賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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3話 挑発と挑戦

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 「……は?お前、どうしてここにッッ!?ランスさんが殺したはずじゃッ!!」

 「奴はギルドが身柄を拘束している、お前も、バハも終わりだ」

 「―――嘘だッ!!ふざけるなよ!!お前如きが蛇を倒せるわけっ……」

 「できますよ、アルバートさんは……強いんです」


 言い切るアリウムは、冒険者の腕に込めた力を強めた。

 その様子を見たアルバートが彼女に近付き、その手を止める。


 「お前は、こんなやり方をしなくていい」

 「……え」

 「無事で良かった、よくやったアリウム」


 優しい口調、触れた手の温もり。

 伝わった感情に安堵したアリウムは、一気に緊張感がほぐれてふらついて脱力した。
 それを大事そうに受け止め、彼は足元の外道に言う。


 「―――貴様は、冒険者の立場を利用し賊に加担した、
  直接殺す事が出来ないのが残念だが、然るべき処罰が下るだろう」

 「ぐぅっ……処罰、だと?」

 「時機にギルドがここを包囲する、大人しくしていろ」

 「っは!!領主相手にそんな事しても意味なんかねぇぞ!!
  どうせ圧力をかければギルドも手を引き、多くの権力者が今回の件をもみ消す!!」

 「そんな事はさせない……俺が、そうさせない」

 「どうされるのですか、アルバートさん……」


 騎士は冒険者の身体を拘束し、雑に投げ捨てる

 そして、檻に近付き奴隷の人々に視線を落として声をかけた。


 「お前たちは今日から自由だ、俺が保証しよう」


 怯えた瞳、震える身体、声を出そうにも恐怖がそれをさせない。
 まるで、あの時助けて貰った少女のように、彼女達は声を振り絞る。


 「っつ……わた、わたし…は、もう……死にたいっ……」

 「死ぬ事は簡単だ、だが、お前が死んでも屑どもはのうのうと生きてゆく、
  せめて、一矢報いたいと思うならここから出て自分で歩いてみろ」

 「じぶ、ん…で……けど…」

 「―――屋敷の兵は俺が無力化した、お前らが殺したいほど憎いバハも
  上の階で手足を縛って鎖で繋いである……後は、選択するだけだ」


 そこまで聞いて、彼女達は生気を瞳に宿す。

 一人単独で現れたアルバートは、屋敷内の武装した兵を次々と倒しここに来た。
 
 既に満身創痍であるにも関わらず、体の負荷を度外視してバハを捕らえたのには奴隷となった人たちを逃がす為。

 それは逃走経路の確保と、彼女達の精神的な拠り所を考えた行動であった。


 「アリウム……ここにいる人たちを解放する、手伝ってくれ」


 奪って来た鍵を取り出し、彼はアリウムにそれを手渡すと姿勢を崩す。
 限界は近く、意識も朦朧としているのが分かる程であり、アリウムは彼を心配する。


 「アルバートさん……体が…」

 「―――問題ない……それより、解放が済んだら彼女達と一緒に屋敷から出ろ、
  すぐにサクラが来てくれるだろう、後は彼女に任せればいい」

 「でもっ……!アルバートさんをこのままにする訳にはっ…!!」

 「……俺の心配はいらない、大丈夫だ」

 「わたしはっ……アルバートさんにも傷付いて欲しくないです、
  沢山の人々を救う目標に、貴方も含まれている事を忘れないでください」

 「―――そうか、俺すらも……救う、か」

 「だから、最後までお供しますよ」

 「……分かった、頼りにしている……ありがとうアリウム」


 囚われた人々を救い出し、二人は互いを信頼して共にいた。

 後に、現場に急行したギルド本部の冒険者と自警団が屋敷を包囲し事件の関係者を捕縛。

 アリウムが確保した資料と被害にあった奴隷の人々が決定的となり、事件は大きく拡がって市民に混乱を招いた。

 少女誘拐の捜査から発展し、違法な人身売買や冒険者の立場を利用した情報漏洩まで数々の犯罪を確認するまでに至ったこの事件。

 様々な余罪を追及するべく、この一帯を取り仕切る領主であるバハと、シルバークラスの冒険者数名が捕まり問題なく幕を閉じたかに思えた。


 ―――賊狩りと呼ばれた騎士が、留置所で拘束されている以外は。

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