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episode-1 罪の奇術師と断罪の暗殺者
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「あなたは悪い人の物を盗んで生きる、そうして生き延びて。私のこの帽子とマントをお守りとしてあげるわ。そして…強く生きて。私・・・いや、私たちは…ルナ、あなたの事を…」
いつかは覚えていないが聞き覚えのある母の声が「月下中央都市アルバルファ」に住む怪盗ステラーヌ・ルナの脳内で響き渡り、目が覚めた。今日は中央地方であるアルバルファとアルミルファに住む人々は守り神である月神龍グレワールへ祈祷を捧げる満月の日だ。
「そういえば今日は祈祷の日か…。ならば日が昇っている明るいうちに、この辺りの怪しい金持ちの家をしっかりと下調べしておこうかな。」
悪だくみをして策でも浮かんだかのようにルナはにやにやと笑っている。今宵、満月の日は彼女にとって最高の日である。なぜなら、彼女は満月の日の夜のみ怪盗として悪人から盗みを働かせれるからである。その理由は満月の日の夜は月神龍への祈祷のため、住民全員街の大教会に向かうので街には人一人いなくなるからだ。人がいないというのは怪盗としてはチャンスなのだ。そんな彼女の盗みの能力は恐らく、プロが見ても顔負けだ。ルナはもう今夜の事で頭の中がいっぱいになっている。そのため、目を付けられていることに気付かずそのまま小さな路地へはいって行ってしまった。
しばらくするとルナは何か不気味な気配を感じ取った。自分がいま通っているこの路地は、普段ならある程度の人が通っているはずなのに今は彼女一人しかいないということに違和感を覚えた。不審に思ったルナは警戒して常備している小さな木刀を構え、一歩一歩ゆっくりと進んでいった。その瞬間、突然強烈な風がゴウッ…‼と大きな音と共に吹き始めた。ルナは思わず怯んでしまい、手から木刀を離してしまった。しばらくすると風は止んでいた。
「今の風は一体…気味悪いな…。」
ルナは少し驚きながらつぶやいた。落とした木刀を拾い、気を取り直して進もうと前を向いた瞬間、目の前に和服を着た黒髪で緑色の眼の青年いることに気付いた。そしてどことなく彼のほうから獣のようなにおいがした。まぁ、特に何もないだろう…。そう思いルナは青年を避けようと、横を通ろうと歩いた。突然青年が口を開いてこう言った。
「貴様が噂の盗人、暗殺標的だな?」
なんと、その青年は彼女の正体を知っていたのだ。ルナは少し焦りはしたがすぐに落ち着いて言い返す。
「もし「そうだ」と言えば、君は私をどうする?殺すのか?」
青年は少し考えてから、
「ああ、俺は貴様の罪を断罪すべく刃を振るい、貴様を殺すだろうな。」
ルナはその言葉を聞いて動揺を隠せなくなっていた。下を向き抵抗する術を考えていると、気づけばそこには青年の姿はなかった。辺りを見渡すが姿形もない。幻覚でも視ていたのかと思いホッとした瞬間、姿が消えたと思っていた青年が、明らかな殺意を込めルナの首筋に刀の刃が向けられていた。
「これがラストチャンスだ。もう一度聞こう。貴様が罪人のステラーヌ・ルナだな?俺は出来れば無駄な殺生はしたくない。…答えてくれ。」
流石にルナも的確な殺意を向けられ脅されてはどうすることも出来ない。諦めて答えることにした。
「ああ、私がステラーヌ・ルナ本人さ。君は何者なんだ?」
首筋の刃を気にしながら恐る恐る名前を尋ねた。
「俺は月影 終夜。人ならざる暗殺者だ。今回、貴様に接近したのはとある依頼主があったのだが…少し気が変わった。殺したことにして、お前の噂と実績を見込んで頼み事をしよう。返答によっては生かしも殺しも出来るが、どうだ?」
終夜と名乗る青年はニコリと微笑み、やさしい笑顔を見せ、そう言った。
「…私を生かしてくれるなら話を聞こう。…その前に、まず私の首筋に当てているものを離してくれないか?これだと聞きたくても気が散ってしまうだろ?」
ルナはそう頼んだ。終夜は彼女の言葉を信じ、刀を下ろした。
「君が話の分かる人で助かったよ。で、依頼の内容は?」
終夜は刀を鞘に戻しながら、真面目な顔でこう言った。
「ステラーヌ・ルナ、お前には真実を暴く「正義の怪盗になってもらう。」
カチャリッ…!鞘に刃が収まる音が響き渡る。ルナの眼は点になり、思考は停止した。
「まぁ、意味が分からなくなるのも仕方ない。…要するに、俺と手を組んでこの街の…いやこのフルムータ地方すべての真実を暴かないか?」
「真実を…暴く…?」
二人がいるこの小さな路地に、怪しくそして冷たい風が街に流れた満月の日の昼間の事である。
いつかは覚えていないが聞き覚えのある母の声が「月下中央都市アルバルファ」に住む怪盗ステラーヌ・ルナの脳内で響き渡り、目が覚めた。今日は中央地方であるアルバルファとアルミルファに住む人々は守り神である月神龍グレワールへ祈祷を捧げる満月の日だ。
「そういえば今日は祈祷の日か…。ならば日が昇っている明るいうちに、この辺りの怪しい金持ちの家をしっかりと下調べしておこうかな。」
悪だくみをして策でも浮かんだかのようにルナはにやにやと笑っている。今宵、満月の日は彼女にとって最高の日である。なぜなら、彼女は満月の日の夜のみ怪盗として悪人から盗みを働かせれるからである。その理由は満月の日の夜は月神龍への祈祷のため、住民全員街の大教会に向かうので街には人一人いなくなるからだ。人がいないというのは怪盗としてはチャンスなのだ。そんな彼女の盗みの能力は恐らく、プロが見ても顔負けだ。ルナはもう今夜の事で頭の中がいっぱいになっている。そのため、目を付けられていることに気付かずそのまま小さな路地へはいって行ってしまった。
しばらくするとルナは何か不気味な気配を感じ取った。自分がいま通っているこの路地は、普段ならある程度の人が通っているはずなのに今は彼女一人しかいないということに違和感を覚えた。不審に思ったルナは警戒して常備している小さな木刀を構え、一歩一歩ゆっくりと進んでいった。その瞬間、突然強烈な風がゴウッ…‼と大きな音と共に吹き始めた。ルナは思わず怯んでしまい、手から木刀を離してしまった。しばらくすると風は止んでいた。
「今の風は一体…気味悪いな…。」
ルナは少し驚きながらつぶやいた。落とした木刀を拾い、気を取り直して進もうと前を向いた瞬間、目の前に和服を着た黒髪で緑色の眼の青年いることに気付いた。そしてどことなく彼のほうから獣のようなにおいがした。まぁ、特に何もないだろう…。そう思いルナは青年を避けようと、横を通ろうと歩いた。突然青年が口を開いてこう言った。
「貴様が噂の盗人、暗殺標的だな?」
なんと、その青年は彼女の正体を知っていたのだ。ルナは少し焦りはしたがすぐに落ち着いて言い返す。
「もし「そうだ」と言えば、君は私をどうする?殺すのか?」
青年は少し考えてから、
「ああ、俺は貴様の罪を断罪すべく刃を振るい、貴様を殺すだろうな。」
ルナはその言葉を聞いて動揺を隠せなくなっていた。下を向き抵抗する術を考えていると、気づけばそこには青年の姿はなかった。辺りを見渡すが姿形もない。幻覚でも視ていたのかと思いホッとした瞬間、姿が消えたと思っていた青年が、明らかな殺意を込めルナの首筋に刀の刃が向けられていた。
「これがラストチャンスだ。もう一度聞こう。貴様が罪人のステラーヌ・ルナだな?俺は出来れば無駄な殺生はしたくない。…答えてくれ。」
流石にルナも的確な殺意を向けられ脅されてはどうすることも出来ない。諦めて答えることにした。
「ああ、私がステラーヌ・ルナ本人さ。君は何者なんだ?」
首筋の刃を気にしながら恐る恐る名前を尋ねた。
「俺は月影 終夜。人ならざる暗殺者だ。今回、貴様に接近したのはとある依頼主があったのだが…少し気が変わった。殺したことにして、お前の噂と実績を見込んで頼み事をしよう。返答によっては生かしも殺しも出来るが、どうだ?」
終夜と名乗る青年はニコリと微笑み、やさしい笑顔を見せ、そう言った。
「…私を生かしてくれるなら話を聞こう。…その前に、まず私の首筋に当てているものを離してくれないか?これだと聞きたくても気が散ってしまうだろ?」
ルナはそう頼んだ。終夜は彼女の言葉を信じ、刀を下ろした。
「君が話の分かる人で助かったよ。で、依頼の内容は?」
終夜は刀を鞘に戻しながら、真面目な顔でこう言った。
「ステラーヌ・ルナ、お前には真実を暴く「正義の怪盗になってもらう。」
カチャリッ…!鞘に刃が収まる音が響き渡る。ルナの眼は点になり、思考は停止した。
「まぁ、意味が分からなくなるのも仕方ない。…要するに、俺と手を組んでこの街の…いやこのフルムータ地方すべての真実を暴かないか?」
「真実を…暴く…?」
二人がいるこの小さな路地に、怪しくそして冷たい風が街に流れた満月の日の昼間の事である。
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