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2話 山賊討伐の代償
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しおりを挟む少しの間休憩を挟みながらも、二人はハイド山の反対に位置する山間部に到着する。
そこは標高が少し高く、見渡しの良い崖側。
騎士は遠くを見下ろすと、姿勢を低くしてとある一点を見つめた。
「やはりな、地図の情報が正確で助かった」
「あ、あれは」
「例の大規模な山賊組織だ、確かに村のようなコミュニティを築いている、
厳重な武装を施されて塀を作り、警備も相当に配置されていそうだ」
「そんな、それではやはり……二人だけでそこを強襲するのは無理では…」
「正面からは絶対に無理だろう、だからここに来た」
荷物を降ろしたアルバートは辺りを見渡し、場所を確認する。
すると、少し下がって影入った木々に入ると、そこを拠点とした。
「アリウム、ここを陣地として数日間敵を見張る」
「わかりました」
「野営用のテントを置いておく、お前はこれを設営して山賊の見張りを頼む」
「あの、アルバートさんは?」
「俺は一度ここを降りて再度荷物を運ぶ」
休む暇もなく彼は動き、最低限の装備を整えて山道を戻る。
その際、少女が自らの役割に不安を覚えて俯いた。
「……アリウム」
「はい」
「火を、確か火の初級魔法が使えたな」
「は、はいっ!簡単な物でしたら……」
「夜は冷える、焚火を起こしておいてくれ、
煙が出ない様に魔法炭石を使って火を起こせ」
「―――わかりましたっ!」
気を遣っての発言ではない。
だが、彼女にしか出来ない事を任せることで、騎士は少女の不安そうな顔を明るくしてその場を立ち去る。
アルバートもまた、人と行動する事で少しずつ何かが変わりつつあった。
―――それから数日。
山賊の拠点を発見して野営を続け、その動向を見張っていた二人。
静かに、黙々と遠くから遠眼鏡で山賊を見ていたアリウムは一つの葛藤を抱いていた。
「……アルバートさん、いま、いいですか」
「なんだ」
この数日、アルバートは持ってきた金属部品を組み立て一つの武器を作っていた。
それは長く、横3mの幅を持つ巨大な砲撃装置。
この兵器の細かな部品から大きな部品まで、様々なパーツを繋ぎ合わせ作業する。
そのため、邪魔をしない様にアリウムは持ち場を離れる事は無かった。
が、山賊の拠点を見張って一つ、気付いた事を質問した。
「―――山賊の村に、どんな人がいるかアルバートさんは知っていますか?」
「……ああ」
「知っていて、その武器で殺すのですね」
「―――ああ」
「他に方法はないんですかっ!!」
「無い、お前は一人一人あそこから人を選別して殺せるか」
アリウムが抱いた葛藤。
それは山賊の拠点に子供がいること。
大きな組織となって村の様になったそれは、人の営みを持つ事も少なくない。
故に、優しく潔白な少女には堪える。
いかに大義名分があろうと、子供には罪はない。
それをわかって尚、彼は遠くに見える拠点を壊滅させようとしていた。
凶悪で、火薬と血と怨嗟を体現した、巨大な武器によって。
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