天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

文字の大きさ
33 / 102
シルバ・アリウム、剣聖と成る

三十二話

しおりを挟む

 そんなミオの心中を知らず、シルバはウキウキで黒き刃の紹介を始める。


 「それでですね、少し背の低い一番年下の子がカズキって言います」


 ちらり、と後ろを覗き見ると、それらしき男の子が愛想よく手を振って応える。
 その素振りに若干癒されたと思いきや、振っている腕に物騒なナイフが装備されていて笑顔が引きつる。


 「細身で髪を後ろで束ねていて、よく“ククク……”って笑う方がヘイさんです」


 背の高い彼は、期待通りククク……と笑ってこちらに視線を向ける。
 しかし、皆が纏っている不気味な黒布が怖すぎて、ミオは笑い方とか気にしている余裕が無かった。


 「で、無口で寡黙、けど一番見た目が派手な方がタキガワさんです」


 軽く頭を下げて会釈する彼は、見た目が派手と言うだけあって肌を晒している部分の刺青やアクセサリーの主張が激しい。
 その派手さがアサシンとしての不気味さとマッチして、一際近寄り難い雰囲気を形成している事はタキガワに自覚は無い。


 「そして、その中で唯一の女性であるサクラさんです、とても美人な方ですよ」


 黒紫色の髪を隠す様に目深くフードを被り、黒布を纏った顔は冷たい印象を持たせる。
 彼女は涼しげに目を細めると、一時的な主人となるミオを見据えて微笑んだ。


 『……ワ……ワァ……コセイテキナヒトタチダナ~~』


 言葉が出ず、必死に笑顔を作ってこれから一緒に仕事をする仲間にはにかむミオ。
 彼女の心労と疲労は、これからも無慈悲に積み重なるであろう。


 「―――と、彼らの紹介はほどほどに、
  こちらの仔細は文にてお伝えしますので、ミオはお伝えした内容の業務を
  お願い致します、何かあれば追って連絡しますので」

 『……わかりました、まぁ、色々言いたい事はありますが、
  私からはただ一つ、無理して怪我だけはしない様にお願いしますね、
  あなたの身は貴方が思っている以上に大事なのです、くれぐれもご自愛ください』

 「肝に命じておきます、ヒースもいるので無理はしませんよ、ふふっ」

 『―――では、ジニア村はこちらに任せて安心して己が使命を全うしてください、
  こちらも何かあればご連絡しますので、それでは、失礼致します』


 ミオとの連絡は切れ、会話を媒介していた魔法石はその輝きを失って淡い色でくすむ。

 普段の会話も喜怒哀楽のはっきりしたミオだが、遠く離れた場所でもその感情が伝わってなんだか面白い。
 
 思わぬ発見をして気持ちが軽くなり、また今度魔法石を使った会話をしようと心に決めた、その時であった。


 ―――ドサササッッ!!!


 私室でミオとの通信を切った直後、情け容赦無い量の資料が机に叩きつけられた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

処理中です...