天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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迷いと、後悔

八話

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 ジニア村で起こったシバによる騒乱から二日。

 村は復興しつつも、戦火の対処に追われていた。
 焼け落ちた家屋の修復、傷付いた人たちの治療。

 それらは隣国であるバーベナの支援を伴って、迅速に行われていた。


 「―――おい!!建設資材はそこに運んでおけ!!
  医療品と食料品は役所に運んで納品数の確認を忘れるなよ!!」


 現場を取り仕切るはレッド。

 彼は乗り掛かった舟と言い、ジニア村での仕事を受け持ってこの二日間働いている。
 
 元々の性格から人の為に動くことを厭わないレッドは、戦いとは別の顔で王子としてその才を発揮していた。


 「ったく……小さな村かと思いきや、中々にやることが多いなここは」


 戦闘分野で遺憾なく示していた能力を、政でも器用に使う。

 すると、怪我をした腕を固定しながら、丸眼鏡をかけた女性が現れる。


 「―――お疲れ様です、王子」

 「ん?おう、ミオかっ!!怪我の方は大丈夫かよ?
  無理して外でなくて大丈夫だぞ、こっちはなんとかなるぜ」

 「ええ、おかげさまで随分と良くなりました、
  腕の痛みと裂傷もだいぶ引きましたので、お手伝いしますよ」

 「なんだってここの連中はこうも働き者ばかりなんだ、
  少しはサボる事を覚えてもいいんだぜ?その為に上の連中がいるんだ」

 「ふふっ、上の立場の人が銀の王女になればわかりますよ」

 「それは苦労が伺えるな、悪かったよ」


 軽い冗談を交えつつ、ミオはしっかりとした足取りで作業に合流する。

 変わらぬ要領の良さで仕事をすると、レッドは気まずそうに問う。


 「それで……シルバ王女は?今日もアイツのところか?」

 「ええ、容態は落ち着いたものの、未だ効果的な治療もなくヒース様は
  危険な状態です、万が一に備えシルバ様が看ております」

 「そう、か……禁術とされる呪いの類だ、俺も心当たりがあれば人を頼れるが、
  有数の聖女の力となると、この大陸でもそういない、どうしたもんか……」

 「レッド王子が気負う事ではないですよ、村の援助までして頂いていますし、
  人質となった住民を助けて下さったのも貴方様です、これ以上の事を望んで
  しまってはシルバ様だって良く思いませんよっ!!」

 「ふっ……それが違うんだよ、俺だって人間だ、
  ただ何も考えずに動いている訳じゃない、打算的にやっている」


 少し、卑屈気味に言うと暗い瞳で彼は続ける。


 「村を救ったのも、復興を手伝うのも、情を抜きにしてもバーベナの為でもある、
  加えて、今後のシルバ王女へのアプローチだってし易い、そうは思わないか?」

 「……それでも、貴方は立派に務めを果たし私の命を救ってくださいました、
  そこに間違いはありませんし、感謝だってあります、
  ですので、分かりやすい建前を作って遠慮する必要はありません」

 「―――そうかい、アンタはやっぱりよく人を見てるな、
  これからも縁があればよろしく頼むぜ、ミオ!!」


 見透かされていたのか、それとも気恥ずかしいだけだったのか。
 敢えて威勢の良い声で返答し、バーベナ第二王子は持ち場を離れた。

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