熱愛報道はご勘弁

アポロ18号

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不穏

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相変わらず奇妙な関係が続いてるが、仕事でも変化があった。
深月さんが表紙を飾る時は基本ソロが多いのだが、同じ立ち位置のイケメンモデルとのW表紙の企画が出た。
よくある話ではある。
そして、少しのグラビア要素も入れるとのこと。
セクシー路線の企画だ。もちろん深月さんはモデルとしてそういった企画もよくやっていた。
だが、そういった企画でソロでは無いのは初だし相手も女性モデルではない。
相手は、深月さんと同期のモデルの橘頼人。
深月さんが美人な顔立ちなら、彼は所謂王道のイケメン。女子が好きそうな顔立ちだ。そして関西人。
俺はAD時代、橘の仕事に入ったことがある。直接的な関わりはないが正直印象は良くないし、こいつも良い噂は聞かない。
まぁ同期なら、深月さんも橘のこと知ってるし橘みたいなタイプ嫌いそうだから普通に仕事する分には問題ないか。

「というわけで、橘頼人とのW表紙の企画です。橘さんとは同期ですよね?」
「おお!同期だけど、頼人と仕事すんのは初めてかも。楽しみだなぁ」
頼人?
「仲良いんですか?」
「そりゃ同期だし。最近は行けてないけど、ちょっと前はよく飯とか行ったし」
目眩がした。
この人、橘頼人の噂知らないんだろうか…。いや、それをわかった上でも仲良くしてるのだろうか。
というか、呼び捨てにするくらい仲がいいのか、そして食事に行くくらい仲がいいのか。
まぁいくらど真面目でも、芸能界は繋がりが大事だからモデル仲間とかそりゃいるか。

早速撮影の打合せがある。そこで橘と顔合わせだ。
「頼人!」
「お、深月!久しぶりやな!」
「おう!まさか頼人とW表紙なんてな。初めてだから楽しみにしてた」
橘に対する深月さんは、まるで俺と接する時と違う。
他の人と接する接待モードでも無く、俺の時の傍若無人のオラオラ男でもない。
気のおける友人と話す時のくだけた口調。
そして満面の笑み。
そんな笑顔、俺に見せてくれた事ない。
いや、当然か。奇妙な関係とは言え俺の一方的な片想いなわけだから。
というか、もしかして深月さんこいつの事好きとかないよな?
「あれ、今日柿屋さんおらんの?」
「あぁ、マネージャー変わったんだよ」
俺は名刺を取り出し、橘に渡す。
「深月さんのマネージャーとなりました、支倉真太郎です。よろしくお願いします」
営業スマイルで挨拶した。
「え、マネージャーさんやったん?背高いしスタイルいいしばりイケメンやからモデルやと思ったわ!マネージャーなんて勿体ないなぁ」
自分も性格が悪いからわかる。
こいつはタチが悪いということが。
鼻につく関西弁。そして品定めするかのような視線。
「いえ、俺なんてお2人に比べたら全然ですので」
俺がAD時代、印象が悪いと思ったのは態度が横柄とかそういうのでは無い。
この橘という男は外面はいいのだが、マネージャーやADなどは見下し、立場のある人間に取り入るのが上手い。
なぜそんな奴が深月さんと仲が良いのかわからない。
まぁ深月さんの前でそういったところを見せていないんだろうけど。
しかし外面が良いのなら、深月さんの前でもぜひそれは貫き通して貰いたいところだ。

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