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1話 賊狩りと少女
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しおりを挟む「私には、アルバートさんがとても強く思えます……
それでも、まだ力が足りないのですか?」
「そうだ、だからお前を引き入れる」
「でも……私に何が出来るんでしょうか……」
「それを今日話す、まずはギルドで発行したカードを見せろ」
「あ、はいっ!!」
正式にギルドでの冒険者登録をした私は、手続きの際に貰った身分証を兼ねたカードを取り出してアルバートに渡す。
それには、冒険者としての資質も書き出されており、様々な適正がカードに記されていた。
「―――なんだ、これは……」
「あ、やっぱり……おかしい、ですよね……
適正検査を担当した受付の人にも変な反応をされました」
「いや、いい……気にするな」
適正検査の項目はいくつかある。
冒険者として必要な資質として、魔法や剣術などの適正を段階的にランク付ける。
最高ランクをAとして、最低がEである評価基準であるこの検査で私は思うような結果を得られなかった。
「なんでしょう、ね……まさか全部D判定なんて」
「問題はそこじゃない、むしろ全部の項目が評価されている事に驚いている」
「……え?」
「大概は二つか三つに判定が付き、残りは未評価となるはずだ、
が、お前は全ての項目に低いながらも判定が付いていた」
「それは、珍しいのですか?」
「少なくとも、八つ全てに判定を貰った冒険者を俺は知らない」
嬉しいような、それでも情けないような。
自分の中では全ての資質が低い事実は変わらず、これからが心配になる。
「いずれにせよ、お前には可能性がある」
「私に……」
「判定は今後伸びる事もある、定期的にギルドで見てもらえ」
「わ、わかりました!!」
「当面は魔法を優先して覚えろ、俺に出来ない事をやってもらう」
その言葉に、胸が鳴る。
何人もの人を救ってきたであろう彼が、自分に出来ない事をやって貰おうと私に頼っているのだ。
嬉しくて、つい笑顔になった。
「それと、俺は武器を多用する戦闘の性質上その制作や調整を必要とする、
アリウムにもその手伝いをお願いする、時間をかけても覚えろ」
「頑張りますッ!!」
「よし、今日からここに住み込みで働いてもらう、いいな」
「―――はぇ」
思わぬ提案に、思考が凍る。
確かに広い工房だ、私一人が住んでも問題ないほどに。
しかし、しかしである。
私も一応女の子であり、憧れているとは言え相手は男性だ。
戸惑いもするし、考えもした。
「どうした」
だが、この人の素顔や表情を見て確信する。
彼にはきっと、感情が、無い。
いや、正確には憎しみや怒りはあるのだろう。
けれど、ここまでの会話で一度として笑う事も無く、終始業務的に話を進める。
その姿に機械的な恐怖を感じつつ、彼が私に何かをする可能性を否定できた。
「アルバートさん、これからよろしくお願いします!」
「―――ああ」
様々な不安を抱えながらも、新しい生活がここで始まる。
賊狩りと呼ばれた彼との共同生活は、波乱に満ちるのであった―――。
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