしまう。
首を傾げて消えた方向を見ていると、
同じ場所からモカくんが息を切らして
戻ってきた。
「はい、これもお願いします。」
食材と消耗品で溢れそうなかごの上に
ぽん、と乗せられたのは…。
「うん?…綿棒?」
まじまじと綿棒を観察した。
「はい、綿棒です。」
何となく違和感を覚えて彼の表情を窺う。
だって…普段、二人とも耳かき派だ。
そしてお互い好みの耳かきを愛用してる。
綿棒は減らないので
共有スペースに置いてあるが、
確かまだ…使いきってないはずだ。
しかも彼が持ってきた綿棒は
見たことない個包装タイプだ。
抗菌清潔抜群!とシールに書かれている。
もう一度、彼の顔を見た。
「…珍しい物買うね?」
「はい。評判がいいんですよ。」
「へぇ、そうなんだ…。」
「海さんにちゃんと使ってあげ…
使ってみてくださいね。
すごくきもちいいらしいですから♡」
「…?ありがと…?」
彼の笑顔は崩れないけどますますおかしい…
評判がいいから、なんて理由で
買い物することも滅多にないと思うのに…
だけど、これ以上探っても
ポーカーフェイスの上手い彼からは
何も出てこないだろう。
結局根負けして素直にレジへ向かう。
最近導入された無人レジをモカくんと
手分けして商品を打っていく。
ちょっと難しいけど楽しいかも…。
買った商品を袋詰めしていると
相変わらずモカくんは重いものを
優先してエコバッグに詰め込む。
「モカくん、おじさんも力はあるよ?
そっち半分分けて…?」
「ダメです。」
毎回キッパリ断られる。
差し出した手をしゅん、と垂れ下げた。
「…………。」
袋の口を閉じたモカくんは少し辺りを
警戒して誰の注目もないことを確認すると
またこっそり、耳元で囁いた。
「海さんには腰を大事にして
もらいたいですから♡」
「なっ……!?!?」
予想外の攻撃。
変に高い声で反応してしまい、
一瞬注目を浴びてしまったが
口を押さえて縮こまり、やり過ごす。
モカくんは機嫌よさそうに、
知らん顔している。
いったい、いったい…?
これから何が起こるんだろう…?
少しの不安はあるけど…モカくんだから…。
「さぁ、帰りましょう?」
「う、うん…。帰ろう。」
信頼で不安を拭い去って
あまり買い物品を詰め込めなかった
軽いバッグを手に提げて、
夜道を二人で帰った。
つづきます→
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