賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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1話 賊狩りと少女

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 「消え失せろ」


 鉄を鳴らして弩を構え、躊躇なく発射する。


 ダガガガガッッッ……!!!!!


 丸い滑車状の弦が回転しながらボルトを撃ち出す。
 無軌道に広い範囲でボルトを撃たれると、数で勝る賊の一部はそれに被弾して動きを止めてしまう。

 加えて、見たことも無い攻撃手段を目の当たりにした彼らは、様子見を兼ねて距離を取ってしまった。

 それが、悪手とも知らずに。


 「な、なんだ今のクロスボウッ!?見た事ねぇぞこんなのッ!!」

 「ぐわっーー!!足がっ……あし、がッ……ぁぁぁあああ!!」

 「テメェら!!こんなもんで怖気ずくなッ!!足を止めるんじゃねぇ!!」


 リーダー格の男が檄を飛ばすが、もう遅かった。
 乱れた連携を突いて、単独となった一人に散弾型ボルトを叩き込む。

 火薬が発火し、ボルトの雷管を打ち起こして弦の張力と同時に発射。
 耳を割る音で飛ぶと、空中でボルトは飛散して弾頭から破裂した。

 パァン!!!

 その衝撃は貫通音。
 標的となった賊は文字通り、蜂の巣となって風穴をあけていた。


 「っ……ひ、怯むなぁぁ!!!殺せぇぇ!!!!」


 弱者をいたぶってきた盗賊は、たった一人の冒険者に畏怖する。
 だが、百戦錬磨の賊狩りは怯まずに引き金を引く。


 「一人残らず、殲滅する」


 充満する火薬と硝煙の香り、それに混ざる血と臓物の匂いが吐き気を催す。
 その屍を築く騎士は、慈悲も容赦もない戦いを披露して賊を撃ち殺してゆく。

 拡散する爆撃じみた散弾。
 絶え間なく撃ち続ける連射。

 距離を詰める盗賊達は間合いを離され、その数を減らして騎士に圧倒された。


 「クソがッッ!!!!調子にのるなよガラクタ野郎ッ!!!!」


 状況を不利と悟った賊の頭目は、懐から魔術符を取り出し行使する。
 流通数の少ない魔術符は、特定の魔法を瞬時に発動できる貴重なアイテム。

 それを惜しむ間も無く、目の前の騎士相手に魔術を展開。


 「―――転移符か」


 汎用性が高く、魔術の才能が無い者でも適当な魔力を通せば一定の効果を発揮するそれは、様々な効果を持つ。

 今、賊が使用した符は転移の魔術を即時使用できる魔術符。

 飛び道具が主体の青色の騎士にとって、この距離の詰め方は死に直結する。


 「死ねやッ!!!ガラクタぁぁ!!!!」


 転移符の存在を察知し、そこから次の行動に移るまで決して遅くはなかった。
 だが、死角に移動された一直線の突きに、防御は間に合わない。


 ガキンッ!!!


 鈍い音が一瞬響き、相対する二人の賊と騎士は僅かに動きを止めた。


 「なんで……俺がッ…!!」

 「―――死ね、賊が」


 次に聴こえるは、骨を抉る打撃音。

 騎士が短く振り抜いた腕は、工具用の金槌を持って賊を殴っていた。

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