賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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3話 挑発と挑戦

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 その頃、アリウムはバハの個室に連れられ窮地に立っていた。


 「ふぉーふぉー……アリウムとか言ったかの、儂の言う事には逆らうなよ」

 「―――なんの権利があって、そんな事が言えるのですか」

 「そんなものは儂が領主で偉いからに決まっておる!!!
  わざわざ汚い冒険者を雇い、奴隷共を買い集めているのも儂が偉いからじゃ!
  使えない愚民どもを領主である儂が上手く使うのも当然の事!!!」


 「……そうですか、よく、わかりました」

 「理解出来たのならそのままじっとしておれ、今奴隷の魔法刻印を付けてやろう」


 バハが懐から取り出したのは焼きごての形をした魔法刻印。

 刻まれた効力は奴隷による縛りを強制させるものであり、一度それを結んでしまえば術者には逆らえない。

 アリウムは下卑た笑みを浮かべるバハを相手に、終始冷静に思考した。


 (手を縄で縛られ下手な抵抗は出来ない、魔法も触媒が無ければうまく使えない、
  武器も無く、体の自由を奪う為の魔法を掛けられて全力で力も出せない、
  けど、ここで諦める訳にいかない、何か打開策はあるはず)


 周りを見渡し、現状をきちんと理解する。

 どんな状況であっても取り乱さず、最大限出来る事をする姿勢はこの短期間でアルバートから学んだ能力であった。


 「ほれ、いま儂の奴隷にしてやるからの」

 「その前に、一ついいですか」

 「ん?なんじゃ?」

 「貴方にとって領民とはどんな存在なのですか」

 「何を聞くかと思えば……そんなもの簡単じゃ、全て儂の道具に決まっておる!!」

 「なるほど……アルバートさんは、正しかった」


 少女の目の前にいる化け物は、権力に取りつかれた醜い獣であった。
 自身が相手をする人間が善か悪か、アリウムは言葉でそれを確かめ決意を固める。
 
 次の一瞬に、僅かな揺るぎすら起こさぬ様に。


 「何を言って―――」


 バハが口を開いたその瞬間。

 その汚い口目掛けて、アリウムは今出来る全力の頭突きを浴びせた。


 「ごがッッ!!!???」


 体重を乗せた一撃は、バハの前歯をへし折った。

 突然の衝撃に手に持っていた刻印を離し、彼は床にうずくまる。


 「いっつ……そこで大人しくしてださい」

 「ぐおおッ……小娘がぁ……!!」


 急いで立ち上がり部屋を出ようとするアリウム。

 事前に扉を確認し逃走経路を確認していた。
 その為、施錠されている鍵を奪うために迅速に行動に移る。


 「―――よし、ここに」


 彼女はバハの行動をよく観察し、何気ない動作も見逃さなかった。
 
 個室を開けるために使った鍵を上着のポケットにしまい、その上着を雑に机に置いていたのを確認している。

 故に動きに迷いは無く、後ろに縛られた腕でなんとか鍵を手に取った。


 「ごががっ……ふごっ…のがさぬぞ、こむすめぇッッ!!!!」


 顔面を血だらけにしながらバハは立ち上がる。
 そして、鈍重な動きでアリウムに突撃した。

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