賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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1話 賊狩りと少女

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 「このナイフはお前のだろう、返そう」

 「ぁ、は、はい……」

 「……何故だ」

 「え?」

 「何故ここにいる、ギルドへ戻るようにと言ったつもりだが」

 「すみません……ですが、少しでもお役に立ちたくて、
  拠点から近い位置に馬車を移動させていたら見つかって……」

 「―――そうか」


 咎める訳でもなく、呆れる訳でもなく、彼はただ頷くだけ。
 しかし、優しい手つきで私の殴られた跡を確認すると、クロスボウを構え直す。


 「俺から離れるな、まだ歩けるだろう」

 「っは…はい」


 照準は賊に、眉間を撃つ抜く為にクロスボウをリロードした。


 「っへッ!?なんでッ!!俺はっ……情報を話しただろっ……!!」

 「そうだな」

 「っひッ……!!やめ、やめてくれッ!!!何が目的なんだよぉ……
  どうしてッ……どうしてっ……こんな、ひでぇ事すんだよっ……!!」

 「どうして、だと」


 それは、逆鱗だった。

 装填したボルトを発射し、賊は関節を木に括り付ける格好となった。
 血塗れになり、もはや死ぬだけとなった身体は痛々しく震えている。


 「お前らは何を奪い、何を踏みにじってきた、それともなにか、
  お前は自分が死ぬことを恐れながら殺してきたのか、ふざけるな」


 およそ感情らしい感情を見せない彼が、誰にでも分かる怒りと殺意をぶつけて、憎悪の言葉を紡ぎ続けた。


 「酷いだと……当り前だ、お前はこのまま酷く惨たらしく死ね、
  無様に泣いて死ぬんだ、それが唯一許されるお前の贖罪だ」

 「……ぁっ…ごッ……」


 顔が、内臓が、骨が、ぐちゃぐちゃになるまで騎士は殴っていた。
 自身でも気付かぬうちに殴っており、冷静さを欠いて拳を振り上げる。

 が、あまりに逸脱した行為に私は飛び出し、彼の返り血を浴びた鎧を抱きしめて動きを止めさせた。


 「もうやめてくださいっ!!アルバートさんっ!!」

 「―――何故だ」

 「これ以上殴る意味なんてないですっ!!やめてくださいっ……」

 「お前は……憎くないのか」

 「憎いですッ!!けど、それよりも悲しいんですよッ……!!」

 「悲しい……そうか…そう、か……」


 何が悲しいのか、私には分からない。

 けど、悲痛すぎる彼の姿に、涙が溢れて止まらない。
 だから止めた、止めてしまった、人道を逸したこの暴力を。


 「―――必要な情報は聞けた、ついてこい」

 「……っ…はい…」


 これは、騎士が歩んできた殺戮のほんの一部に過ぎない。
 その一端を垣間見て、無垢な少女は、虐殺への道を彼と歩んでゆくのであった―――。

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