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超高級肉は美味しいです!

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 デニスさんが部屋に入って来て、私の体調を気づかってくれた。

「ミオが寝ていたから肉祭りは延期にしてたんだ。
 肉は食べられそうか?」

 デニスさんに聞かれたので、私は頷いた。

「うん、食べる」

「夕方までは寝ていろよ!」

 アリアとルシアの2人に両サイドで両手を握ってもらい、深い眠りについた。

 私が眠った後にゼクスが来て、何やら騒動があったとか。

 その騒動っていうのが、寝ている私のオデコに許可なくキスをしたんだとか。

 ダンとバズ、ボブさんに怒られ説教された後に、アリアとルシアからの非難の嵐で項垂れているみたい。

「ミオに好きな人がいたらどうするのよ。
 私なら、泣いちゃうわ……」

 アリアはゼクスに女の子目線で話をした後、ルシアがアリアをソッと抱きしめていた。

「…………。
 ミオに好きな人、とか考えた事なかった。
 こんな事はもうしないと誓うよ!」

 ルシアとダンはゼクスの頭を撫でていた。

 ボブさんとバズに背中や肩をポンとされながら。

「1つ勉強になったじゃねぇか」

「いろんな事を学んで成長をする、1つ良い勉強になったな」

 
 目を覚ました私は、元気がないゼクスが気になったので近付いた。

「ゼクス、何だか元気がないけど大丈夫?」

 ゼクスは真剣な顔で私に気持ちをぶつけて来た。

「俺、お前の事を好きになっているのかも、今はまだ分からない。
 ミオには……その……好きな人、いるのか?」

 私は迷う事なく即頷いた。

「うん、いるよ。
 子供の頃に迎えに来てくれるって約束してる。
 私……その人を待ってるの、『レオ』は必ず来てくれるって思ってる」

「ミオの好きな人、いたんだな。
 子供の頃なら、俺が入る隙間なんて無いな。
 これからは仲間としてミオを守るよ」

 私とゼクスは、2人で笑い合った。

 ゼクス、気持ちは嬉しかった、けどゴメンね。

 私には玲央兄ちゃんの事が忘れられないの。

 叶わない夢だけど、もう一度玲央兄ちゃんに会いたい。

 会って抱きしめて欲しい。

 私は、哀愁に浸っていると、突然の間の抜けた声が聞こえた。


「肉が焼けたぞ~~! ミオ、お前が先に食ってくれ。
 ミオの獲物だ、熱いから気をつけろよ!」

 頷きながら食べようとしたが、焦りすぎたのか、冷まさずに口に入れたから熱すぎて声が出た。

「あっつーーーーっ!!」

「言わんこっちゃない!」

「あ~~~~はははははっっ!!」

 私は涙目になって、水を口に含み、何とかなった。

 デニスさんに気を付けろって言われたばかりなのに、ダンには小言を言われ、ゼクスには爆笑されたので頬を膨らませて、ルシアとアリアの真ん中に座らせてもらった。

 ぬぅっ! っと突然影が何体も現れたのでビックリして叫んだ。

「うぎゃぁっ! 【ビックベアー】が出たぁぁぁーーーーっ!!」

 4人が声を揃えて「『誰がビックベアーだ!』」仲良く声がハモってますよ。

 だって、大きな身体にムキムキ筋肉で体格だってあるんだから【ビックベアー】と間違えても仕方ないじゃん!

 頬を膨らませている私を見て、ダンは微笑んでいた。

 町の皆は、私たちのトークを聞いて笑ったり、子供達は、はしゃいだりと楽しい夕食になった。


 
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