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1話 賊狩りと少女
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しおりを挟む「あがッ……!!!な、にが……」
「終わりだ」
「待―――」
転移符による間合いの確保は単純な方法で打ち破られ、改造クロスボウによる散弾が打ち込まれる。
―――片手の手甲。
それを咄嗟に盾にして短刀を受け止めたのだ。
鉄を貫く威力である一撃は、手甲を貫通して騎士の腕を傷付けた。
だがそれだけ、致命傷にはならず反撃に転じられる隙を生む。
確かにクロスボウを主体とする彼は、近距離戦を苦手としていた。
しかし、だからこそ対策をして装備を整える。
騎士が選んだ最適な武器は、手に馴染み扱いやすい武器ですらない工具。
ただの、金槌だった。
「残りも、殺す」
持ち変えたクロスボウを握り直し、金槌を戻す。
頭目は息絶え、統率の無くなった盗賊達は賊狩りと呼ばれた騎士を見て恐怖した。
「ヒッ……!!」
「く、来るなぁ!!化け物がぁ!?」
ここからは、蹂躙。
片手を負傷しようが格下の賊相手に後れをとる事など無く、弾倉を装填して虐殺が始まった。
鳴り止まない銃撃音、泣き叫ぶ盗賊、流れる血潮。
村の人質を救出する緊急クエストは、薄暗い凄惨な結果で幕を閉じる。
―――しばらくして、爆風で焼かれた廃屋は朽ち、肌寒い風が髪を揺らす。
私は、目の前の子供達の手を引いた。
「……では、人質の子達をお願いします…」
「確かに預かりました、ご苦労様でした」
冒険者ギルドの事後調査団の方々に救出した子供達と女性二人を引き渡し、視線を血まみれの騎士に向ける。
すると、彼は数人のギルド団員に取り囲まれ事情聴取を受けていた。
「はぁ……アルバートさん、貴方のやり方は流石に度が過ぎます、
これではどちらが犯罪者か分かりません、今回の件は上に報告します」
「……構わない」
冷たい、突き放す返答に若いギルド員が激昂する。
「構わないってっ…!!アンタに、お前に心は無いのかよ!!」
「心があれば、あの子供達を助けられたのか?」
「そういう事じゃないだろッッ!!!お前は殺し過ぎるんだ!!
それを変えろと何度注意しても、一向に変わる気配すらない!!」
「―――賊は、俺以上に人を殺し奪う……
俺には、このやり方が最善だと確信している」
「アルバートさん、貴方の考えはわかりました……
ですが、ギルドとしても見過ごせない物もあります、ご理解頂きたい」
「……ああ」
一触即発の空気が流れる中、騎士は重い空気を気にせずに立ち去る。
私は彼の背中に取り残されない様に、小走りで追いかけた。
「あのっ……!お疲れ様でした!」
「―――ああ、あぁ……」
「アリウムです!」
「ああ、アリウムもご苦労だった」
「いまのは、ギルド本部の人達ですよね……、
あんまり雰囲気は良くなかったみたいですが……」
「そうだな、いつもの事だから気にするな」
「そう、ですか……」
原因はなんとなくわかる、恐らくは行き過ぎたやり方。
いや、理由は様々あるだろうが彼は責任を問われていたのだろう。
一般的な冒険者の価値観は分からない。
だが、彼の行動の一つ一つが狂気の沙汰を超えた異常な物だと理解は出来てしまう。
それでも、私は手に残る子供たちの温もりを知っているから後を追うのだ。
非難されても、理解されずとも、あの青い意匠の鎧が印象的な騎士が私を救い、子供達を救った事実は変わらない。
―――だから、前を向ける。
何があろうと、彼の助けになりたいから。
「アリウム」
「え、はっ…はい!」
「今日からお前を正式にパーティーに加える、
クエストの報酬と必要な資金を渡す、ギルドで手続きを済ませておけ」
「……ぇと、それって…」
「よろしく頼む、アリウム」
短い言葉、それでも嬉しい。
役に立たなかった私を騎士は受け入れてくれた。
「よ、よろしくお願いします!!!」
まだ、冒険者として正しい一歩すら踏み出せていない。
けれど、人を守るこの道の始まりは、確かにここから始まろうとした―――。
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