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4話 魔を討つ
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しおりを挟む「……こほんっ…!!シキさん、何かわかりましたか?」
「ん~?そうだね~……この魔法陣の生成が特殊かつ、
独自の理論で組まれている事しか分からないな~……」
「そう、シキの目から見てもその感想が出るのなら、
やはり専門の魔術師に診て貰わないとどうにもならなそうね」
「なに……何の話だ、サクラ」
自身の体を治療する選択肢など無い彼は、サクラの発言に疑問をぶつける。
それをアリウムが答える形で、真剣な眼差しで口を開く。
「―――アルバートさん、私は貴方に死んでほしくありません、
刻印の解明を進めて陣を解除し、これ以上の副作用を止めます」
「そんな事を頼んだ覚えは無い、この力はまだ必要だ」
「それでもッ!!アルバートさんの体を蝕む力をこれ以上見過ごせません……
私は刻印の解除をする為に、ここにお願いをしに参りました」
「なんだと」
「ギルド本部から依頼された魔物討伐の依頼……
これを遂行すれば刻印解除の為にギルドが動いてくれます、
貴方が賊のみを請け負うのは重々承知していますが、ですがっ……」
「もういいアリウム、お前が何を伝えたいかは分かった……だが、
俺の命は賊を殺す為だけにある、残りの命を冒険者として過ごすつもりはない」
突き放した言葉、けれど分かり切っていた返答。
賊に対する憎しみが尋常ではないが故に、ここまで生きてきた彼にかける言葉が見つからず、アリウムは俯き涙ぐむ。
黙り込んでしまったアリウムを庇う様に、サクラが続けて彼を説得する。
「アルバート、貴方……置かれている状況を理解している?
そもそも、このまま刻印ありきで動こうにも問われている罪を払拭させないと
冒険者としての活動も出来ないの、そうなったら賊討伐どころじゃないのよ」
「そうなれば独自で動くだけだ、元々、お前に冒険者としての生き方を
勧められる前はそうやって生きてきた、今更だろう」
「この分からず屋ッ!!皆アンタの心配をして言ってるの分からないの!?
つまらない復讐にこだわってッ、馬鹿みたいに自分を犠牲にしてッッ!!
最後は魔女の呪いで死んでいく人生なんてっ……そんなのっ…!!」
堪えていた感情は溢れ出し、サクラは目を潤ませてそれを拭う。
これ以上の説得は無駄と判断した彼女は、部屋を飛び出して静寂が訪れる。
少しだけ間を置き、変わらぬ声色でシキが目を細めて彼を咎めた。
「あ~あ、アルバートくん二人も女の子泣かせた~……」
「……む」
「後でちゃんとサクラに謝るんだよ?それと、アリウムちゃんにも謝って」
「わ、私は……大丈夫、ですから…」
「譲れない物もある、シキ」
「ふ~ん、そう……まぁ復讐が目的なら好きに賊を狩ればいいと思うよ、
けど、私はアルバートくんがどうしようと次の魔物討伐に向かうよ」
「え、シキさんっ……?」
「サクラはね、貴方の立場を良くするために最善を尽くしてくれている、
まぁそれは私にとって興味が無い事だけど、少なくとも次のクエストは
研究者であるアタシにとても有意義なの、だから向かう」
「なら私もっ……!!アルバートさんの意思はどうあれ魔物討伐に向かいます、
どういう経緯であれクエストさえ達成すればギルドは容認するはずですから」
「お前達……死ぬ気か」
「そうなったら、アルバートくんに責任があるよ」
「………」
兜を脱いでいる彼の顔が、初めて険しくなる。
何を思っての表情の変化か、それを推し量る余裕も無いアリウムは悲しく涙を流すだけであった。
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