実話怪談「笑い声」

赤鈴

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 またあの女に首を絞められることもないまま、何事もなく次の朝を迎えた。しかし、S氏が聞いた、という女の笑い声が気になってしまい、熟睡することはできなかった。
一階へ下り、リビングに入ると妹が朝食を食べていた。私はお世辞にも上手いとはいえない語りで、昨夜の出来事を話して聞かせた。

すると、妹から意外な言葉が返ってきた。



「あぁ、それなら私も聞いたよ」



それはまるで、犬猫の鳴き声でも聞いたかのような、軽い言い方だった。眠気は一気に吹き飛び、私は思わず「えっ!?」という驚きの声を上げた。
妹の部屋と私の部屋の間には階段があり、それを挟むような形で両側に壁がある。つまり、妹の部屋は私の部屋のちょうど隣に位置しており、夜中に通話していれば声が聞こえるほど、その距離は近い。ましてや、大声で笑おうものなら丸聞こえである。

妹が言うには、その声の印象は若い感じではなく、中年のおばさんのような声だった、という。
後日、S氏にもそのことを伝えると「あぁ……たしかに、言われてみればそんな感じだったかも」という確認が取れた。

証言者である妹はというと、私の怪談話を聞いても顔色一つ変えなかった。
というのも、妹はS氏同様にそういったものを感じやすい体質らしい。実際にそれらしき姿を見たこともある、という。だが、それはまた別の話だ。

だからといって、女の子らしく怖がることはしない。それどころか、話のネタがひとつできた、ぐらいに思っている。
私とは正反対なその性格は、一言でいうと豪放磊落ごうほうらいらく
女にしておくにはもったいないくらいの男勝りで、幽霊にも動じないほど気が強い。見た目も兄妹とは思われない程、私と妹は似てない。だが、意外にも喧嘩は一度もしたことがない。

 S氏が女の笑い声を聞いた、その同時刻――。

妹も金縛りに遭っていた、という。
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