にゃんとも! 私のご主人はお猫様!?

蒼い色鉛筆

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第二話「獣のご主人様」

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この汚れた大きめの毛玉のような生き物が
私のご主人になるってこと?
ご主人…って?私の知ってる意味と獣の意味は違うのかな?私を食べる捕食者の別の言い方だろうか?

ナイカは自分の目を疑う。
正確には片目をぐぐっとひそめ、
彼が大きな生き物に変身しないかを
じっと確かめた。

しかし毛玉はびっくりするくらい
口を大きく開けて欠伸はするものの
尖った牙は精々縫い物の針程度だ。

縛られた麻の紐をもぞもぞさせながら
ご機嫌を損ねないように慎重に尋ねる。

「け、獣様…?」

「シーブと呼ぶのにゃ。」

「は、はいっ…!その、シーブ様、余計な心配かもしれませんが、そのお体では私をどうやって食べるのでしょうか?魚みたいにバラバラにして氷で保存するのですか?」

怒られないか、チラチラ顔色を窺いながら
申し立てた。

尊大な椅子に寝そべっているが大きさは私のくるぶし程度だ。
食べられて死んじゃうなら、
細かくされるより一気に食べられる方がましなような気がする。
食べられないことが一番だけど。
獣は再び不細工な顔で睨んだ。

「わにゃーはヒトを食わん。
おみゃーらは脂っこくて臭いにゃ。」

「は、はぁ。」

食べたことあるんだ…。
濁した言い方は余計に恐怖を煽る。

「それならどうして私を買ったのですか?」

別の話で気をそらして恐怖を誤魔化す。
冷たい話し方だけど、悪い獣ではないみたい。
一思いに聞いてみた。

獣は片足を上げて大股を開き、
耳の先を足先でカリカリ掻いてる。
体が柔らかいんだなぁ。

「どーもこーも、雇ったと言ったにゃろう。頭の悪い娘だにゃー。」

「は、はぁ、すみません…。」

それじゃあ、やっぱり私の知ってる意味と同じで、ご主人様の身の回りのお手伝いをするために雇われたってことなのかな?

「サーン、ムン。この頭の悪い、
頭の悪い娘にナミパバと同じ仕事の説明をしてやれ。わにゃーは眠る。」

「はい、シーブ様。」

「畏まりました、ムーシーブ様。」

「???」

二回も頭の悪いって言われた…。
それはともかく、別の小さな扉からテクテクやってきたのは、獣よりは大きいけれど私よりずっと小さい生き物が二人が現れた。すぐ近くにやってきても膝の高さにも届かない、二足歩行の小さな毛皮人だ。

「サーンです。よろしくです。」

「は、はい、ナイカです。よろしくです…?」

自己紹介したサーンと名乗る毛皮人の毛並みは真っ白でふわふわに輝いている。両目の紅い瞳がとっても綺麗でニコニコ笑顔で話しかけてくれる。
身に纏った黒い服も似合う。

「ムンよ、まぁ、一つよろしく。」

「は、はいっ、ナイカですっ。よろしくです…っ。」

スカートを履いた彼女は素っ気なく挨拶をした。獣以上にツンとした話し方で大きな瞳が気だるげでまつ毛が長い。
サーンとは対称的で毛並みは真っ黒。
両目は光るほど黄色だ。
白いエプロンを結んでおり、耳には控えめなリボンをつけている。

「まずは縄をほどきましょう。」

「はいっ、あ、ありがとうございます。」

背伸びしたサーンに応じて身を屈めて、彼の鋭い爪で太い縄がスパッと切れた。

「わぁ…。」

久しぶりに両手が自由に動く。
同じ体制でいた肘が痛いくらい長く拘束されていたみたい。
手の平を眺めて感動していると、あくびをしていた獣は健やかに眠りだした。
お日様が当たって気持ち良さそう。

サーンがひそひそと声をかけた。

「シーブ様は起こされると機嫌が悪くなります。向こうで話しましょう。」

「は、はい。」

「あんたにはナミパバの仕事をやってもらうからね。一回で覚えるのよ。」

「はい、でも…ナミパバ、って?」

「ふにぃいいい…」

サーンとムンは獣の不機嫌そうな唸り声にいち早く反応した。

「シーブ様がお目覚めになる前に、
移動しましょう。ナイカさんはそちらから出て、お待ちください。」

「分かりました…」

出てきた扉を短い指で指し示されて素直に頷いた。

私は一体、どうなるんだろう?






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