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練習
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台本を貰ったその日、深月さんは早速台本を読み込んでいた。
ドラマで仕事なのは理解している。でもこのままいけば、深月さんの初めての相手はあの良くない噂まみれの刈谷になる。
深月さんは恐らく刈谷の噂については知らない。
他人に興味が無いだろうし、噂を鵜呑みにするタイプでもないからだ。
俺って本当に良くないな。
「俺、昔は姉と同じ道歩む予定でした。だからキッズモデルとか演技もやった事あるんですよ。深月さん、演技初めてだし練習相手になりますよ」
「え、そうなのか?じゃあお手並み拝見だな」
これは嘘ではない。
まぁやってたの20年も前の話だが。
仕事熱心なこの人なら断らないと思った。
台本を見る限り、俺の想定は当たっていた。原作通りのベッドシーンはないが、キス、軽いベッドシーンまではやる予定だ。
普通の読み合せは問題ないように思う。
演技初めてなのに、結構上手いななんて。
このドラマは1話目からキスシーンがある。
刈谷が演じる役の男が深月さんを自分の上に跨らせ、キスをせがむシーンだった。
深夜帯のドラマだから、それなりに過激なシーンはある。
「じゃあ、ここまでだな」
当然深月さんはキスシーンまで練習するつもりは無い。
でもあんたこのままだと、あんたが1番嫌いなタイプの男が初めてになるんですよ。
俺は、深月さんの腕を強く引っ張り俺の上に跨らせた。
台本と全く同じ体勢になるように。
そして深月さんの頭を寄せて、台本と同じようにキスをした。
「…は?」
深月さんは目を開いた。
俺は構わず舌を入れ込む。
「んっ…」
この人本当にそういう経験無いんだ。キスの時の息継ぎが下手。
「ちょ、な、何やってんだお前」
「何って、練習ですよ。ほら、台詞の続き」
俺はまた深月さんに口付ける。
「え、」
「もっとして…でしょ?台詞飛んじゃ駄目ですよ。ほら俺に腕回して」
「もっとして…和人さん」
俺の言う通り、深月さんは俺の首に腕を回して恍惚な表情でキスを強請る。
全く役柄と同じだ。
この人は、仕事のためならこんな事もするんだ。
俺が練習って言えば、それを受け入れるんだ。
「心がこもってないですよ、今は俺の名前呼んでください…」
「真太郎…好き…」
この人は仕事だからやってるだけだ。本心じゃない。
分かっているけど名前を呼ばれて、好きと言われるのは堪らない気持ちになった。
「俺も好き…深月さん…」
「お前、練習と言ってもき、キスシーンまでやることないだろ」
ドラマの1話の台本ではキスシーンまでだ。
俺は台本通りにして、最後まで練習を貫き通した。
「だってこういう事した事ないんですよね。撮影止まっちゃうの嫌でしょ?」
「そりゃ困るけど!でも仕事だし、ちゃんと上手くやるよ」
「それに初めてのキスが仕事って嫌じゃないですか?深月さん知らないみたいなんで教えてあげますけど、刈谷ってめっちゃ悪い噂ありますよ。クスリやってるって噂も。初めては大事にした方がいいですよ」
「いや、そ、そんなん仕事だったら仕方ないだろ?!それにだからってお前がそこまでする必要ないだろ」
「そいつより俺の方がマシでしょ?深月さん、演技未経験なのに凄い上手かったんで撮影も上手く行きますよ」
「はぁ?そ、それ言うならお前も相当演技派みたいだな?お前こそ俳優向いてるんじゃねーの」
そりゃそうだよ。だって俺のは演技じゃないんだから。
本心でやってるんだから上手いも下手もない。
「練習とは言え、手を出してしまったので俺今日ソファで寝ますね」
「えっ」
「おやすみなさい」
自分に嫌気が差した。
俺は自分の欲望を優先して、仕事熱心な深月さんを利用した。
マネージャーも失格だ。
練習なんて嘘だから。
深月さんの初めてが刈谷なんて嫌だったから。誰であっても、俺以外嫌だったから。
ドラマで仕事なのは理解している。でもこのままいけば、深月さんの初めての相手はあの良くない噂まみれの刈谷になる。
深月さんは恐らく刈谷の噂については知らない。
他人に興味が無いだろうし、噂を鵜呑みにするタイプでもないからだ。
俺って本当に良くないな。
「俺、昔は姉と同じ道歩む予定でした。だからキッズモデルとか演技もやった事あるんですよ。深月さん、演技初めてだし練習相手になりますよ」
「え、そうなのか?じゃあお手並み拝見だな」
これは嘘ではない。
まぁやってたの20年も前の話だが。
仕事熱心なこの人なら断らないと思った。
台本を見る限り、俺の想定は当たっていた。原作通りのベッドシーンはないが、キス、軽いベッドシーンまではやる予定だ。
普通の読み合せは問題ないように思う。
演技初めてなのに、結構上手いななんて。
このドラマは1話目からキスシーンがある。
刈谷が演じる役の男が深月さんを自分の上に跨らせ、キスをせがむシーンだった。
深夜帯のドラマだから、それなりに過激なシーンはある。
「じゃあ、ここまでだな」
当然深月さんはキスシーンまで練習するつもりは無い。
でもあんたこのままだと、あんたが1番嫌いなタイプの男が初めてになるんですよ。
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台本と全く同じ体勢になるように。
そして深月さんの頭を寄せて、台本と同じようにキスをした。
「…は?」
深月さんは目を開いた。
俺は構わず舌を入れ込む。
「んっ…」
この人本当にそういう経験無いんだ。キスの時の息継ぎが下手。
「ちょ、な、何やってんだお前」
「何って、練習ですよ。ほら、台詞の続き」
俺はまた深月さんに口付ける。
「え、」
「もっとして…でしょ?台詞飛んじゃ駄目ですよ。ほら俺に腕回して」
「もっとして…和人さん」
俺の言う通り、深月さんは俺の首に腕を回して恍惚な表情でキスを強請る。
全く役柄と同じだ。
この人は、仕事のためならこんな事もするんだ。
俺が練習って言えば、それを受け入れるんだ。
「心がこもってないですよ、今は俺の名前呼んでください…」
「真太郎…好き…」
この人は仕事だからやってるだけだ。本心じゃない。
分かっているけど名前を呼ばれて、好きと言われるのは堪らない気持ちになった。
「俺も好き…深月さん…」
「お前、練習と言ってもき、キスシーンまでやることないだろ」
ドラマの1話の台本ではキスシーンまでだ。
俺は台本通りにして、最後まで練習を貫き通した。
「だってこういう事した事ないんですよね。撮影止まっちゃうの嫌でしょ?」
「そりゃ困るけど!でも仕事だし、ちゃんと上手くやるよ」
「それに初めてのキスが仕事って嫌じゃないですか?深月さん知らないみたいなんで教えてあげますけど、刈谷ってめっちゃ悪い噂ありますよ。クスリやってるって噂も。初めては大事にした方がいいですよ」
「いや、そ、そんなん仕事だったら仕方ないだろ?!それにだからってお前がそこまでする必要ないだろ」
「そいつより俺の方がマシでしょ?深月さん、演技未経験なのに凄い上手かったんで撮影も上手く行きますよ」
「はぁ?そ、それ言うならお前も相当演技派みたいだな?お前こそ俳優向いてるんじゃねーの」
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本心でやってるんだから上手いも下手もない。
「練習とは言え、手を出してしまったので俺今日ソファで寝ますね」
「えっ」
「おやすみなさい」
自分に嫌気が差した。
俺は自分の欲望を優先して、仕事熱心な深月さんを利用した。
マネージャーも失格だ。
練習なんて嘘だから。
深月さんの初めてが刈谷なんて嫌だったから。誰であっても、俺以外嫌だったから。
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