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シルバ・アリウム、剣聖と成る
二十八話
しおりを挟む「さて、真意の分からぬ話を続けても無益です、
さっそく本題にとりかかりますので、シュバルツ様も楽にしてください」
「っは、失礼致します」
姿勢を正して席に着く際、シュバルツは死神を一瞬流し見て警戒する。
「シュバルツ様、まず最初に―――」
「―――失礼、王女様……書面でご提案頂いた三つの議案、これらについて私の見解を
先に伝えてもよろしいでしょうか?」
「流石に話が早いですね、助かります」
「……では、単刀直入に告げるとこの三つの条件は全て呑ませて頂きたい」
「………あら?あまりにあっさりと受け入れて頂けるのですね」
「それはそうでしょう、提示された条件はジニア村の発展を目指す物、
新しく領地を任された身としては村の発展は重要な仕事ですから、
当然ながら領主として受け入れる義務があり、断る理由などありません」
至極まっとうな返答。
まさに理想と言える騎士の在り方と思わせる彼に、安心と同時に僅かな不安が過る。
「―――ですが、これらの条件を容認する代わり……
と言ってはなんですが、こちらからも一つお願いをしても良いでしょうか?」
「……ええ、問題ありません」
利益と不利益の損得勘定。
表面上は完璧な理由を揃えてはいるが、その実は家名と名声を第一とした行動。
シュバルツのお願いがどんな物であれ、取引のような形を持ちかけてきた時点で実直で忠心的なヒースとは対照的であった。
「まず、王女様はこの街で五年に一度執り行われるお祭りをご存知でしょうか?
帝都や他国からも有名な権力者がこぞって参加する大きなお祭りなのですが、
二週間後にそれを控えて今も街全体で準備を進めております」
「確か、この街に古くから建造された闘技場、それを利用した大規模な剣術大会……
であったと記憶しておりますが、何か関係が?」
「……私の願いはただ一つ、シルバ王女にはその剣術大会に参加して頂きたい」
予想外の要求に思わず考え込む。
この願いにどんな意味があるのか、自らの利を第一とする彼にどんな得があるのか。
少しだけ間を置いて口を開くと、その声は護衛している彼に止められる。
「―――お待ちください、シュバルツ侯爵……いかにシルバ王女が巧者であっても、
剣術大会という危険な競技に参加するのは疑問があります」
「これは私と王女様の話し合いです、その判断を貴方が決める権利など無いはずですが?」
「……しかし、この街の剣術大会は過去に死者が出る程の苛烈さを極めます、
シュバルツ侯爵はそれを理解した上で仰っているのですか、返答次第では―――」
瞬間、―――空気が凍る。
完全武装を施した黒き死神は、殺気を漂わせ威圧する。
身体に魔力が循環され始めると、呪詛めいた魔術文字が浮かび上がり、黒布が暗く輝く。
―――これこそが帝都の兵が恐れを抱く死神の姿。
首元を覆った黒布が特徴的な黒き刃の首魁であった。
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