幸せ望んでいいですか?〜三度目の正直〜

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序章

プロローグ

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   ーコツコツ

陽も落ちて暗くなった閑静な住宅街に、自分のものとは別の重量感のある足音が響く。
びしょ濡れの制服に身を纏い、背後の不気味な気配への恐怖と濡れていることで余計に感じる寒さで身体を震わせる。

それでも歩みを止めることはない。走り出すこともしない。本能で止まったら、走ったら死ぬーー
そう感じた。

 "死んでもいいかな…こんな人生もう耐えられないよ…それに、私がいない方がみんないいに決まってる…"

そう思った瞬間、脚が動いた。暗い道を駆け出す。後ろで聞こえていた足音も速度を上げて付いてくる。

"私はまだ生きたい!今度こそ幸せになりたい!
私は、まだ!死にたくないの…!!"

 死んでもいい。と思ったのに、心の底では生きたい!と強く思っている。

そんな願いは叶わず腕が掴まれる。

「捕まえたよ、、エリちゃん、、!ずっと君を見ていたんだ。もう離さない、、、!」

   ーグサッ

背中がじわじわと温かくなっていく。この感覚を知っていた。

"前も刺されて死んだんだった。前世、、前の私はそれぐらいの罪を犯したんだ。本当に最低だった、、。その罰、なのかな、、?"

多少の混乱をしながらも二度目の死を理解した。

"今度こそ。…で思っていたのにな。私は、生きる資格なんてなかったのに…
ごめんなさい…
醜い私は、幸せなんて…生を、望んじゃいけなかったのに"

 今世でも、他人のことを知ろうとせず、自分の不幸ばかりを呪い、言い訳にしていた。
 
 "こんな私じゃ死んでも当然だよ…
でも、できることなら、次がまたあるなら…今度こそ自分で頑張るから!
そうしたら、幸せになれる…?幸せを願ってもいい…??"


 そんなことを願いながら、私は意識を手放した。









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