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ミオの災難【前編】

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 アーサーはダンやバズのように【ビッグベアー】な大きな身体とムキムキ筋肉、私はムキムキ筋肉は強そうで好きなんだけどね。

 そうだ、今まで忘れてたけど、ギルドカード!!

「アーサー、私のギルドカードは?
 試験合格したんだから下さいよ!」

 頬を膨らませて言う私を見て微笑み。

「おぉ、そうだったな。
 アイリス、ミオのギルドカードを発行してやってくれ」

 行って来い! と言って私の背中を押した。

「ギルドカードに保護者の欄は無いの?」

「はははっ!
 俺が後ろ盾になってやるから安心しろ!」

 頷いて、アイリスさんの所へ行った。

「お前達、さっき依頼を受けていなかったか?
 早く済ませないと夜になって門が閉まっちまうぞ!
 アイリス、ダンの所へ行って来る、何かあれば知らせてくれ」

 他の冒険者達とギルドを出て行った。

 誰も居なくなって静かになったけど、誰が聞いてるか分からないから慎重に話さないとね。

「ギルドカードを発行するのに小銀貨5枚必要です。
 あと、ミオは未成年ですから保護者……ギルマスが保証人なので大丈夫ですね」

「アイリスさん、私(金貨・中金貨・大金貨・白金貨・大白金貨しか無いんですけど)」

 私は途中から小声でヒソヒソ話した。

「なので(金貨5枚)でお願いします。
 残りは、ギルドのドアと修繕に使って下さい」

「これがギルドカードよ。
  無くすと再発行にお金がかかるから気をつけてね」

   私は嬉しくて、スキップしながらギルドを出て隣の雑貨屋に入った。

   見た事もない可愛い雑貨がいっぱいだ、あれっ、アイリスも買い物かな?

 「アイリスさんも買い物ですか?
 ギルドの受け付けとか大丈夫なんですか?」

「ええ、手紙を買いに来たのよ。
 今はエミリーとアールがギルドにいるから大丈夫。
 アールは昨日まで他国へ視察しに行ってたから会った事ないわよね?
 ギルマスと同じSSランクの強い紳士的な剣士よ。
   ……!」

 アイリスは急いで手紙を書き、ギルマスへ飛ばしていた。

 その頃、エミリーさんも雑貨屋さんへ入ろうとしたが、酔っ払いがギルドと間違えて雑貨屋に入ろうとしてるのを見て、急いでジャスティスの拠点まで知らせに行った。

 バターーーーンッッッ!!

 扉が開く大きな音にビックリし、誰か来たの?

 後ろを見ると、背後で……酔っ払い?

 昼間から飲むって最悪だなぁ。

「………………!!」

 最悪、目が合った、アイリスさんを見ると青い顔をしている。

「さっきギルマスに手紙を飛ばしたから直ぐに来ると思うけど」

 んっ? 後ろを振り向くと、さっきの酔っ払いがアイリスさんと私の肩を抱き込み、私達を上から下まで値踏みをするように見ている。

 気持ち悪い息と顔をアイリスさんに近づけ「やめてっっ!!」と言って突き飛ばした。

 ダアアァァァーーーーンッッッ!!

 酔っ払い男が私の肩をがっしり抱いていたので、私も一緒に倒れてしまったが、倒れ方が良くなかった。

 このオッサン、髪はボサボサで体臭もだけど、お酒臭い。

 臭いがキツすぎて、私は気持ちが悪くなり大声で叫んだ。

「臭ぁぁぁいっっっ!

    やだやだっ、服に臭いがつく!
 
    近寄んな、オッサンッッ!! んんっっ!」

 男に口を押さえられ、頬に小型ナイフでペタペタと叩き、私の言葉に怒りが治まらないのか、力任せに平手打ちをし、笑っていた。

 震える手で男を押しのけようとしたが、男の力に勝てないのもあるが、男は逆上し。

 手に持っていたナイフで、服を切り裂き「ぎゃははははっっ!!」と狂ったように笑い。

 私は男に気絶するくらいの強めの『静電気』を放った。

 ビリビリビリッ!

「おおおぉぉぉぉ!」

    はっ?

    何コイツ、普通なら痺れて動けないはずなのに、なんで動いてんの?

    変態だから?

    ナイフを振り下ろして来ている事に気付くのが遅れ、片腕に刺さり、始めは熱い痛みだったが、だんだんと激痛に変わり。

 私は朦朧もうろうとする意識の中、震えと涙が止まらない。

    その姿と血に興奮したのか、ますますエスカレートし、腕に刺さっていたナイフを無理矢理引っこ抜き、血が飛び散ると同時にナイフを振りかざし、太ももにかすった瞬間。

「ガハッッ!!」

 男が壁に向かって吹っ飛んだ!


 アーサーが息を切らせながら、男を蹴り飛ばしていた。

「ミオ!!
 早く止血しねえとヤバいな!」

 アーサーはアイリスに綺麗な布と傷薬を持って来させ、応急処置をしている時にアール、ダン、ルシア、ゼクス、バズが走って雑貨屋へ入って来た。

 私の髪は乱れ、腕からの流血は止まらず、服は胸の所を切り裂かれている。

 ルシアがアーサーに代わり『ヒール』をして傷を癒やし、私を抱きしめてくれた。

「もう大丈夫、大丈夫だからね!」

 アーサーは私を見て、震えが止まらなく声も出せない状態なのを気づかってくれ。

「アイリス、ルシア……ミオの事を頼む」

 ゼクスは拳を握りしめ、怒りで震えている。

 アーサーは我を忘れて、酔っ払い男を殴ろうとしていた。

「アーサー落ち着け!

    ゼクス、お前もだ!

 今はミオがいる、この状況をアイリスに聞いてから、落とし前つけようぜ!」

 ダンもブチギレ寸前だが、ミオの前だからと抑えている。

   雑貨屋のお姉さんはオロオロ状態だった。



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