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1章
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しおりを挟むお父様からテオドール第一王子殿下との婚約が内定したと聞いて、前々世と前世を思い出したあの衝撃の日から1週間。
私は馬車に乗って、三日間の旅路についています。
なぜなら、勇気を出して私がお父様にお願いしたから。
領地の本邸に帰らせてください。
と…
今までの私は、華やかな王都が大好きで、領地だなんて田舎だわ!と、嫌っていた。
でも、私は痩せるんだもの。
のどかで自然溢れる領地の方が環境がいいでしょう?
それに、私は王都にはいない方がいいと思う…
私がいることによって、この王都のベアトリクス家の別邸は、どうしようもなく空気が悪い。
私が7歳の誕生日を迎えたあたり、約1年前に、お母様が亡くなられた。
それからというもの、お父様はもちろん使用人達も覇気がなくなり、屋敷内に影を落とした。
私もすごく悲しくて、辛かった。
誰も私に構ってくれなくなって…
寂しかった。
だから、何か気に入らないことがあれば、モノに、人にあたって、癇癪を起こして…
本当に恥ずかしい…
若気の至り。ということにするしかない。黒歴史です…
お母様がご存命の時から、わがままなところはあったけど、それはまだ貴族令嬢として許容範囲内だっだと思う…
でも、ストッパーが外れちゃったみたい。
そして、寂しさを、苛つきを紛らわすため、暴飲暴食。
まあ、これも元から大分食べる方ではあった。ぽっちゃりだったのだけど。
でもこの一年で…
一回り…いや、二回り…?ぐらい横に成長してしまいました。
だから、余計に使用人達からは怯えられ(貫禄が出てしまったから)、お父様には冷たくされ(太って余計に醜くなったから)、お兄様は…前から嫌われていますね、はい。
そう、私にはお兄様がいらっしゃいます。
私の一つ年上のジョアキムお兄様。
物心ついたときには、睨まれていた。すごく悪意ある視線を向けられていました。その頃の私は、悪意に気がつかなくて、私が可愛すぎるから、近寄れないのだわ!とか思ってた。
私…おバカすぎる…
お兄様が私を嫌いなのは、多分だけど、私の魔力量が多くて、ベアトリクス家の象徴、銀髪だから。
お兄様は、灰色の髪。ベアトリクス家の血をちゃんと引いてる証拠ではあるんだけど、周りには劣化版みたいに思われてしまっている。
そして、貴族子息としては平凡の魔力量。公爵家なのに。上位貴族は、魔力量が多い者が多い。
なのに、お兄様は平凡。
対して私は、王族にも勝るほどの魔力量。プラスで、4属性持ちという稀有な存在、魔法に関してだけは天才的な才能…
コンプレックスを刺激してしまったのだと思う…
使用人達が隠れて話していたのを聞いたことあるもの。
"ジョアキム様は、公爵家嫡男でありながら、魔力量が少なく、魔力量も多く才能ある妹のソランジュ様に嫉妬している"
と…
私はそれを聞いて…
勝手にお兄様を"落ちこぼれ"だと見下していた。
……
性根腐ってたわ…幼い時から。
でも拍車がかかったのはここ一年。
記憶を思い出さなかったら、どんどんどんどん腐っていっていたことだろう。
前回がそうだったから。
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