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1章

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 とりあえず私は、今出来ることを!

と思い、手始めに腹筋を始めようと思った。

 ーー

 か、体が起き上がりません…

 でも、プルプルはしてます。一丁前にです。

 起き上がるのは諦めて、キープしよう。と、やり方を変える。

 それもほんの数秒しか続かないけど…

 数秒キープをとりあえず30回やったら、もうすごい汗の量。

 どうして、前回のソランジュは、こんな姿で自分を絶世の美女と思えたのだろう。
と、心底不思議になり、記憶を思い出すまでの今世もそうだったと気づき、穴があったら入りたくなった。

 一通り悶えてから、深呼吸をして、冷静になる。

 
 そして、なんだか不思議な感じだと思った。

 私の脳内、すごく陽気だわ…

 三度目の人生だし、何かが吹っ切れたのかもしれない…

 一度目ソランジュは、傲慢な豚野郎だったし、
二度目エリは、いじめられて一人でただ耐えていた、人の心がわからない欠陥者だったのに…

 あ、でも!元来のソランジュは明るい性格だった気もするわ…

 でもやっぱり、冷静に今までの自分を分析できるし、本当にとても不思議だと思う。

 そんなことを考えながら、とりあえず腰を回していた私だった。いや、太り過ぎていて、体痒いの?って感じだったけど。


  そんなこんなで運動というものを全く出来ていないのに、汗びっしょりの私。

  とても恥ずかしいけど、呼び鈴を鳴らし、侍女を呼ぶ。

   ーコンコンコン

とノックがなり、侍女のエメが部屋に入ってきた。

  エメは、我儘でおデブな私を最後まで見捨てないでくれた、私の唯一。

  誰よりも信頼できる。

  「ど、どうされましたか?お嬢様。」

  私を見て、エメは一瞬目を見開き、変な顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り、私に話しかけた。

  …?
よくわからないけど…

  「エメ。汗をかいちゃったからお風呂に入りたいの。準備してくれる?」

  用件を伝える。

  「かしこまりました。すぐにご用意いたします。」

  と言って、エメは下がった。


  本当はね、一人で入りたいのよ?でも、私知ってるもの。
  太り過ぎていて、手が届かない部分がたくさんあるの。洗えないのよ…自分では…

  は、恥ずかしい…

  とりあえずの目標として、自分の体で届かない場所がないくらいには痩せよう。と決意した。



 



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