芙蓉の喋り場

高城蓉理

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 新年度が始まりましたが、皆さま如何お過ごしですか? 私は年度始めのちょっとしたマイナーチェンジで体力を削がれていますが、毎日頑張っています。
 先日は100の質問にお付き合いいただき、ありがとうございました。回答を書くのは楽しかったです。ここ一年は個人的にかなり忙しかったのですが、今年度からは少しづつ仕事をセーブしていくので、執筆も復活できたらいいなと思ってます。

 ただ一つ問題が…… 私はしばらく小説を書いていないので、すっかり書き方が分からなくなってます。普段から仕事では文章を考え、自分で喋るのを繰り返してはいますが、話し言葉と書き言葉は作成方法が違うので、切り替えが難しいところです。
 私としては最初は話し言葉の原稿を作る方が苦労はありました。ちなみに話し言葉の場合は、なるべく熟語をばらして、訓読みの言葉に置き換えます。字幕がでるような番組であれば、そこまでシビアにならなくてもいいですが、私が従事しているのは生番組。おそらくラジオ番組が一番大変かと思いますが、熟語というのは耳で聞いただけでは一瞬何のことか分からないことがあるからです。同音異義語もありますし、イントネーションで熟語を判断しないで、文脈で意味を理解する地域もあるので、訓読みの方が都合がいいわけです。
 ただ当たり前ですが熟語を使う方が圧倒的にコスパはいいです。シビアな尺との戦いのときは、少しでも文章を短くしたい葛藤とのせめぎ合いです。
 もちろん全て熟語を使わないわけではないです。一般的な単語や聞き馴染みのある単語はバンバン使いますし、少しだけ変更することもあります。
 例としては好印象という表現なら、場合によっては良い印象などに言い換えます。耳で好印象、好感触、などと言われても、万人が咄嗟にこうの響きが好きの好と理解できるかが未知数なので、それならば良いと言ったほうが無難だろうと判断するわけです。また他の例だと、嫌悪するならば、嫌がっているなどとするでしょうか。嫌悪するといわれても、前後の文脈が不完全だと(けんお)の音が嫌悪に結び付くかは分かりません。その嫌悪の単語で脳が引っ張られている間に、他の内容を聞き逃されるのはこちらとしては避けたいわけです。ただ取材相手が難読単語を発言した場合は勝手に文章を変えられないので、難しいときもあります。
 全てを訓読みにばらすわけではありませんが、どのようにしたら相手にスムーズに内容が伝わるかは、日々悪戦苦闘しています。もし興味がある方はテレビを観たり、ラジオを聞いたときに是非意識して聞いてみて下さい。


 
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