倭国女王・日御子の波乱万丈の生涯

第７章 【王太子ハヤテ】が【ミカ】を同伴し、凱旋帰国！

〔６９〕ハヤテとミカと師匠の【夜逃げ】

　　「などと、のんびり話してる暇はないのよ！」
「殿下が、ここに到着次第、夜逃げするわよ！」


「えっ！？」
「どこへですか？」


「【倭国】しかないでしょう。」


「えっ！？」
「ワコ？ワｺク？倭国ッー！？」

ミカは、この砂浜に来る度に、両親の母国に、いずれ将来は行ってみたいと思ってはいたが、急に現実味を帯び、驚いてしまった。



　　「事の発端は、この国の我儘ワガママ・末っ子王女が、殿下を見初め、王宮官吏に引き抜こうとしたことにあるのよ！」
「商館には何度も王宮から照会が来ているし・・・つまり、殿下が【倭国人】であることは、とっくに、バレているのよ！」
「しかも、殿下に恋人がいることまでもね！」


「えっ！？」
「師兄シケイ（兄弟子）に恋人がいるんですか！？」


「何、すっとぼけているのよ！」


「あなた達が、この砂浜で、毎日毎晩、接吻キスしているのは、この界隈じゃあ、有名よ！」
「商館員も皆知っているし、暖かく見守っていたのよ！」


「そうだったんですか！？」


「勿論モチロン、王女も、はらわたが煮えくり返る思いで、それを目にしているのよ！」
「当然、『あのブス女を殺しておしまい！！』てなもんよ！」


「・・・・・・・・・！！」


「宮中で、この我儘ワガママ王女を快く思ってない官吏を買収して得た、確かな情報だけど、王宮官吏への引き抜きに失敗した王女は、殿下に求婚して、こっぴどく振られたそうよ。」
「良かったわね！ミカ！？」


「当然でスゥー！」
「私達の絆キズナは『鋭利な刃ヤイバでも、強大な権力でも、切り裂くこと能アタわず！』でスゥー。」


「まァまァ！」
「それは、それは、御馳走様！」
「それで業を煮やした王女は、ミカを亡き者にした上で、殿下を拉致して、男妾オトコメカケにするつもりだったらしいの！」