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シルバ・アリウム、剣聖と成る
九話
しおりを挟む街道での“黒き刃”襲撃からその後、私はその実行犯である彼らに護衛され村へ着いた。
そして民宿で三日ほどの時を過ごし、この生活にも落ち着きが見え始める。
「―――ありがとうございました、ヒースさん、ここまでのご協力感謝致します」
「元はと言えば我らの襲撃が原因、この程度お任せください」
いまやアリウム騎士団の影と呼ばれた黒き刃は、シルバの意向によって動く。
忠誠心とは縁遠い彼らではあったが、本物の主と邂逅したのであればその本質は素直な騎士道精神に則っていた。
「……そういえば、他の皆様はどうされたのですか?
ヒースさん以外見当たりませんが……」
「彼らには帝都に戻って姫の策を実行して頂いております、
……そして、帝都の状況を逐一報告できるように私と連携して情報伝達に
努めるように指示しました」
「なるほど……的確な判断ですね」
「それともう一つ、姫と共に私の死亡報告も付け加えております」
「ヒースさんの……?」
「はい、さすれば私の行動も自由になりましょう、
もとよりこの身は影、いてもいなくてもシバ様は気になさらない、
であれば、わが身をいかように使って頂きたくシルバ様と御供致します」
黒き刃の頭目であったヒースは、その肩書を降ろしその全てを王女に捧げる。
多少驚きつつあるシルバは、その意思を汲み取って優しく微笑む。
「ヒースさん……、貴方の身はあなた自身の物、
そのようにぞんざいに扱っては少し悲しいです、
―――それに、私の身も既に王女を捨てた身、お互い心機一転ですね」
「もったいなきお言葉……ゆめ忘れぬ様に尽力致します」
「ははは……お堅いなぁ…ヒースさんは、
……そうだ!せっかくなんでこれからはため口で接してください、
その方がこれからの生活に違和感ありませんし」
「そのような無礼ッ……!?私にはとても……」
「そうですかぁ……では、これは命令です!もっと砕けた接し方をしてください!」
「し、しかしっ……ですが……」
「ほら、とりあえずシルバって呼び捨てで呼んでください」
「っぐ……シ、シル……バ……様……」
「んーーー?」
「……シ…シルバ……さん……で、許してください……」
わなわなと震え、今にも血涙を流す勢いのヒースは乞う。
これ以上は流石に可哀想なので、落としどころをここにする。
「仕方ないですね、徐々に慣れていきましょうね、ヒースさんっ♪」
「申し訳……いえ、す、すまない……っ」
ぎこちない態度に微笑ましさを感じながらも、本題に取り掛かる。
「さて……ヒースさん、ジニア村での生活も落ち着き始めましたので、
一つ始めたい事があるのですが、いいですか?」
「始めたい……事、ですか…」
「はい、これなんですが……」
「これは、役所の人員募集……のようですが」
「そうです!働こうかと思うんです、わたし」
持ち出した書類は村の掲示板にあった物、それを彼に渡して相談する。
もはや無関係とは言えないヒースに、きちんと話を通すのは道理と思い包み隠さず今後の事を話し合う。
「―――ジニア村唯一の役所……そこでの募集、ですか……」
「元々この村の発展を目的にここまで来ました、本来であれば着任してから政務作業に
執りかかる事が出来ましたが、私が死亡した噂はどうやらここまで及んでいます、
正式にシルバ王女として活動することは出来ません」
「……故に、一般の募集から、ですか……」
「最初は小さなことからでも構いません、少しずつでも変えていきたいのです、
―――共に、来てくれますか?ヒースさん」
「勿論でございま―――っいえ……
もちろんだっ……!シ、シルバ……さん」
「ふふっ、よろしくお願いしますね」
次なる方針が決まり、私とヒースは明日を見据える。
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