賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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4話 魔を討つ

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 「まだ身体が動くのなら、やるべき事は復讐じゃないはずだよアルバートくん、
  君が戦わなくても兵器開発だけしていればそれを使って代わりに戦う人間もいる、
  得意分野で戦うべきだよアルバートくん、どうして才能の無い方法で戦うの?」

 「―――家族を殺され、奴隷として売られ、恩人すら殺された、
  俺は、何も出来ずにただ怯える事しか出来ない人間に戻りたくないだけだ」

 「アルバート、さん……」

 「だから自分の手で賊を殺すんだ、例え私達が死んでも?」

 「―――それは」

 「そっか、即答は出来ないか」


 つまらなさそうな声で返し、気だるげにシキは動く。
 彼女は一つの資料を取り出して、それを彼に手渡した。


 「それ、次のクエストの作戦概要書だから」

 「なんだと」

 「ゴルド平原で行軍を始めている魔物の大軍……
  三週間後に生活圏内となる土地に侵略される予想となってて、
  それを途中の要衝である砦で迎え撃つのが今回の依頼だよ」

 「この規模の魔物を……お前らで…」

 「そう、ただ砦にはアルバートくんがギルドに渡した大軍兵器を輸送してる、
  アタシはそれの確認がしたいし、場合によっては手を加える事も許可されてるの」

 「それが、お前が行く理由か」

 「ん、気が変わったらいつでも言ってね、
  出発は三日後、工房でアタシもアリウムちゃんも待ってるから」


 席を立ち、淡々と説明するシキは猫めいた笑顔を彼に向けた。
 そしてシキもまた部屋を出て、軽く手を振ってその場を後にしたのである。


 「―――アリウム」

 「アルバートさん、やっぱり私は貴方に死んでほしくありませんし、
  これ以上苦しい思いもして欲しくありません、だから……」


 拳を握り、唇を噛み締め、胸に込めた気持ちを吐露する。

 決意とは違う想い、勇者として彼を救う為に。


 「アルバートさんがもう無理に戦う必要なんてありません、
  シキさんが言ったように代わりに賊を倒す人は現れますし、
  貴方は充分すぎるぐらい傷付いて戦ってきました、
  後はゆっくり、体を治しながらちゃんと生きて欲しいんです」


 慈愛と優しさと、尊敬と感謝。

 彼にかけた言葉の一つ一つに感情が込められていた。
 思わず動揺し、返答しようにも言葉が見つからない彼は目を見開いて黙ってしまう。


 「危険ではありますが必ずクエストは成功させます、
  だから安心して待っていてください、私は……勇者になるんですから」

 「……ぁ…あ、アリウ、ム…」

 「ゆっくり休んで、時間を掛けて穏やかな時を過ごせば、
  少しずつ復讐への感情も薄くなっていくはずです、
  アルバートさんは……ずっと、凄く優しい御方なんですから」

 「ち、違う……俺は……」

 「私も行きますねアルバートさん、きっと貴方の刻印もなんとかしますから」


 静かに、そして深く頭を下げて彼女は部屋を去る。

 それを固まって動けずにいた彼は見送り、一人となった。
 憎しみと怒りのみが残る心に、複雑な気持ちを思い起こさせ呟く。


 「何を……やっている、俺はっ……」


 ぽつり、と紡がれた言葉は誰にも届かず、孤独に消えていった―――

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