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4話 魔を討つ
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しおりを挟む「俺達がこの二週間で行う事はこの兵器の製造と設置、
そして砦の防衛を強化する為に兵器の調整を受け持つ」
「……わかりました」
「それと、魔物の軍勢だが得られた情報から様々な種類の魔物がいる事が分かった」
「と、言うと?」
「本来、魔物が大軍を成して集まる時は同じ種族であるのが定説だ、
それが多くの種族で集まっているというのは違和感がある」
「ふ~ん、なんか賊だけしか興味ないアルバートくんにしては
結構魔物の知識があって不思議だね、実は魔物討伐してたりする?」
「賊を殺す手段に、魔物を使うのは常套手段だ」
普通の冒険者とは違う魔物への関心に、アリウムは引きつった笑顔を彼に向けた。
「―――それで、種類の違う魔物が多いと何か困るのですか?」
「集まった魔物自体はゴブリンやオーク、ヘルハウンドと言った下級の魔物らしいが、
問題はそれらを束ねているであろう魔物……いや、知性を有する魔族がいる可能性だ」
「魔族……二十年前の勇者様による魔王討伐によって力を弱めたと聞きますが、
それが魔物の大軍を率いての襲撃なんて、あまり現実的ではないような…」
「魔物を統率しているのが魔族と決まった訳では無い、
だからこそ不確定要素が残り、そこが懸念点でもある」
そこまで話すと、アルバートは鎧を軋ませながら二人を見る。
僅かに声色を低くして、ゆっくり、彼女達に告げた。
「……正直、俺達がここへ派遣されたのも体の良い当て馬のような物だ、
わざわざ危険と分かっているこのクエストにお前たちが参加する意味はない」
「今更何を言っているんですか、それを分かって私はここにいます」
「そだよ~、アタシも実際にアルバートくんが開発した武器を見たくて
ここに来たんだから、これはアタシの意思なんだよ」
「―――冷静に考えても見ろ、なぜギルドがここまで重要なクエストを
異端の冒険者である俺に依頼したと思う、それは単純な理由だ、
この砦を捨て身にして、後方の拠点で魔物を迎撃する算段があるか、
俺達を多少の時間稼ぎ程度にしか思ってないからだ」
事態は深刻であるはず。
だが、彼の言う様に国が魔物を対処する事も無く、ギルドは賊狩りを派遣させただけ。
その理由は、一つ一つの事象を読み解けば簡単な物であった。
「ゴールドクラスの冒険者は別件で忙しく対処不能との事だが、
そうであっても俺に依頼を回すのはおかしな話だ、となれば、
ギルド本部はこのクエストを失敗前提で話を進めているはずだ」
「そんな……けど、砦の兵士さんや団長さんもいるんですよ!」
「それ込みで使い捨てる考えだろう、現に限られた戦力しか砦に兵が配備されていない、
団長もそれを分かって今回の作戦を立てている」
「でもサクラはそんなつもりでアルバートくんを送ったわけじゃないよね?
それはつまり、可能性があるから頼んだわけで悲観するばっかりじゃないはず」
「……そうだな、俺に出来る事は何でもするつもりだ、
可能性がある限り諦めるつもりもない、だが……」
アルバートは地図の先、砦を超えた生活圏となる手前を指差す。
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