DuaLoot(デュアルート)

佐倉翔斗

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episode-6 希望の光と覚醒する力

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 ・・・優しい光に包まれた。いつかは覚えていないがこんな風に包まれた気がする。どこか懐かしい感じ…これは・・・
ルナは目が覚めた。どうやら少し意識を失っていたようだ。景色が鮮明に見えると、目の前にはイスとテーブルがあり、そこには紅茶を飲んで優雅にくつろいでいるゲッテル伯爵らしき男の姿があった。先ほどは暗くてよく見えなかった容姿ははっきりと見え、その姿は白銀の髪を綺麗に整えており老いを感じない緑色の眼、片眼鏡を掛けた身長の高い男だった。伯爵は彼女が目覚めたことに気付き近づいて来た。
「おや?やっとお目覚めかい?待ちくたびれたよ。宝玉に触れてから軽く三〇分ほど気絶していたぞ?さすがに気絶している時に殺してしまうのは紳士としてどうかなと思ったので放置していたが…まあそんなことはどうでもいいさ。ステラーヌ・ルナ、君には間違いなく力が覚醒している。君の力を私に見せておくれ。」
伯爵はそう言って、目を輝かせている。しかしルナは薄々気づいていた。。感覚がない。手ごたえがない。伯爵は私に力が覚醒していると勘違いしている。もしかしたら、覚醒しているのかもしれないがどんな力か分からない。おまけに手首を縄で固く拘束されている。俗に言うというものか。この絶望的な状況は覆すことはできない。無理に等しいだろう。
「…その様子だと…そうか、私の勘違いか。残念だが、実験は失敗だ。心苦しいが、君には消えてもらうしかないようだ。」
伯爵は悲しそうな顔をし、ルナを光を失った哀れみの眼で見ている。そして伯爵は一本の鋭いナイフを取り出した。
「これはこの世を去る君に私からの餞別だ。ありがたく受け取りたまえ。そして…。」
伯爵は一本のナイフを彼女に向かって投げた。もう私は終わりなのだろうか…。すると彼女の頭の中に一つの声が響き渡る。
「ルナ、貴方は生きなきゃいけない。貴方ならこの状況を覆せる。だって…貴方は…」
奇跡の象徴わたしの娘なんだから…!!
 その瞬間、固く拘束されていたはずのルナの手首の縄はいつの間にか解けていた。自由を取り戻したルナは、伯爵が投げたナイフをギリギリで回避することが出来た。これには伯爵も驚きを隠せない様子だった。
「こ、これは驚いた!君も人が悪いなぁ…。覚醒していたのなら言ってくれればいいのに。」
ルナはこう言い返した。
「悪いな伯爵、私も気付かなかったさ。さっき目覚めたばかりでね!おまけにどんな力かも分からない!どうする、それでもを続けるか?」
伯爵の眼に再び輝きが戻った。
「そいつは素晴らしい!良いだろう!実験を続けようじゃないか!しかし…どんな力かはまだ分からないのか。ならばやることは一つ…。試練を与え続けて試すまで…!」
伯爵はそういうと胸ポケットから小さな鋭利な針を沢山取り出した。そして取り出したかと思えばいつの間にか伯爵の姿は目の前にいなかった。一瞬の出来事だったから、ルナは状況は全く読み込めていない。するとどこからか分からないが伯爵の声が聞こえてきた。
「どうやら私の姿が見えていない。…ということはなどの類ではないということか。似た力なら私の姿は見れるからね。…となると、君は一体どんな力を得たんだい?」
その言葉に対しルナは大きな声でこう言い返した。
「さっきも言ったけど、私にもどんな力が宿ったか分かっていない!私を試してみたいなら素直に出てきて試せばいいんじゃないか?」
その言葉を聞いた伯爵は高笑いをした。
「君は実に面白いお嬢さんだ!流石はリントの娘!確かに君の言い分も正しいな!良いだろう!、君が私が作った障壁をどう突破するのか、拝見させてもらうとするよ!」
伯爵はそう言うと、姿を現した。
「そうだねぇ…ハンデということで、私の能力を教えてあげよう。。先ほど、私がここから姿を消したのも私が保持している力の一つさ。さて、一通り話したが…周りを見た方はいいよ?」
周り?一体何のことだ?そう思い、彼女は伯爵から視線を話し、周りを見渡した。そこにはこの世のものとは思えないほどおぞましい光景が映る。先ほど、伯爵が取り出していた無数の鋭利な針が彼女に向かって宙に浮いている。この数をいなしたり、回避する方法はまず無い。今度こそ終わった…この時、ルナはこう思った。
と。
 神は少女の願いを聞き入れてくれたのか、一つの奇跡が起こった。。伯爵はこの光景を見て驚きのあまり開いた口が塞がらない状態になっていた。
「ば、馬鹿な…!?あの大量の針が…全て…止まった…だと!?あ、あり得ない、こんなことがあるのか!?こんな事例は初めてだ!!」
伯爵は状況が分からず混乱している。その隙にルナは針の標的から逃れることが出来た。そして彼女は伯爵に向かいこう言い放つ。
「ゲッテル・カタストロイア伯爵、お前に実験は成功だ。黒い宝玉を頂こうか!そして私たちは帰る!」
彼女の言葉には何の曇りもない、どこか威圧感を放っていた。
「黒い宝玉…君たちを帰す?フフ…馬鹿だなぁ。私が素直に生きて帰すとでも思っていたのかい?そんな喜劇・ハッピーエンドは無い!ここまで私を翻弄させたのは君が初めてだ。故に、君を生かすべき者と認める。しかし!黒い宝玉を渡すわけにはいかない!そしてそこで気を失っている悪魔は殺さなくては私の怒りは収まらない!黒い宝玉を手に入れ、ミドラ=アガレスと共にこの館を出るというのであれば…。」
そう言うと、伯爵の姿は変化し、人型の蜥蜴のような骨格を持つ怪物になった。
しかしルナは変化した伯爵の姿を見ても狼狽えなかった。
「伯爵、私は…お前を倒して宝玉たからを手に入れる…!!」
宝玉を巡る戦いの火蓋が切られた。
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