幸せ望んでいいですか?〜三度目の正直〜

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 「ソランジュ。お前とテオドール殿下の婚約が決まった。まだ内定だがな。
殿下が立太子する時に、共に発表する。それまでに、婚約者として相応しい教養を身につけよ。」

 その言葉を聞いた瞬間、頭の中に膨大な量の記憶が流れ込んでくる。

 それは、ソランジュ=ベアトリクスとして生きた記憶と安藤エリとして生きた2つの記憶。


 情報量の多さに気が遠くなり、ふらつきそうになるのを、どうにか踏ん張って抑える。

 「話は以上だ。ささっと出て行け。」

 目の前で、こちらを一切見ることなく、冷たく言い放つ…ソランジュのお父様。

 「失礼いたしました。」

 スカートを軽く摘んで礼をし、お父様の執務室から退出する。

 そして足早に自室へ戻り、部屋に入る前に、
"しばらく1人にしてほしい。ディナーも今日はいらないです。"
と、侍女に伝えた。

 奇怪なものでも見たような顔をされた。

 私はそのままベッドにダイブした。
ダイブといっても、体が重いため、ただ倒れただけだ。よじ登ったとも言えるかもしれない。

 私はベッドの上で盛大にため息をつく。

 「ま、また…」

 ーーソランジュになってしまったわ…!!







 ベッドから起き上がり、状況を整理し、理解する。

 私はついこないだ8歳の誕生日を迎えたばかり。
 
 確か、王太子殿下の立太子は殿下が12歳になった時だった。
 だから…あと3年半ぐらいは猶予があるわ!

 デブは…だいぶ進行していると思うの…!

 だって、歩くのすごく大変だったもの…

 そんなことを思いながら、ベッドから降りて鏡の前に立つ。自分の姿を見て…

 や、やばい…!

 エリの時、私はとても細かった。幼少期に十分な栄養を取れてなかった。ということも多分関係してくると思うけど…

 だからこそ、8歳でこれは無いと思います。

 むちむちの子豚ちゃんです。これは…

 「や、痩せよう。」

 想像以上すぎて、思わず声が漏れてしまった。



 そして…
問題は、それだけじゃないと気づく。

 メイド達への態度も改めないと…

 また刺されて殺されてしまう…

 そう思った瞬間、背中に鈍い痛みを感じた気がした。

 この人生では、まだ刺されていないはずなので、気のせいのはずだけど、どうしようもなく体が震えてしまった。


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