木瓜

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綺麗な花には棘がある

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いつだったか、酒で潰れて、玄関先で眠りこけているあの人を、愛おしそうな表情で見つめながら、優しく撫でているお母さんを見たことがあった。

その時のお母さんは、体と顔中が痣だらけで、その、歪な光景に、見てはいけないものを、見てしまったような気が、した。

「っんだよ。いるじゃないか」

リビングに入って来たあの人が、私の姿に気付いた。

「お母さんは、どうした」

「…仕事で、遅くなるって、言ってた」

―いつも、もっと、遅いのに、何で…。

家の中では、なるべく、あの人と顔を合わせないようにしていた。

何をされるか、分からないからだ。

お母さんからも、一人の時は、なるべくあの人から、離れるように、と言われていた。

―早く、自分の部屋に、戻らないと。

「…そういえば、あざみも、もう、中学生になったんだったな」

テレビのソファから立ち上がり、リビングを後にしようとしていた私に、あの人が、声をかける。
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