狂った世界の反逆同盟

MASU.

文字の大きさ
2 / 3

狂気の中の正気

しおりを挟む
狂気の国『マドネスタ』。

魔族、ゴブリン、オーク、オーガによる異種族侵攻が人間の国に向けて始まり、侵攻初日にろくでなし王のアクド・ネスタをはじめとする国の上に立つ者は皆殺しにされた。
1ヶ月経たずしてほぼ全ての人間は屈服し、異種族の支配下となった。

それから25年が経つという。

俺、テル・アルフォート(20)はこの世界での記憶は5歳からしかないのだが、前世の記憶というものがボンヤリある。

前世では地球という星の日本という国で生きていた。
名前は織田輝彦。
交通事故で命を落としてこの世界に転生した。
その日本人だった頃の記憶と感覚が残っているせいか、この世界では当たり前となってしまっている異種族の奴隷として働くという感覚には馴染めない。

だからといって今はまだ逆らうには好機とは言えない。
今動けば魔族にも伝わるだろう。八つ裂きにされて終わりだ。
だから力をつける。腕力、体術、魔術。
悟られることなく粛々と自身のあらゆる能力を高めていく。
幸い、俺には少なからず魔力があることがいろいろ試してみた結果わかった。
あとはその才を高めていく。なにがなんでも使いこなす。
そう決めた。



侵攻当時、戦士、騎士、魔法使い、魔導師の総力戦となったが異種族の力に負け、現在の有り様だ。
人間の男は異種族のためのあらゆる労働者として生かされ、女は娼婦が主な仕事とされる。
人間同士での恋愛は絶対的な御法度になっている。
が、厳選された整った顔立ちの男性だけが『種馬』として使われる。
『繁殖部屋』なる場所に呼び出され、美女を与えられ、性交を強制される。
異種族のために美しい女性の存在を維持しなければならないからだ。
生まれてくる子供が男ならば労働者として育て、女ならば当然のように娼婦として育て上げるのだ。

清掃員として吐き気のする仕事をこなす毎日だが、諦める気はない。
こんな狂った世界で第2の人生を終えるなんてごめんだ。

今の俺が知る世界はこの国マドネスタだけだ。
ここを出れば外の世界はまた違うのかもしれない。とにかく今は力をつけ、脱出する機会を伺う。



そうして、いつも通りにオークの部屋を掃除していると2匹のオークの会話が聞こえてきた。

「なぁ、赤い髪の女騎士。あの女は本当に絶品だよな」

「ああ。行為に応じるが嫌がっている。それがそそる。気は強いが従順だ。状況を弁えているんだろ」

「睨む目が苦悶に満ちていくのがたまらん」

下衆な話だ。くたばれ。絶対いつか消してやる。

更にオーク達は話を続ける。

「そうだ。今日にもあの女騎士の妹がここに入るらしい。昨日、オーガの1人が捕獲したそうだ。レジスタンスの中にいたんだと」

「マジか。まだまだ我々に逆らうそそる人間はいてくれるもんだな。ところでその妹は良さそうなのか?」

「あの絶品騎士の妹だぞ?いいに決まってる」

「へへ、楽しみだな」




!おいおい、マジかよ。悠長なこと言ってられないぞ。
オーク達の会話を聞いてしまった俺は焦った。
また新たに不幸に落ちる女性がいる。ほっとけない。
しかし、まだ魔術も完璧にできるかわからない。
正直、力試しをする暇も隙もなく、どれだけの魔術を習得しきれているのか自分自身でわかっていないのだ。

「…どうする?今日か…今日…~~っ…!!」

数分悩んだ末に行きついた答えは……助けよう。

こうなったらとことんやってやる。
頭に入ってる魔術を全部試してやる。
ぶっつけ本番で好き放題に暴れてやる。

「よし…殺るぞ!」

俺は狂ってなどいない。
正気を保っているからこそ見捨てることなどせず、1人の女のために無謀な暴走をするのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...