DuaLoot(デュアルート)

佐倉翔斗

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episode-5.5 暴かれる宝玉の真実

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 伯爵とルナ・ミドが対峙しているころ、伯爵低前では二人の青年が対峙していた。終夜は黒木実宣くろき みのると名乗る青年に尋ねた。
「黒木 実宣、お前が言った…あれは本当なのか?」
終夜は完全に戦闘態勢に入っており、鯉口を切った状態で身構えていた。彼からは暗殺者アサシン特有の殺気が漂っていた。
「そんなに警戒しないでください。僕は貴方たちに危害を加えないって言いましたよ?まして、暗殺者あなたと殺しあうなんか、命がいくつあっても足りないですよ。」
実宣は明るい声で気さくな笑顔でそう答えた。その言葉には嘘をついていないと終夜は瞬時に判断した。
「なら詳しく言え。あの黒い宝玉は一体何なんだ?」
終夜は殺気で相手を殺すかの勢いで実宣を問い詰めた。
「まぁまぁ、落ち着いてください。ちゃんとお話ししますから。」
そう言うと彼は先ほどの気さくな笑顔から一変し、まじめな表情で語り始めた。
まず初めに語ったことは今回の目的ターゲットである黒い宝玉のことだった。この黒い宝玉は四〇年前に若いころのゲッテル伯爵が遺跡で発見したの秘宝玉であること。そしてその宝玉には。宝玉の本当の名前は「黒魔クロマ」。秘宝の中でも謎が多い代物らしい。実宣は一通り話すと、終夜にこう聞いた。
「月影終夜、貴方はこれを聞いても黒い宝玉を手に入れたいですか?僕からしたら、あんな歪な物には関わらない方がいいと思うんです。関わってしまうと…そう感じてしまう。これは僕、黒木実宣からの最後の警告アドバイスです。」
彼の言葉には何か不思議な力を感じる。強く魂の核を揺らされるような、まるで感じがした。しかし、終夜は既に覚悟は決まっていた。
「そんなもの、とっくに決めている。俺は、いや…は、あの宝玉を手に入れる。これは変わらない。例え、、俺たちは突き進む。黒木実宣、お前の警告アドバイスには感謝するが無視させてもらう。」
終夜は決意が固く、その決意は崩れることはない。そう感じ取った実宣はクスリと笑った。
「君ならそう答えると思っていましたよ。意志は固いようですね。であれば、僕は止めません。君のその言葉を信じます。」
そう言うと、カチャリと扉の鍵が開いた。
「行ってください。君と彼女ならを止めてくれるはず。、君たちに賭けます。」
終夜はその言葉に反応し、少し笑った。
「父の友人…黒木……やはりそうか。黒木実宣、。お前の頼み、請け負った。」
そう言って、終夜は屋敷の中へと消えていった。屋敷の外には実宣一人になり静寂が訪れた。彼はボソッと独り言を言った。
「父さん、僕には見えましたよ。が…。あの人たちならきっと救ってくれるよ。伯爵も…も…。僕は帰ります。あとは任せますね。月影終夜と、ステラーヌ・ルナさん。」
そう呟くと、実宣は屋敷を後にした。
 屋敷の中へ入った月影終夜は、瞬時に異変に気付いた。
「これは…妙だな。俺は今、玄関から入ったはず。…しかし後ろには壁。というか館内の部屋の一角。…考えられることは一つしかない。十中八九、この現象は誰かのだな。…能力で今気づいたんだが、黒木実宣…なぜ奴は俺たちの計画を知っていたんだ…?…奴はそう言っていたな…。ということは、奴も例の宝玉に触れてを得たということか?」
ブツブツとそう言いながら館内を移動していると、彼はピタリと止まった。
「…能力…秘宝玉…間違いなくこの二つは繋がっている。俺も能力を持っているが…。俺には…?…いや、今考えることじゃない。早くあの二人を見つけねば…‼」
そういうと、終夜の姿は影の中へと消えていった…。
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