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3話 挑発と挑戦
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しおりを挟む「―――ッ」
心臓から這い出る魔力の躍動。
あとは意思と決意を、目の前の敵に―――
「なッ……!!!コイツッ!?無触媒詠唱だとッ!?」
―――叩き込む。
「はぁッッ!!!!」
“無触媒詠唱”
本来、魔術を正しく作動させる為には触媒を通して魔力を操作させる。
しかし、限られた魔術師であれば触媒を使わずに瞬時に魔術を行使する事も可能。
故に、アリウムは試した。
成功する保証は無い、だが魔法は作動して冒険者を吹き飛ばす。
「ぐわッッ!!!!」
指先から魔力を伝達して発現したのは、魔法の失敗現象。
そう、アリウムは最初から無触媒魔法が成功するとは思っていなかった。
目的は別にあり、この失敗現象によっておこる爆発こそが目的。
「畳み掛けるっ…!!」
小規模な爆風から体勢を崩す冒険者。
そこを一気に攻め込み、勝負を決めに行く。
身体の感覚が戻りつつあるこの瞬間、重い打撃を仕掛ける。
―――ゴッ!!
小柄な女性とは思えない威力。
重心と体重移動を上手く使った洗練された格闘は、確かに男の身体を穿つ。
「てっ……!!テメェっ…!!こんな技をっ……!!」
発動こそ失敗したものの、アルバートから学んだ発想を転用した無触媒詠唱。
日々修練を積み、形となった近接格闘術。
あらゆる要素を使い、格上となる冒険者を追い詰める。
「もう許せねぇっ……腕の一本は切り落とすッ!!!」
振り上げられた高速のダガー。
その軌道を読み取り、懐からペーパーナイフを取り出す。
キィィンンッ……!!!
刃が残響を鳴らし、斬撃を弾く。
防御姿勢をとって攻撃をいなし、この攻防を終わりにする。
「ぐあッ!?」
「―――終わりです」
突き付けられたナイフ。
冒険者は身動きが取れず少女に敗北した。
「ここいる人たちを今すぐ解放してください」
「っ……つけあがるな、俺に勝ったぐらいで全て上手くいったつもりか?
すぐに屋敷の警備がここにくる、お前は奴隷となる事は変わらない!!」
「そうですか……それは、残念です」
「なにをっ……ぐあぁぁぁッッ!!!???」
見様見真似だった。
腕を、あらぬ方向に曲げた。
奴隷となった人たちの想い、領主と連携して賊を手助けした事。
積み重なった黒い感情が昂り、私は初めて自身の意思で人を傷つけた。
「くそっ……小娘風情がっ……!!お前は、絶対ッ……!!」
「改めて問います、ここいる人たちを解放させてください」
腕に込める力を強め、脅しながら問うと一人の英雄が現れた。
「―――その必要は無い、アリウム」
「……アルバート、さん?」
聞き慣れた声。
安心感を覚える声色。
ゆっくりと歩を進め、青い鎧を血に染めた騎士が姿を見せる。
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