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シルバ・アリウム、剣聖と成る
十話
しおりを挟む経緯はどうあれヒースさんが仲間でいてくれてよかった、心からそう思い堅く振る舞う彼に感謝しながら、新たな目的に向かいとある場所へ訪れた。
「―――え、ここで働きたい、ですか?」
「この募集要項を見て来ました、急でしたか?」
善は急げ、思い立ったら即行動。
必要な準備をしてこの牧歌的な村で唯一つの役所に向かうと、受付にいた丸眼鏡が良く似合う、可愛らしい女性に驚いた顔をされた。
事前の連絡も無く訪れたのは迷惑だったか、そう思い少し引き気味になる。
「あ、すみません!!決して急とかダメとかって訳ではなく、
募集を見て初めて来てくれた人なんで、ちょっと驚いてしまいました…」
「―――なるほど、ジニア村ではあまり人気の職業ではないのですか?」
「……というよりは、単純に村の人工も少なく若い人がいないんですよねぇ…
それに、ジニア村は農作物を中心とした村なんで、事務作業を希望する人が
いないのも原因だと、村長が言ってましたねぇ…」
ここ数日、ジニア村で暮らして思ったのが広い土地を活かした農業が盛んだという印象。
それは事前に調べていた以上の規模であり、農業に携わる人もそれだけ多いと言う事実が伺える。
「では、私の雇用は問題無さそうですか?」
「一応の書類確認と適正検査はありますが、見ての通り人が少ない役所です、
応募して頂いた時点でほぼ内定、ですかね…」
「ならよかったです!あ、あとこれ、履歴書です」
「お預かりしますね……えっと、あ、帝都から来たんですね、
しかし……何故こんな辺境の地と言われるこの村へ?」
「それは……その……」
「―――っ!!……もしかして、例のシルバ王女様の件で……」
どきり、と心臓が跳ねる。
この村でも私の死亡報告は噂されていたが、実際に目の前で話題にされると少し挙動不審になってしまう。
だが、ヒースら黒き刃達が得意とする諜報活動、その際に使用する姿見の魔法を駆使して私は外見を変えている。
元々特徴的であった銀の髪色は温かい栗色に変え、短く切った髪もヒースさんに整えて貰って女の子らしい印象に変えた。
見破られる事は無いと確信しているが、不安感からどうしても視線を逸らしてしまう。
「国王がお隠れになり、その娘であるシルバ殿下も後を追う様に亡くなったと
聞いております……本来であれば、この村に赴任して下さる予定でしたが
その道中、不慮の事故にあったと……帝都から来たのはその調査、でしょうか?」
「そ、そうですね……、そんな感じ、です」
「でしたら話はすぐに通します、
―――それに、書類を見る限り能力や経歴に問題は無さそうですね」
「……っほ、良かったです」
「これからよろしくお願いしますね、えっと、シルヴィアさん!
私はミオです、一応この役所の責任者ですのでなんでも聞いてくださいね」
「よろしく、ミオさん」
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