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対面
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今日はいよいよ推しのマネージャーに就任する日だ。
スーツなんて入社の時以来着ていなかったが、わざわざ高いスーツを新調した。
仕事で会ったことは無いが、ファンとしての接触イベントに参加した事はある。
と言ってもライブ参加がメインで、ハイタッチ会は2回くらい。
しかも練習生時代の話なので3年以上前のことだ。
流石に俺のことは認知はしていないだろうけど、軽くファンですと伝えるのはありだろうか。
「失礼します」
いよいよ絢瀬深月のいる控え室に入る。
生で見たことは勿論あるが、ファンとしてじゃない時に見る絢瀬深月は格別だった。
やっぱり顔が好きだと心の中でサイリウムを振る。
「初めまして、本日からマネージメント担当させていただく支倉真太郎です。以前は、ADとして働いていましたがマネージャーも検討していた事はあるため未経験ですがある程度の事は理解しています。よろしくお願いします」
ハイタッチ会だと、推しを目の前にして何も話せなかったが社会人としてなら推しと話せるもんだ。
「急な事に対応していただいてありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
絢瀬深月がそう言って、手を差し出す。
無料握手イベントだ。
本当に神様お姉様ありがとうございます。
そしてなんて良い人なんだ。未経験マネージャーの俺ににこやかに微笑んでくれ、握手まで。
俺の推し流石だと感動していた。
「支倉さんは、俺のことご存知でしたか?」
ご存知も何も大ファンです。
まぁファンというのも隠すより軽く言う方が、ある程度貴方のこと知ってますよと証明になるから言ってもいいかな。
俺は本当に浅はかだった。
「はい!実は、絢瀬さんが練習生時代から応援してまして」
俺がそう言った瞬間、空気が変わった。
「は?」
さっきまでにこやかに笑っていた絢瀬深月がいない。
「何それ、お前俺のファンって事?」
俺の知る絢瀬深月は、誰にでもにこやかで、テレビ局関係者からの評判も良くて、非の打ち所が無い人物だ。
だが、今目の前にいる絢瀬深月は俺に憎しみに近い表情を向けている。
俺はADをしていたのに忘れていた。
実際見たことだってあるのに。
裏がある芸能人を。
でもまさか推しがそんな人だなんて思わない。
「い、いや!まぁ違わないんですけど、でもそのそれが目当てでマネージャーになった訳じゃないんです信じてください!」
信じられるかと言わんばかりの顔で睨まれている。
「さいっあく…つーか、俺お前と同居しろって言われてんだけど。ストーカーと同居とか無理なんだけど」
もう俺はマネージャーとしてではなくストーカー扱いされている。
「え、同居!?聞いてませんよ!」
多分姉の算段だろうが、俺は社寮で住んでいたがADを辞めることになったからと言うのがあるんだろう。
「なら社長に電話する」
俺がファンですと言わなければ、推しとの平和な同居イベントも出来たのだろうか。
自分の浅はかさにほとほと呆れます。
絢瀬深月は、スピーカーにして社長に電話した。
「え?同居解消?無理無理~」
「いやだってこいつ俺のファンだって!ストーカーですよ?そんな奴と同居なんて」
ストーカーじゃないんですが。
「え、そうなの?でもそれは無理だよぉ、だって真太郎君は七海ちゃんの弟だもん。それに深月君のマネージャーさんが辞める事になって、急遽探さないといけないところに七海ちゃんが提案してくれたからね。七海ちゃんの優しさを無下に出来ないよ~まぁ頑張ってね~」
社長は上機嫌に電話を切った。
社長も中々に強引な人だった。少し絢瀬深月に同情する。
「お前、あの支倉七海さんの弟なのか?あ、苗字同じ…確かに七海さんに似ている気がする…」
姉は事務所の稼ぎ頭なので、社長も姉に甘いことは後輩である立場の彼なら嫌でもわかるのだろう。
この事態が避けられないという事に砂漠に取り残された旅人のような絶望的な顔をしていた。
俺は俺で、推しの裏の顔を見てしまい、絶望している。
スーツなんて入社の時以来着ていなかったが、わざわざ高いスーツを新調した。
仕事で会ったことは無いが、ファンとしての接触イベントに参加した事はある。
と言ってもライブ参加がメインで、ハイタッチ会は2回くらい。
しかも練習生時代の話なので3年以上前のことだ。
流石に俺のことは認知はしていないだろうけど、軽くファンですと伝えるのはありだろうか。
「失礼します」
いよいよ絢瀬深月のいる控え室に入る。
生で見たことは勿論あるが、ファンとしてじゃない時に見る絢瀬深月は格別だった。
やっぱり顔が好きだと心の中でサイリウムを振る。
「初めまして、本日からマネージメント担当させていただく支倉真太郎です。以前は、ADとして働いていましたがマネージャーも検討していた事はあるため未経験ですがある程度の事は理解しています。よろしくお願いします」
ハイタッチ会だと、推しを目の前にして何も話せなかったが社会人としてなら推しと話せるもんだ。
「急な事に対応していただいてありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
絢瀬深月がそう言って、手を差し出す。
無料握手イベントだ。
本当に神様お姉様ありがとうございます。
そしてなんて良い人なんだ。未経験マネージャーの俺ににこやかに微笑んでくれ、握手まで。
俺の推し流石だと感動していた。
「支倉さんは、俺のことご存知でしたか?」
ご存知も何も大ファンです。
まぁファンというのも隠すより軽く言う方が、ある程度貴方のこと知ってますよと証明になるから言ってもいいかな。
俺は本当に浅はかだった。
「はい!実は、絢瀬さんが練習生時代から応援してまして」
俺がそう言った瞬間、空気が変わった。
「は?」
さっきまでにこやかに笑っていた絢瀬深月がいない。
「何それ、お前俺のファンって事?」
俺の知る絢瀬深月は、誰にでもにこやかで、テレビ局関係者からの評判も良くて、非の打ち所が無い人物だ。
だが、今目の前にいる絢瀬深月は俺に憎しみに近い表情を向けている。
俺はADをしていたのに忘れていた。
実際見たことだってあるのに。
裏がある芸能人を。
でもまさか推しがそんな人だなんて思わない。
「い、いや!まぁ違わないんですけど、でもそのそれが目当てでマネージャーになった訳じゃないんです信じてください!」
信じられるかと言わんばかりの顔で睨まれている。
「さいっあく…つーか、俺お前と同居しろって言われてんだけど。ストーカーと同居とか無理なんだけど」
もう俺はマネージャーとしてではなくストーカー扱いされている。
「え、同居!?聞いてませんよ!」
多分姉の算段だろうが、俺は社寮で住んでいたがADを辞めることになったからと言うのがあるんだろう。
「なら社長に電話する」
俺がファンですと言わなければ、推しとの平和な同居イベントも出来たのだろうか。
自分の浅はかさにほとほと呆れます。
絢瀬深月は、スピーカーにして社長に電話した。
「え?同居解消?無理無理~」
「いやだってこいつ俺のファンだって!ストーカーですよ?そんな奴と同居なんて」
ストーカーじゃないんですが。
「え、そうなの?でもそれは無理だよぉ、だって真太郎君は七海ちゃんの弟だもん。それに深月君のマネージャーさんが辞める事になって、急遽探さないといけないところに七海ちゃんが提案してくれたからね。七海ちゃんの優しさを無下に出来ないよ~まぁ頑張ってね~」
社長は上機嫌に電話を切った。
社長も中々に強引な人だった。少し絢瀬深月に同情する。
「お前、あの支倉七海さんの弟なのか?あ、苗字同じ…確かに七海さんに似ている気がする…」
姉は事務所の稼ぎ頭なので、社長も姉に甘いことは後輩である立場の彼なら嫌でもわかるのだろう。
この事態が避けられないという事に砂漠に取り残された旅人のような絶望的な顔をしていた。
俺は俺で、推しの裏の顔を見てしまい、絶望している。
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