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叶わない恋
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姉は、私たちに秋元さんを紹介してから、より積極的に秋元さんとのデートを重ねているようで、ぞっこん中である。前みたく連絡が急に取れなくなるということは今のところないようで安心したが、やはり私はまだ信用できていない。
姉の幸せを応援してないみたいで嫌だが、ついつい聞いてしまう。
「お姉ちゃん、あの人本当に大丈夫なの?結構年上じゃない?」
「でも32歳だよ?10歳しか違わないし。あ、もしかして、既婚者かもって心配してる?」
「……言っちゃ悪いけど、信用できないよ」
「大丈夫だよ」
「でも、連絡取れない時期あったんでしょ?理由は何だったの?」
「それは仕事が忙しくて、海外に行ってたんだって」
「それを信じるの?」
「信じるよ。だって、こんなに好きになった人初めてなんだもん」
「信用できる根拠は?」
「……ない、けど、結婚を前提にって言ってくれてるし、ちゃんと連絡もしてくれたし、大丈夫だよ」
「もう、何言ってもダメそうだから、好きにしなよ」
「好きにするよ」
はあっ。喧嘩みたくなってしまった。でも、どうしたって信用ができない。どうにか秋元さんについて調べないと。
次の日、学校が終わった後に、私は一ノ瀬を呼んだ。
「一ノ瀬、ちょっと相談があるんだけど」
私は、秋元さんがやっぱり怪しいという話をして、一緒に秋元さんについて調べようと提案した。一ノ瀬は、快く協力してくれた。
「お姉ちゃん今日デートだってウキウキだったから、2人を尾行してお姉ちゃんと秋元さんが分かれてから秋元さんだけを尾行しよう」
「二重尾行ってやつだな」
「う、うん」
なんかちょっと表現がずれてるけど、ま、いっか。
「よし、鳳蝶さんの目を覚まさせてやる」
「その意気その意気!」
私たちは、姉と秋元さんの待ち合わせ場所へと向かった。
姉が先に到着しており、ソワソワしている様子だった。すごく楽しみにしているんだろうなと思うと、姉の幸せを信じてあげられない自分の姿に少し、嫌気が刺した。しかし、これは姉のためにやっていること、きちんとやり遂げねばと自分を激励する。
「一ノ瀬、付き合ってくれてありがとね」
「いや、逆だろ。協力してもらってるのはこっちだからな」
「一ノ瀬って、意外と優しいわよね」
「は?ば、バカ優しくねーよ」
「えー、優しいよ。最初はただのヤンキーだと思ってたけど、深く関わってみると全然違った。一ノ瀬は、心温かい人だよ」
「な、何急に語ってんだよ。あ!秋元が来たぞ」
「ほんとだ!よし、尾行開始!」
私たちは尾行を開始した。バレたら色々終わるから、絶対にバレないように細心の注意を払いながら後をつける。
一ノ瀬、辛いだろうな。お姉ちゃんのイチャイチャを見せられているんだから。ダメージが強そうなイチャイチャをしそうだったら私が対処しないと!
お姉ちゃん達は、まずランチを済ませ、映画館へ行った。そしてカフェへ入り、ゆっくりして、その後書店へと向かった。そして、夕食という流れだった。
なんというか、大人なデートだなと感じた。とりあえず、全部秋元さんが払ってたわね。ヒモっていう線はなくなったわね。
あ、やばい、イチャイチャがマックスに!
「お、おい何するんだよ!」
「い、いや、ごめん!」
一ノ瀬に見せたくないと思って、咄嗟に一ノ瀬の目を隠してしまった。一ノ瀬に手をすぐに避けられる。うわ、顔近い……。一ノ瀬って、けっこう顔整ってるわよね。まつ毛長い。って何考えてんだか私は!
「森川、俺に気遣ってくれてるんだよな。でも俺は、大丈夫だよ。そういうのも見るかもしれないって分かってて来てるから。でも、ありがとな」
「そ、そうだよね!いや、全然……」
こういう言い方もできちゃうんだ。良いやつよね、ほんと。
「あ、やばい、あっち行っちゃった!」
「追いかけるぞ!」
なんやかんやで第一弾の尾行は無事終えた。姉と秋元さんはそれぞれ分かれて帰っていった。
「一ノ瀬、ここからが本番ね」
「だなっ」
確か、秋元さんの住んでいる場所はここから3駅くらいのはず。以前話していた住所通りの駅で秋元さんは降りた。私たちもそこで降りて、後をつける。
なんだか怪しそうな通りね。一軒家が多いし、やっぱり家族持ちかしら。
いや、違う?明らかに一人暮らしの人間が住む広さのアパートに入っていった。
「森川、ここに家族がいるってことはさすがにないよな」
「そ、そうね。独り身だったってことよね?」
「そうだな。家もしっかり確認したし、帰るか」
「うん、そうだね」
一ノ瀬は、なんとも言えない表情をしていた。そりゃそうだ。好きな人の幸せが守られるという喜びと共に、自分にはチャンスがないかもしれないという悲しみのどちらも感じているのだろうから、心が苦しいに決まっている。
「一ノ瀬!」
私は、私の前を歩いている一ノ瀬を呼び止めて、頭を撫でた。私の前を歩く一ノ瀬の背中がすごく寂しそうで、触れずにはいられなかった。
「な、なんだよ急に……」
「なんとなく」
「俺のこと慰めてんのかー?全く、ほんとにお前もお人好しだよな!女子に撫でられる日が来るなんてなんか情けね~!」
一ノ瀬はそう言って、歯に噛んだ笑顔を見せてきた。
「ま、情けない一ノ瀬も見られたことだし、明日、巻き返し作戦を考えるわよー!」
「巻き返しって……。そんなの無理だろー」
「無理じゃない!千年の恋も一瞬で冷めることがあるこの世の中、努力次第でどう転がるか分からないんだから!結婚したわけでもあるまいし、本気で好きならアタックし尽くすべし!」
「森川」
「何?」
「お前ってけっこう男前だよな」
「それ女の子に言うセリフじゃないわよ~」
「わ、わりい」
「ま、とにかく明日に向けて今日は解散!また明日~」
「りょーかい!」
最後の方は少し元気を取り戻した感じだったから良かった。ほんと一途な男ね。それにしても、秋元さんはシロだったか。それならまあ、お姉ちゃんの恋も応援しないといけないわよね。でも、連絡取れなかった時期のことがどうしても引っかかるのよね。海外に急遽行くことになったからって、連絡取れなくなることなんてある?って正直思っちゃうんだよなー。完全に信じるわけにはいかないわね。もう少し様子を見よう。
姉の幸せを応援してないみたいで嫌だが、ついつい聞いてしまう。
「お姉ちゃん、あの人本当に大丈夫なの?結構年上じゃない?」
「でも32歳だよ?10歳しか違わないし。あ、もしかして、既婚者かもって心配してる?」
「……言っちゃ悪いけど、信用できないよ」
「大丈夫だよ」
「でも、連絡取れない時期あったんでしょ?理由は何だったの?」
「それは仕事が忙しくて、海外に行ってたんだって」
「それを信じるの?」
「信じるよ。だって、こんなに好きになった人初めてなんだもん」
「信用できる根拠は?」
「……ない、けど、結婚を前提にって言ってくれてるし、ちゃんと連絡もしてくれたし、大丈夫だよ」
「もう、何言ってもダメそうだから、好きにしなよ」
「好きにするよ」
はあっ。喧嘩みたくなってしまった。でも、どうしたって信用ができない。どうにか秋元さんについて調べないと。
次の日、学校が終わった後に、私は一ノ瀬を呼んだ。
「一ノ瀬、ちょっと相談があるんだけど」
私は、秋元さんがやっぱり怪しいという話をして、一緒に秋元さんについて調べようと提案した。一ノ瀬は、快く協力してくれた。
「お姉ちゃん今日デートだってウキウキだったから、2人を尾行してお姉ちゃんと秋元さんが分かれてから秋元さんだけを尾行しよう」
「二重尾行ってやつだな」
「う、うん」
なんかちょっと表現がずれてるけど、ま、いっか。
「よし、鳳蝶さんの目を覚まさせてやる」
「その意気その意気!」
私たちは、姉と秋元さんの待ち合わせ場所へと向かった。
姉が先に到着しており、ソワソワしている様子だった。すごく楽しみにしているんだろうなと思うと、姉の幸せを信じてあげられない自分の姿に少し、嫌気が刺した。しかし、これは姉のためにやっていること、きちんとやり遂げねばと自分を激励する。
「一ノ瀬、付き合ってくれてありがとね」
「いや、逆だろ。協力してもらってるのはこっちだからな」
「一ノ瀬って、意外と優しいわよね」
「は?ば、バカ優しくねーよ」
「えー、優しいよ。最初はただのヤンキーだと思ってたけど、深く関わってみると全然違った。一ノ瀬は、心温かい人だよ」
「な、何急に語ってんだよ。あ!秋元が来たぞ」
「ほんとだ!よし、尾行開始!」
私たちは尾行を開始した。バレたら色々終わるから、絶対にバレないように細心の注意を払いながら後をつける。
一ノ瀬、辛いだろうな。お姉ちゃんのイチャイチャを見せられているんだから。ダメージが強そうなイチャイチャをしそうだったら私が対処しないと!
お姉ちゃん達は、まずランチを済ませ、映画館へ行った。そしてカフェへ入り、ゆっくりして、その後書店へと向かった。そして、夕食という流れだった。
なんというか、大人なデートだなと感じた。とりあえず、全部秋元さんが払ってたわね。ヒモっていう線はなくなったわね。
あ、やばい、イチャイチャがマックスに!
「お、おい何するんだよ!」
「い、いや、ごめん!」
一ノ瀬に見せたくないと思って、咄嗟に一ノ瀬の目を隠してしまった。一ノ瀬に手をすぐに避けられる。うわ、顔近い……。一ノ瀬って、けっこう顔整ってるわよね。まつ毛長い。って何考えてんだか私は!
「森川、俺に気遣ってくれてるんだよな。でも俺は、大丈夫だよ。そういうのも見るかもしれないって分かってて来てるから。でも、ありがとな」
「そ、そうだよね!いや、全然……」
こういう言い方もできちゃうんだ。良いやつよね、ほんと。
「あ、やばい、あっち行っちゃった!」
「追いかけるぞ!」
なんやかんやで第一弾の尾行は無事終えた。姉と秋元さんはそれぞれ分かれて帰っていった。
「一ノ瀬、ここからが本番ね」
「だなっ」
確か、秋元さんの住んでいる場所はここから3駅くらいのはず。以前話していた住所通りの駅で秋元さんは降りた。私たちもそこで降りて、後をつける。
なんだか怪しそうな通りね。一軒家が多いし、やっぱり家族持ちかしら。
いや、違う?明らかに一人暮らしの人間が住む広さのアパートに入っていった。
「森川、ここに家族がいるってことはさすがにないよな」
「そ、そうね。独り身だったってことよね?」
「そうだな。家もしっかり確認したし、帰るか」
「うん、そうだね」
一ノ瀬は、なんとも言えない表情をしていた。そりゃそうだ。好きな人の幸せが守られるという喜びと共に、自分にはチャンスがないかもしれないという悲しみのどちらも感じているのだろうから、心が苦しいに決まっている。
「一ノ瀬!」
私は、私の前を歩いている一ノ瀬を呼び止めて、頭を撫でた。私の前を歩く一ノ瀬の背中がすごく寂しそうで、触れずにはいられなかった。
「な、なんだよ急に……」
「なんとなく」
「俺のこと慰めてんのかー?全く、ほんとにお前もお人好しだよな!女子に撫でられる日が来るなんてなんか情けね~!」
一ノ瀬はそう言って、歯に噛んだ笑顔を見せてきた。
「ま、情けない一ノ瀬も見られたことだし、明日、巻き返し作戦を考えるわよー!」
「巻き返しって……。そんなの無理だろー」
「無理じゃない!千年の恋も一瞬で冷めることがあるこの世の中、努力次第でどう転がるか分からないんだから!結婚したわけでもあるまいし、本気で好きならアタックし尽くすべし!」
「森川」
「何?」
「お前ってけっこう男前だよな」
「それ女の子に言うセリフじゃないわよ~」
「わ、わりい」
「ま、とにかく明日に向けて今日は解散!また明日~」
「りょーかい!」
最後の方は少し元気を取り戻した感じだったから良かった。ほんと一途な男ね。それにしても、秋元さんはシロだったか。それならまあ、お姉ちゃんの恋も応援しないといけないわよね。でも、連絡取れなかった時期のことがどうしても引っかかるのよね。海外に急遽行くことになったからって、連絡取れなくなることなんてある?って正直思っちゃうんだよなー。完全に信じるわけにはいかないわね。もう少し様子を見よう。
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