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1話 賊狩りと少女
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しおりを挟む林道を抜け、盗賊が拠点としている廃村が目視できる距離まで来る。
息を潜め、回り込んで高い位置から敵の動きを観察していると、アルバートは遠眼鏡を腰から取り出した。
「よし、敵の規模は情報通り、人質もあの小屋に囚われている、
……これを見ろ、小屋の場所を確認しておけ」
手渡された遠眼鏡を受け取り、天井や壁が節抜けのボロ屋を見ると攫われた子供たちが俯いて泣いていた。
そして、子供たちの横で行われる下劣な行為を受ける女性の一人。
もう一人はうずくまり、動かずに横になっている。
その時、確かに私の中で怒りを感じた。
人を人と扱わず、物の様に扱われる事に耐えがたい怒りを覚える。
「なんて……酷い…」
「そうだ、一秒でも早く人質を救出し、奴らを全員根絶やしにする、
そのために、まずは事前に手を打った酒樽を使う」
「攫われた方はどうするのですか…?」
「爆薬を起爆後、俺は敵陣を突破しなるべく賊を引き付ける、
お前は遠眼鏡で様子を伺いながら、人質周辺の賊が消えるのを見計らい、
彼らを先導して裏から林に紛れて身を隠せ」
「アルバートさんに、もしもの事があったら……どうされるのです…」
「万が一あっても、そのまま身を隠しギルドの援軍を待っていろ、
今度は間違っても独断で動くな、次は必ず殺されるぞ」
警告しながら武装を整え、背負っていた荷物を降ろして黙々と準備する。
組み立てるはスナイパークロスを固定する台座。
それを設置し、構えた時の感触を確かめながらスコープを覗いて話を続けた。
「廃村から南の方角を見ろ、賊が持って行った酒樽の馬車が見えるだろう、
このままこれで爆薬を起爆させ、敵に感知されるまでは狙撃で戦力を削ぐ、
突破の際は近接戦闘用にこのクロスボウを使用する、お前は絶対近付くな」
彼が言う近接戦闘用のそれは、前に見た弦が滑車状に改造されたクロスボウ。
特殊な構造をしており、二十発のボルトが敷き詰められた弾倉を縦に装填できる。
更に一発の発射ごとにボルトが下にスライドし、連続発射を可能としていた。
連続発射を可能とするために必要な構造が滑車状の造りであり、トリガーを押し続けている間ボルトを撃ち続ける。
剣と魔法の現代において、枯れた技術で冒険者を務める人間は彼しかいなかった。
「しかしっ……クロスボウだけであの人数相手に勝てるのですかっ……?
正直、いくら作戦を練っても単純な物量で押し返されてしまう気が……」
「そうだ、どれだけ優秀な剣士や魔法師がいても、
連携の取れた賊相手では単純に物量差が出る」
誰にでもわかる戦力差を、この騎士はそれを知った上で言い切る。
「ならば、こちらはその上を往く物量で押し潰すだけだ、徹底的に」
慣れた手つきでパーツを取り出し、金属的な音を立てて組み立てるともう一丁のクロスボウが完成する。
それは追加の近接型の弩、散弾型クロスボウであった。
「それ……二つ使うのですか」
「ああ、このクロスボウは精密な射撃と一発の威力は低い武器だが、
連射性が高く集団相手では無類の強さを誇る、
更に、こちらは弾頭に爆薬を付けたボルトを撃ち出し、敵を吹き飛ばす」
「全員、殺すのですね……」
「無論だ」
ガチャリ、と鎧を鳴らして全ての準備を終えると、彼はスナイパークロスを構えて射撃体勢に入る。
と、戦いの火蓋を切るその直前、最後に彼は口を開く。
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