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フォーエバーフォールインラブ
キスの代償
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◆◆◆
翌翌日、小暮から社に一通の封書が届いた。
吉岡は剃刀でも送りつけられたのかと 一瞬ヒヤリとしたが、それは杞憂に過ぎなかった。
中にはSDカードが一枚と、簡単なメモが同封されていた。写真のデータなんてコピーを取れば完全に消去することなど困難だと思うが、どうやら小暮なりに誠意を見せたつもりらしい。やはりこちらを敵には回したくないということだろうか。
吉岡は封筒を手に取り、編集長室を訪れた。
既に今週は減ページで、説教を食らっている。
重ね重ね自ら叱られに行くなんて自傷行為としかいいようがないのだが、プライベートの一線を超えた内容であるから、今回の件を編集長の耳に入れないわけにもいかない。編集長は怪訝な顔つきではあったが、吉岡の説明と言い訳を特に突っ込むこともなく淡々と聞き手に回っていた。
「それで、今のところは 先方からのアクションは起こされてないんだな 」
「ええ。ツーショット写真はあちらにも握られてるでしょうから、油断はできませんが。念のため中野さんの事務所ともリスクの共有はしてあります。取り敢えずは押さえ込みはうまくいったかと。小暮も元は社員ですから、こちらを派手に敵に回すようなことはしないと思います 」
「そうか…… それなら当面は心配はいらないな。吉岡もそう気を揉むんじゃないぞ。
第一、君は私が見つけた編集者だ。今さら手放すようなこともしたくない。
なにせ、あの神宮寺アケミ先生をコントロール出来る人間はなかなかいない。僕の人を見る目は確かだったってことだ 」
「それは…… 」
吉岡は頭を下げていた。
自分のバックボーンのせいで、周りには迷惑をかけてばっかりいる。それなのに労いの声をかけてくれる編集長には、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「ところで、吉岡…… 最近変な噂まで立っているようだね 」
「へっ……? 」
吉岡には、思い当たる節が多すぎた。
思わず間の抜けた返事をしてしまい、思わず口を塞ぎ頭を上げる。
編集長は悪い笑みを浮かべていた。
「労基に訴えるらしいじゃないか。職場環境の改善を 」
「それは、周りがつくり出したフィクションです 」
「その割には、デスクの上の法律関係の本が片付く気配がないんだが 」
「ああ、バタバタしていたもので。近いうちに撤収しますから。それに僕は合法的な勤務時間内でしか労働してません。訴えるなんて訳ないでしょう 」
「……まあ 、それに関しては私からは深く突っ込まないようにしておくことにしようか。そんなことより、まだ神宮寺先生は原稿が上がっていないんだろ。締め切りは今晩までなんだから死守してもらえよ。そう毎回、印刷所を止めるな 」
「……承知しました 」
吉岡は編集長に深く一礼をすると、そのまま個室を後にした。編集長は吉岡の過去の事情を理解し週刊キャンディの編集者として声を掛けてくれた人物で、やっぱり頭が上がらない。
吉岡はデスクに戻ると、荷物をまとめ始めた。相変わらず遅筆な彼女に原稿の催促に向かわなくてはならない。だけどその足取りは、なんとなくとても憂鬱だった。
いつものように地下鉄に乗り、いつもの道を歩きマンションへと向かう。何らそのルーティーンは変わらないはずなのに、今日に限っては、朱美と顔を合わせなくない。
朱美と中野はただの友達。
しかも中野には、婚約者みたいな恋人がいる。彼女に何ら落ち度はないのに、勝手に自分だけが苛ついて終いには無理矢理キスをしたのだ。朱美からすれば酷いとばっちり、貰い事故もいいところだ。
こんなことを考えているうちに、あっという間に目的地に着いてしまった。
吉岡は深呼吸をしてから、いつもよりインターフォンを丁寧に押した。どうせまだ原稿は出来ていないだろうから、いまはプレッシャーを掛けるだけに過ぎない。だから事務的な会話をしたら、すぐに退散するつもりだった。
ベルが響いたと思ったら、室内からトコトコ足音が聞こえてくる。心臓が高鳴る気がした。
なんと声をかけよう、やっぱり気まず過ぎる……
吉岡は無意識に薄目になって、恐る恐るドアの向こうの住人を見た。
そこにいたのは、アシスタントのマリメロンだった。
「ああ、吉岡さん…… 原稿ですよね? 」
「ええ、まあ。まだ出来てないと思いますけど 」
「いえ、少し前に作業終わったところだったんです。今インクを乾かしていて。もうそろそろ平気かなと思うんで、いま持ってきますね 」
「もう…… 出来たんですか? 」
「ええ、ちょっとお待ち下さいね 」
マリメロンはそう言うと、回れ右して部屋に戻ろうとした。
朱美はどうしたのだろうか……
吉岡はもはや反射の領域で、彼女を引き留めていた。
「あのっっ…… 」
「なにか? 」
「……あっ、何でもないです、すみません 」
吉岡の表情を見たマリメロンは 何かを察したのか、少し難しい表情を浮かべて 吉岡にこう告げた。
「……アケミ先生は、いま部屋で寝てます。今回は一睡もしてないんですよ。遅れてたから、いつもならアシに任せるようなところも全部一人で作業しちゃって 」
「そう、ですか…… 」
吉岡は拍子抜けした。
避けられているわけではないのか……
でもその割には、マリメロンの表情が 妙に浮かない顔をしている。マリメロンは部屋の奥から封筒に入った原稿を持ってくると、吉岡に手渡した。中身を一読した吉岡は、マリメロンに礼を言うとそのまま玄関先で鞄に原稿をしまった。
「では、お預かりします。神宮寺先生にも宜しくお伝え下さい 」
「はい。よろしくお願いします 」
マリメロンは 笑顔で吉岡を送り出した。
吉岡は安堵と不安が織り混ぜる、複雑な気持ちで胸がいっぱいになった。
◆◆◆
「アケミ先生、吉岡さんは帰りましたよ 」
「マリメロンちゃん、ありがとう…… 無理を言ってごめん 」
朱美はマリメロンの声を聞くと、恐る恐るベランダから下の道路を覗き見た。吉岡の姿は当然見えないのだが、少ししたところで またキッチンへと戻る。
「吉岡さんは 今週は監視に殆ど来ませんでしたねー 超絶ヤバかったのに 」
「そうだね 」
言いつつ、朱美は遅い昼食のペンネを作っていた。
今週の朱美は、とにかく覇気がなかった。
そして吉岡とも顔を会わせたくないという。二人とも態度や雰囲気が怪しいし、マリメロンのイタズラ心は、かなりくすぐられていた。
「……あの先生、単刀直入に聞きますけど 」
「なっ、何? 」
「先生、吉岡さんと何かありました? 」
朱美の手元からガタンとパスタがすり抜けた。そして床一面、黄色の花が咲いたように鮮やかになる。
あっさりと図星を突かれたときには、ろくな反応ができないものだと思った。
翌翌日、小暮から社に一通の封書が届いた。
吉岡は剃刀でも送りつけられたのかと 一瞬ヒヤリとしたが、それは杞憂に過ぎなかった。
中にはSDカードが一枚と、簡単なメモが同封されていた。写真のデータなんてコピーを取れば完全に消去することなど困難だと思うが、どうやら小暮なりに誠意を見せたつもりらしい。やはりこちらを敵には回したくないということだろうか。
吉岡は封筒を手に取り、編集長室を訪れた。
既に今週は減ページで、説教を食らっている。
重ね重ね自ら叱られに行くなんて自傷行為としかいいようがないのだが、プライベートの一線を超えた内容であるから、今回の件を編集長の耳に入れないわけにもいかない。編集長は怪訝な顔つきではあったが、吉岡の説明と言い訳を特に突っ込むこともなく淡々と聞き手に回っていた。
「それで、今のところは 先方からのアクションは起こされてないんだな 」
「ええ。ツーショット写真はあちらにも握られてるでしょうから、油断はできませんが。念のため中野さんの事務所ともリスクの共有はしてあります。取り敢えずは押さえ込みはうまくいったかと。小暮も元は社員ですから、こちらを派手に敵に回すようなことはしないと思います 」
「そうか…… それなら当面は心配はいらないな。吉岡もそう気を揉むんじゃないぞ。
第一、君は私が見つけた編集者だ。今さら手放すようなこともしたくない。
なにせ、あの神宮寺アケミ先生をコントロール出来る人間はなかなかいない。僕の人を見る目は確かだったってことだ 」
「それは…… 」
吉岡は頭を下げていた。
自分のバックボーンのせいで、周りには迷惑をかけてばっかりいる。それなのに労いの声をかけてくれる編集長には、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「ところで、吉岡…… 最近変な噂まで立っているようだね 」
「へっ……? 」
吉岡には、思い当たる節が多すぎた。
思わず間の抜けた返事をしてしまい、思わず口を塞ぎ頭を上げる。
編集長は悪い笑みを浮かべていた。
「労基に訴えるらしいじゃないか。職場環境の改善を 」
「それは、周りがつくり出したフィクションです 」
「その割には、デスクの上の法律関係の本が片付く気配がないんだが 」
「ああ、バタバタしていたもので。近いうちに撤収しますから。それに僕は合法的な勤務時間内でしか労働してません。訴えるなんて訳ないでしょう 」
「……まあ 、それに関しては私からは深く突っ込まないようにしておくことにしようか。そんなことより、まだ神宮寺先生は原稿が上がっていないんだろ。締め切りは今晩までなんだから死守してもらえよ。そう毎回、印刷所を止めるな 」
「……承知しました 」
吉岡は編集長に深く一礼をすると、そのまま個室を後にした。編集長は吉岡の過去の事情を理解し週刊キャンディの編集者として声を掛けてくれた人物で、やっぱり頭が上がらない。
吉岡はデスクに戻ると、荷物をまとめ始めた。相変わらず遅筆な彼女に原稿の催促に向かわなくてはならない。だけどその足取りは、なんとなくとても憂鬱だった。
いつものように地下鉄に乗り、いつもの道を歩きマンションへと向かう。何らそのルーティーンは変わらないはずなのに、今日に限っては、朱美と顔を合わせなくない。
朱美と中野はただの友達。
しかも中野には、婚約者みたいな恋人がいる。彼女に何ら落ち度はないのに、勝手に自分だけが苛ついて終いには無理矢理キスをしたのだ。朱美からすれば酷いとばっちり、貰い事故もいいところだ。
こんなことを考えているうちに、あっという間に目的地に着いてしまった。
吉岡は深呼吸をしてから、いつもよりインターフォンを丁寧に押した。どうせまだ原稿は出来ていないだろうから、いまはプレッシャーを掛けるだけに過ぎない。だから事務的な会話をしたら、すぐに退散するつもりだった。
ベルが響いたと思ったら、室内からトコトコ足音が聞こえてくる。心臓が高鳴る気がした。
なんと声をかけよう、やっぱり気まず過ぎる……
吉岡は無意識に薄目になって、恐る恐るドアの向こうの住人を見た。
そこにいたのは、アシスタントのマリメロンだった。
「ああ、吉岡さん…… 原稿ですよね? 」
「ええ、まあ。まだ出来てないと思いますけど 」
「いえ、少し前に作業終わったところだったんです。今インクを乾かしていて。もうそろそろ平気かなと思うんで、いま持ってきますね 」
「もう…… 出来たんですか? 」
「ええ、ちょっとお待ち下さいね 」
マリメロンはそう言うと、回れ右して部屋に戻ろうとした。
朱美はどうしたのだろうか……
吉岡はもはや反射の領域で、彼女を引き留めていた。
「あのっっ…… 」
「なにか? 」
「……あっ、何でもないです、すみません 」
吉岡の表情を見たマリメロンは 何かを察したのか、少し難しい表情を浮かべて 吉岡にこう告げた。
「……アケミ先生は、いま部屋で寝てます。今回は一睡もしてないんですよ。遅れてたから、いつもならアシに任せるようなところも全部一人で作業しちゃって 」
「そう、ですか…… 」
吉岡は拍子抜けした。
避けられているわけではないのか……
でもその割には、マリメロンの表情が 妙に浮かない顔をしている。マリメロンは部屋の奥から封筒に入った原稿を持ってくると、吉岡に手渡した。中身を一読した吉岡は、マリメロンに礼を言うとそのまま玄関先で鞄に原稿をしまった。
「では、お預かりします。神宮寺先生にも宜しくお伝え下さい 」
「はい。よろしくお願いします 」
マリメロンは 笑顔で吉岡を送り出した。
吉岡は安堵と不安が織り混ぜる、複雑な気持ちで胸がいっぱいになった。
◆◆◆
「アケミ先生、吉岡さんは帰りましたよ 」
「マリメロンちゃん、ありがとう…… 無理を言ってごめん 」
朱美はマリメロンの声を聞くと、恐る恐るベランダから下の道路を覗き見た。吉岡の姿は当然見えないのだが、少ししたところで またキッチンへと戻る。
「吉岡さんは 今週は監視に殆ど来ませんでしたねー 超絶ヤバかったのに 」
「そうだね 」
言いつつ、朱美は遅い昼食のペンネを作っていた。
今週の朱美は、とにかく覇気がなかった。
そして吉岡とも顔を会わせたくないという。二人とも態度や雰囲気が怪しいし、マリメロンのイタズラ心は、かなりくすぐられていた。
「……あの先生、単刀直入に聞きますけど 」
「なっ、何? 」
「先生、吉岡さんと何かありました? 」
朱美の手元からガタンとパスタがすり抜けた。そして床一面、黄色の花が咲いたように鮮やかになる。
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