艱難辛苦の戦巫女~全てを撃滅せし無双の少年は、今大厄を討つ~

作間 直矢 

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撃滅の夜叉兵編

三話 1

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 ――後日、朧から伝えられた案件は不穏なものであった。
 
 それは、とある人物の護送と護衛。
 今や大厄対策本部の主軸となる洋助、その彼に頼む任務としてはいささか地味であり、過剰のように思えた。

 「赤城、幸助――」

 だが、その護衛対象はかなり特殊な人間であり、大厄撃破者の一人でもある人物。

 「…正直、君が今回の任務に同行するのは意外だったよ、赤原君」
 「俺も驚いています、資料等で存在は聞いていましたが…、まさか本部がその存在を管理していたとは…それほどまでに危険な人物なのでしょう」

 三台の護送車、その中間の車両を運転する水島務は助手席に座る洋助に語り掛ける。
 
 極秘任務となる今回の護送、これほどまでに仰々しく行われる理由は、赤城幸助の持つ大厄撃破者としての存在と、もう一つの側面が影響している。

 「――巫女解放を訴える武装組織、通称“篝火”と呼ばれる組織の創設者、……何故本部はこのタイミングで彼を移送するのでしょうか…?」

 朧は赤城を秘密裏に幽閉し、その移送を機動部隊と洋助に依頼した。
 その真意は不明だが、赤城が突出した強さを持ちながら武装集団のリーダーというカリスマ性を持っている事実は変わらない。

 「俺達は上からの命令に素直に従うしかない、だからこそ赤原君がこの任務の同行に私は驚いている、…こんな血生臭い仕事は大人に任せれば良い」
 「朧様と話す機会がありましてね…、そこで少し、……けど今回の参加は俺の意思でもあります、心配は無用です」
 「――そう、か…」

 この二年、格闘訓練を続け今や水島にも引けを取らない程の実力を持つ洋助。
 だからこそ、その強さを危惧し、心配する水島は親心のような物を感じながら洋助を横目に見る。

 「何かあればすぐ相談しなさい、…それに、本来大人は子供を守るものだ、だが我々は巫女という少女に頼りながら生きている、これぐらいは大人が責任を持って遂行しなければいけないだろう」
 「そうですね…ですけど、…水島さん俺が成人している事忘れていません?」
 「はっはっは!そうだな!もうそんなになるな、すまない」

 未だ子供扱いされながら、肩を叩かれる。
 重苦しい空気が少しだけ和らぐと、先行する車両から通信が入る。

 『こちらアルファ部隊、前方に不審に横付けされている車両あり、一時停車致します』

 「了解、――各部隊に通達、緊急戦闘態勢に移行しそのまま待機、車両の確認が取れるまで周囲の警戒を怠るな」

 車は緊急停止し、現場に緊張が走る。

 「――陽動、…ですかね?俺も周囲を見て来ま――」

 刀を握り、そう言い切ろうとするその直前、報告のあった不審な車が爆発する。

 ――ドガァンッ!!

 恐らく大量の爆薬を積んでいたのであろう、車一台分とは思えない爆発を伴い、黒煙が巻き上がる。

 「くそッ!?こちらの情報が筒抜けかっ!!」

 水島は怒りを堪えて銃を構える。
 状況が混沌に陥るなか、水島務は取り乱す事無く統率を取る。

 「――こちらベータ部隊、アルファ部隊の戦況を報告しろっ!」
 
 『――ッザ…ザザ…こち…交戦…ザッ…至急…』

 ノイズが走る報告は、非常に逼迫しており急を要する。
 機動部隊に顔見知りや気の知れた人達が多い洋助は、なりふり構わず飛び出す。

 「俺が駆け付けますッ!!水島さんは対象の護衛をお願いしますッ!!」
 「赤原君ッ!待てッ!!」

 制止を振り切り爆発した現場へ向かう。
 神力を纏った彼は間違いなくこの場において最強である、が、その心には迷いがあった。

 「ッつ!?」

 爆発箇所に着くと、そこには横転する車両と周りには倒れ伏した機動部隊がいた。
 うずくまり気を失っている者、血を流して動かない者、その惨劇を見て洋助は怒りと憎悪が込み上がる。

 「――あれ?洋助がいるぞ、聞いていた予定と違うじゃねぇか、芹?」
 「…困りましたね、彼がいては予定の変更を余儀なくされます、どうしますか菘?」

 ――そして、考えられる中で最悪の事態に直面する。
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