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一章
八話 念願の試作
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「やるわよ」
私の目はヤル気に満ちている。待ちにまった念願の作業に私は取り掛かる。
先ほど、製造した『スライムジェル』『スライムクリーム』『スライム保湿液』『スライム糊』の4種類を一対一の割合で混ぜる。
ここら辺のサジ加減はとりあえず、後で調整する事も出来るからとりあえず一対一だ。
「ほへ、何をされてるんですかー」
私が鍋の中で混ぜ込んでいる物体を、見てモズが不思議そうな声を出す。
「これは、この世界の希望の星なの。これがある事で沢山の笑顔を生み出す事になるのよ」
ちょっと壮大過ぎか、と思ったものの否定はしない。この物質は特定の人達にとっては本当に救いになる。
「何だか楽しそうですねぇー」
「そうね、楽しいわ」
薬師になって感じた事は創薬する事の楽しさだ。自由度も高く何が出来るかのワクワク感がある。
薬剤師時代には感じた事のない喜びがある。決められた薬を用意する事だって楽しくなかった訳じゃない。
でも枠にとらわれない薬師というジョブが私には楽しくてしょうがなかった。
「出来たわ!」
鍋からポンッと煙が上がってメッセージが浮かび上がる。――スライム糊エクストラバージョンが出来上がりました――
早速ヘルプを確認。
ヘルプ――『スライム糊エクストラバージョン』保湿力、浸透力に優れ引き締め効果も期待出来る接着成分たっぷりの糊。
キター! これよこれ。実はずっと思っていたのだ、スライムってプニプニでネバネバでまさにアイプチの材料として打ってつけなのではないかと。
私はスライムアイプチの試作品を指ですくい鏡の前に立ち二重にしたいラインに適当に塗ってみる。冷たくてネバネバしたジェル状の成分が瞼に浸透する。
少し乾かした所で、プッシャがないので爪で瞼の二重にしたいラインを押し込んでみる。恐る恐る目を開けると……。
「ふ、二重になってる!?」
自分でも信じられなかった。ラベルは転生前の私よりは瞼の脂肪が少ないには少ないけれど、ラベルだって決して脂肪の少ない一重ではなかった。
それが、今やぱっちりとした二重に。
こんなに幸せな事ってあるのね。自分の二重瞼に感動する。
「っしゃあー! 二重になったどー」
モズが本気で驚いた顔をしている。
でも、この二重になれた感動は同じ一重の人にしか共感出来ない喜びだと思う。ちなみにモズは悔しい事にぱっちり二重だ。
私はその日、スライムアイプチ試作品で人生初めての二重を経験したのであった。
☆☆☆
次の日、私は出来上がったスライムアイプチ試作品を小瓶に詰めて販路の確保へと向かう作業をしていた。
小瓶の蓋を喜び勇んで閉めていた所お祖母様に声をかけられる。
「ラベル、何か嬉しそうじゃないか」
「え、ええ。そうかしら。ちょっと新しい試作品をこれから売り込みにいこうかなと思って商業が盛んな町ってどこら辺にあるのかな?」
「なんだって! もう新薬をつくったのかい!」
お祖母様は目が飛び出そうに見開いて私に視線を向ける。
「う、うん。そうよ、だって作ってみたかったんだもん……」
視線を泳がせながら答える。確かに駆け出し薬師だし、新薬の開発なんて生意気だったかもしれない。
「何を作ったんだい、ばあちゃんに見せてみな」
「う……」
スライムアイプチを作りましたなんて言うと角が立ちそうだったので、濁す。
「この、糊的なものよ」
「なんだいこれは」
お祖母様が匂いを嗅いで訝し気な表情になる。
「薬じゃないんだろう、何に使うんだい」
「色々な用途よ、何かを貼るのに使ってもいいし、お顔にちょっと塗っても面白いし……」
「そうかい。まぁ危険なものじゃなければいいんだけどね。とにかくお客様に迷惑かけるようなもの作るんじゃないよ」
「う、うん。それは解ってるわ」
私は頷く。
「それから、これ」
おばあ様から金貨を渡される。
「あんたが、この前作ったポーションが売れたよ。完売したよ良かったね」
「売れたの!」
私は歓喜の声を出す。嬉しい、自分の作った商品が売れる幸せ。
そして
「これはいくらになるの?」
苦笑してお祖母さんに質問する。
「あんたはお金の計算も出来ないのかい! 」
うう……。すみません世間知らずで。
「300ベルクだよ! 完売だよ、良かったね」
「300ベルク!」
私は驚く。確か素材屋で仕入れた額は150ベルクだったはずだ。
仕入れの倍の額で売れるなんて凄い!
「お祖母様、この試作品を売りにいきたいの。商業が盛んな町は何処にあるの?」
「商業が盛んちゃあ、交易都市モバドじゃないかねぇ。ギルドの前に乗り合い馬車が出てるだろう、あれが向かう最終地点がモバドだけど……ってちょっとお待ち!」
「お祖母様ありがとう!」
いい情報が聞けた、私は交易都市モバドに向かう。
私の目はヤル気に満ちている。待ちにまった念願の作業に私は取り掛かる。
先ほど、製造した『スライムジェル』『スライムクリーム』『スライム保湿液』『スライム糊』の4種類を一対一の割合で混ぜる。
ここら辺のサジ加減はとりあえず、後で調整する事も出来るからとりあえず一対一だ。
「ほへ、何をされてるんですかー」
私が鍋の中で混ぜ込んでいる物体を、見てモズが不思議そうな声を出す。
「これは、この世界の希望の星なの。これがある事で沢山の笑顔を生み出す事になるのよ」
ちょっと壮大過ぎか、と思ったものの否定はしない。この物質は特定の人達にとっては本当に救いになる。
「何だか楽しそうですねぇー」
「そうね、楽しいわ」
薬師になって感じた事は創薬する事の楽しさだ。自由度も高く何が出来るかのワクワク感がある。
薬剤師時代には感じた事のない喜びがある。決められた薬を用意する事だって楽しくなかった訳じゃない。
でも枠にとらわれない薬師というジョブが私には楽しくてしょうがなかった。
「出来たわ!」
鍋からポンッと煙が上がってメッセージが浮かび上がる。――スライム糊エクストラバージョンが出来上がりました――
早速ヘルプを確認。
ヘルプ――『スライム糊エクストラバージョン』保湿力、浸透力に優れ引き締め効果も期待出来る接着成分たっぷりの糊。
キター! これよこれ。実はずっと思っていたのだ、スライムってプニプニでネバネバでまさにアイプチの材料として打ってつけなのではないかと。
私はスライムアイプチの試作品を指ですくい鏡の前に立ち二重にしたいラインに適当に塗ってみる。冷たくてネバネバしたジェル状の成分が瞼に浸透する。
少し乾かした所で、プッシャがないので爪で瞼の二重にしたいラインを押し込んでみる。恐る恐る目を開けると……。
「ふ、二重になってる!?」
自分でも信じられなかった。ラベルは転生前の私よりは瞼の脂肪が少ないには少ないけれど、ラベルだって決して脂肪の少ない一重ではなかった。
それが、今やぱっちりとした二重に。
こんなに幸せな事ってあるのね。自分の二重瞼に感動する。
「っしゃあー! 二重になったどー」
モズが本気で驚いた顔をしている。
でも、この二重になれた感動は同じ一重の人にしか共感出来ない喜びだと思う。ちなみにモズは悔しい事にぱっちり二重だ。
私はその日、スライムアイプチ試作品で人生初めての二重を経験したのであった。
☆☆☆
次の日、私は出来上がったスライムアイプチ試作品を小瓶に詰めて販路の確保へと向かう作業をしていた。
小瓶の蓋を喜び勇んで閉めていた所お祖母様に声をかけられる。
「ラベル、何か嬉しそうじゃないか」
「え、ええ。そうかしら。ちょっと新しい試作品をこれから売り込みにいこうかなと思って商業が盛んな町ってどこら辺にあるのかな?」
「なんだって! もう新薬をつくったのかい!」
お祖母様は目が飛び出そうに見開いて私に視線を向ける。
「う、うん。そうよ、だって作ってみたかったんだもん……」
視線を泳がせながら答える。確かに駆け出し薬師だし、新薬の開発なんて生意気だったかもしれない。
「何を作ったんだい、ばあちゃんに見せてみな」
「う……」
スライムアイプチを作りましたなんて言うと角が立ちそうだったので、濁す。
「この、糊的なものよ」
「なんだいこれは」
お祖母様が匂いを嗅いで訝し気な表情になる。
「薬じゃないんだろう、何に使うんだい」
「色々な用途よ、何かを貼るのに使ってもいいし、お顔にちょっと塗っても面白いし……」
「そうかい。まぁ危険なものじゃなければいいんだけどね。とにかくお客様に迷惑かけるようなもの作るんじゃないよ」
「う、うん。それは解ってるわ」
私は頷く。
「それから、これ」
おばあ様から金貨を渡される。
「あんたが、この前作ったポーションが売れたよ。完売したよ良かったね」
「売れたの!」
私は歓喜の声を出す。嬉しい、自分の作った商品が売れる幸せ。
そして
「これはいくらになるの?」
苦笑してお祖母さんに質問する。
「あんたはお金の計算も出来ないのかい! 」
うう……。すみません世間知らずで。
「300ベルクだよ! 完売だよ、良かったね」
「300ベルク!」
私は驚く。確か素材屋で仕入れた額は150ベルクだったはずだ。
仕入れの倍の額で売れるなんて凄い!
「お祖母様、この試作品を売りにいきたいの。商業が盛んな町は何処にあるの?」
「商業が盛んちゃあ、交易都市モバドじゃないかねぇ。ギルドの前に乗り合い馬車が出てるだろう、あれが向かう最終地点がモバドだけど……ってちょっとお待ち!」
「お祖母様ありがとう!」
いい情報が聞けた、私は交易都市モバドに向かう。
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