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シルバ・アリウム、剣聖と成る
十五話
しおりを挟むだが、その大槍は黒い死神によって捌かれ、シルバは涼しげな顔で目を細めていた。
「あー……出て来ちゃいましたか、ヒース」
「こればかりは見過ごせません、お許しを……いや、許せシルヴィア」
予想外に予想外が重なり、場は混沌とする。
事前の計画とは違う展開に頭を痛めるシルバ、そして待機を命じられていたヒースはその命を破り護衛に入る。
だがなにより、この場にいた兵士一同は、皆肩を震わせながらその姿を焼き付ける。
「……な、なな、なんだ貴様ッ……」
「兵士であるならば俺の姿を知っていてもおかしくないと思ったんだが、
それとも、帝都以外の人間にはあまり有名じゃないのか俺の存在は?」
「いやッ……嘘だッ……噂じゃ死神は死んだって話だろ……なんでッ……」
「―――ヒース、念を押しますが殺していけませんよ、
貴方の剣も手も、私がいる限り血で汚す事は許しません」
「心得ておりますよ、我が―――」
姫、なんて言葉は口にせずにその死神は視界から消える。
攻防は一瞬、怖気づいた大男は死神の姿を目に映す事も出来ず、死角を取られる。
「ぬおッッ!?」
部隊長である大男は、その重い鎧ごと宙に浮かぶ。
それはヒースによる体術で身体を弾かれ、その衝撃で上空に吹き飛んだ為である。
達人の域であるその体術は、本来であれば死に至る程の打撃であったが、シルバとの約束により手心を加えられている。
―――ヅガンッッッ!!!!
とは言え、その威力は絶大であり大男は身体を地面に打ち付けて気を失った。
「間違いない……アイツは、帝都で噂されていた死神だッ!?」
その圧巻の技を見た一人の兵士がそう叫ぶ。
黒い外装。
特徴的な黒布で覆われたその顔。
そして影から出でるその転移術。
それらの突出すべき要素が、噂されていた死神と合致し故に兵は恐怖する。
―――アリウム騎士団の幻影と噂される、黒き刃の死神。
ヒース・ライトはその二つ名を以て畏怖された。
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