倭国女王・日御子の波乱万丈の生涯

第２章 【ヤマト軍団】と、【予言された年に生誕の４王女】

〔１７〕移動軍事国家【ヤマト軍団】

　　あの驚愕キョウガクの【皆既日食】以来、３０余年が経過していた。

かつての【タケルヒコの商団】は勇猛果敢にして剣の達人の孫の名を冠して、【ヤマト軍団】と恐れおののかれていた。

【ヤマト軍団】は、東は淡海アフミの湖ウミ（現在の琵琶湖）から、西は韓半島の【帯方郡】まで、東奔西走していた。

千余人の荷運び人達は皆、剣の達人であるばかりか【最新鋭の鋼鉄剣】で武装していた。

特に、ヤマトの両翼に控える１２人の将校達の剣の腕前たるや、あまりにも凄スサまじく、【軍団１２翼将】と讃タタえられている。

その軍団は並みの国の数千人規模の軍隊が押し寄せて来ても、びくともせず、逆に反撃に転じ、相手方を壊滅させるのが通例となっていた。



　　その【ヤマト軍団】が、大中小５０余隻を連ねて、児島に碇泊テイハクした。

児島は、瀬戸の内海ウチウミに面した、山陽道・キビ国の港である。

広大なキビ平野一帯には百数十の集落があり、そのほぼ中央部に、ひときわ大きな環濠集落があった。

その環濠集落には王家の館が十数棟、軒を連ねて、その威容イヨウを誇っていた。

キビ国王・キビトは天孫族であり、同族のヤマト王太子とは幼なじみであった。