賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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4話 魔を討つ

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 あれから一週間が過ぎた。

 未だに帰らないアルバートを心配するアリウムは、事情を知っているサクラに呼ばれギルドへ向かう。

 工房の復旧をしていたシキもアリウムに同行し、珍しく研究以外で自発的に行動した。


 「アルバートさん……大丈夫、なんでしょうか……」

 「どうだろうね~、相当無理して戦ったらしいから身体はボロボロだって聞いたけど、
  なによりここまで外に出れないのは、今回の件での罪を問われているのかも……」

 「罪なんてっ…!アルバートさんは囚われた人たちを救っただけなのにっ!!」

 「たくさんの人を救った事は事実かもしれないけど、
  一番救いたかったのはアリウムちゃんだと思うよ」

 「あの人は……きっと、私の命よりも大勢の命を大切にしますよ…」

 「そうかにゃ~?アタシにはそうは見えないけどね~」


 変わらない猫めいた笑顔で暗い表情のアリウムを照らすシキ。
 その温かい日向のような顔を見て、彼女も少しだけ笑顔を取り戻す。

 そして、事件の混乱が未だ続くギルド内に訪れる二人はサクラの私室に向かった。


 「―――お邪魔します、サクラさん」

 「おつ~サクラ~」

 「二人ともよく来てくれたわ、ごめんね連絡が遅くなって……
  ちょっとギルド内での情報統治とか、冒険者の人達の内部捜査が忙しくてね…」

 「仕方ないですよ、ギルド内部で起こった不正も対処しなければならないですし、
  なにより、領主不在の状況でこのエリアの治安も危惧されます」

 「おまけに、今回の事件の引き金となった張本人は二日も寝込んで起きないし、
  起きたと思ったら身体に刻まれている魔術刻印が特殊すぎて治療の仕様がないときた、
  もうここ数日で頭痛くて仕方ないわ……はぁ……お酒飲みたい…」

 「にゃはは~お疲れだねサクラ」

 「シキ、貴方が来るなんて意外だったけど?こういった面倒な話は
  いつも聞かないで好きな事していたでしょ?」

 「そだよ~、面倒な事は嫌いだからしない主義なの、
  でもね、アタシにとってはアルバートくんがいない研究の方が面倒なの、
  さっさと彼をお外に出して貰ってもいいかにゃ~?」

 「アルバートさんは今どこにいるのですか、
  ……それに、特殊な刻印というのはっ…!!」

 「―――いまから現状の説明をさせて貰うわ、
  けど、これは彼に関わる重大な機密であり、決して口外してはならない」

 「わ、わかりました」


 鋭い空気が一瞬流れ、アリウムは身構えて姿勢を正す。


 「まず、アイツの身体に関してだけど違法な魔術刻印による身体不全が原因よ」

 「―――え」

 「かつて、魔術教会を追放された魔女と呼ばれた異才の魔術師がいた、
  その魔女は蒼黒の魔女エアリスと呼ばれ、非人道的な魔道実験を繰り返した、
  経緯は分からないけど、アイツはその魔女が作った刻印を身体に埋め込み、
  飛躍的に上がる身体能力を使って戦い続けた……自身の身体を犠牲にしてね」

 「……アタシも、いち魔法兵装の研究者として聞いたことがあるよ、
  魔術の発展に大きく貢献する研究成果を出しつつも、
  本人は戦闘分野の研究しか行わず、ついには追放されたって」

 「どうして、アルバートさんがそんな方の刻印を……」

 「その理由は未だに分からないし、アイツも話さない……けど、
  冒険者としての資質が低く、力を求める復讐に囚われた人間が
  誰を頼るかなんて、結構分かりやすいものよ……」


 前に言っていたアルバートの冒険者適正。

 たった一つ、弓兵のみがD判定という冒険者としてギリギリのラインで今まで彼は戦って生きてきた。

 その駆け出し冒険者が力を求め、蒼黒の魔女を頼ろうとしたのは想像に容易かった。

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