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1話 賊狩りと少女
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しおりを挟む初めてのクエスト手伝いから数日、正式に冒険者ギルドに登録した私はある一枚のメモを片手に、街はずれの工房に赴いていた。
「えーと、メモだと……確かここに、あ……!あれかな?」
木々に囲まれた目立たない建物。
そこに佇む広めの工房は、厳重な柵で守られている。
まるで、来る人全てを拒むかのように。
「すみませーん!アルバートさーん?」
恐る恐る敷地内に入り、玄関と思われる場所から声を掛ける。
が、反応は無く、返ってくるのは鉄を打つ音。
一定のリズムで響く音は、奥の工房から聞こえており気になって足が動く。
「……おじゃましまーす…」
生活スペースである空間には何もなく、寂しさを漂わせる。
一方、工房に近付くにつれ工具や鉱石が無造作に置かれており、試作したであろうクロスボウなどが壁やテーブルに並んでいた。
そこには、努力や探求といった面影はなく、執念や憎悪が深く感じられる。
殺す為の道具を作る事に、彼は一切の躊躇が無いと悟った。
「アルバート、さん……?」
「―――来たか」
音の中心、鉄の鋳造から成型までを作業していた彼は鎧を着ていなかった。
それは初めて見る姿、あの印象的な青の鎧を纏わない彼。
「どうした、何かあったか」
「い、いえ……ただ、アルバートさんの素顔を初めて見たので……」
「―――そうか」
二十代後半、ぐらいだろうか。
大人びた風貌と言うには、あまりにも雰囲気が殺気立ちその瞳は暗い。
冷たい表情と目つきが悪いその人は、淡々と今日の目的を話す。
「アリウム、お前をここに呼んだのはパーティーに入る上で、
戦闘や遠征での役割を明確にしておく必要があるからだ」
「役割、ですか」
「そうだ、俺は今まで一人で冒険者のクエストを達成してきたが、
激化する戦いと共にそれも限界を感じていた」
「アルバートさんほどのお力があっても、そう感じるのですか?」
「当り前だ、俺は力の無いただの人間だからな」
そう言って彼は作業中の手を止め、こちらに向き直る。
「俺は魔法が使えない、才能が無く初歩的な物すら扱う事ができない」
「けどっ……」
「―――だから、俺は武器に頼る」
工房に置かれた武器の数々。
これらは力の無い彼が自ら作り上げた結晶。
賊を狩る為だけの武器は、紛れもなく凶悪な力そのものであった。
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