賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

文字の大きさ
14 / 68
1話 賊狩りと少女

14

しおりを挟む

 「私には、アルバートさんがとても強く思えます……
  それでも、まだ力が足りないのですか?」

 「そうだ、だからお前を引き入れる」

 「でも……私に何が出来るんでしょうか……」

 「それを今日話す、まずはギルドで発行したカードを見せろ」

 「あ、はいっ!!」


 正式にギルドでの冒険者登録をした私は、手続きの際に貰った身分証を兼ねたカードを取り出してアルバートに渡す。

 それには、冒険者としての資質も書き出されており、様々な適正がカードに記されていた。


 「―――なんだ、これは……」

 「あ、やっぱり……おかしい、ですよね……
  適正検査を担当した受付の人にも変な反応をされました」

 「いや、いい……気にするな」


 適正検査の項目はいくつかある。

 冒険者として必要な資質として、魔法や剣術などの適正を段階的にランク付ける。
 最高ランクをAとして、最低がEである評価基準であるこの検査で私は思うような結果を得られなかった。


 「なんでしょう、ね……まさか全部D判定なんて」

 「問題はそこじゃない、むしろ全部の項目が評価されている事に驚いている」

 「……え?」

 「大概は二つか三つに判定が付き、残りは未評価となるはずだ、
  が、お前は全ての項目に低いながらも判定が付いていた」

 「それは、珍しいのですか?」

 「少なくとも、八つ全てに判定を貰った冒険者を俺は知らない」


 嬉しいような、それでも情けないような。

 自分の中では全ての資質が低い事実は変わらず、これからが心配になる。


 「いずれにせよ、お前には可能性がある」

 「私に……」

 「判定は今後伸びる事もある、定期的にギルドで見てもらえ」

 「わ、わかりました!!」

 「当面は魔法を優先して覚えろ、俺に出来ない事をやってもらう」


 その言葉に、胸が鳴る。

 何人もの人を救ってきたであろう彼が、自分に出来ない事をやって貰おうと私に頼っているのだ。

 嬉しくて、つい笑顔になった。


 「それと、俺は武器を多用する戦闘の性質上その制作や調整を必要とする、
  アリウムにもその手伝いをお願いする、時間をかけても覚えろ」

 「頑張りますッ!!」

 「よし、今日からここに住み込みで働いてもらう、いいな」

 「―――はぇ」


 思わぬ提案に、思考が凍る。
 確かに広い工房だ、私一人が住んでも問題ないほどに。

 しかし、しかしである。

 私も一応女の子であり、憧れているとは言え相手は男性だ。
 戸惑いもするし、考えもした。


 「どうした」


 だが、この人の素顔や表情を見て確信する。

 彼にはきっと、感情が、無い。

 いや、正確には憎しみや怒りはあるのだろう。
 けれど、ここまでの会話で一度として笑う事も無く、終始業務的に話を進める。

 その姿に機械的な恐怖を感じつつ、彼が私に何かをする可能性を否定できた。


 「アルバートさん、これからよろしくお願いします!」

 「―――ああ」


 様々な不安を抱えながらも、新しい生活がここで始まる。

 賊狩りと呼ばれた彼との共同生活は、波乱に満ちるのであった―――。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~

水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」 第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。 彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。 だが、彼女は知っていた。 その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。 追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。 「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」 「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」 戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。 効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~

夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」 婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。 「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」 オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。 傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。 オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。 国は困ることになるだろう。 だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。 警告を無視して、オフェリアを国外追放した。 国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。 ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。 一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?

ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。 卒業3か月前の事です。 卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。 もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。 カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。 でも大丈夫ですか? 婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。 ※ゆるゆる設定です ※軽い感じで読み流して下さい

処理中です...