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「おお、わかった。聖女を大事に至そう。ずっと愛してやるわ」
「では殿下、今から聖女選出致しますが決して約束を違えませぬように」
しつこく念を押した神殿長は聖女選出のために聖宝を高く掲げた。
伝承に、聖宝は精霊からの授かり物。精霊の加護持ちに反応する水晶玉とある。聖女選出はこの聖宝を使って成されるのだ。
皆、固唾を呑んで聖宝に見入いる。これから「何が起こるのか」期待が膨らむ。
カランは静かに成り行きを見守る。
『あっ、婚約破棄の返事してなかった。破棄じゃなくて解消にして欲しい』と呑気に考えながら。
この茶番の結末を想像するカランは込上げる笑いをグッと堪えて耐えていた。
傍から見れば悲しさを堪える美少女の出来上がりだ。
掲げた聖宝がキラリと輝き、それに呼応したかのようにある女性の周りがキラキラと光り出したのだ。
幻想的な光に誘われた神殿長はその女性の元に寄り聖宝に触れさせた。
すると、聖宝はカッと閃光し聖女はこの人だと言わんばかりに輝いたのだ。
「おおお! 聖宝がお認めなさいました。聖女様ですな!」
なんと今年はいないと思われた聖女がいたのだ。
一瞬、場内に「はっ? あれが?」「うそだろう…」どこか非難めいた声が上がる。
だが『取り敢えずの聖女だ。ここは喜んでおこう』取り繕うのは貴族の十八番。腐っても貴族。阻喪はしない。
指名された女性も周囲も、神殿関係者も皆歓喜の声を上げ祝言を述べる。
「おめでとうございます!」「我が国もこれで安泰ですな!」「素晴らしい精霊の加護ですわ!」
騒然とした場内でウイリアムだけが「ま、待て! 待つのだ! 其の者は聖女ではない!」と声を荒げ否定した。全力で真向否定だ。
「殿下、往生際が悪うございます。聖宝が認めました。間違いございません」とは有無を言わせない神殿長の圧だ。顔が怖い。
殿下と聖女認定された女性を交互に見やる周辺貴族は『うわ~ これは‥…』と思うも、この状況を作ったのが他ならぬウイリアムだ。
貴族は憐憫の情を浮かべるも『自業自得か』と浅はかな王子殿下に呆れ果てた。
必死で拒絶するウイリアム。自分で誓約したのだ。逃れられない。
この愚かな王子殿下は教訓として若者の心にいつまでも残ることとなった。
『浅はか者は馬鹿を見る』と。
まだ混乱を来たす場内を沈めたのは「ここに宣言する。ウイリアムと今選ばれた聖女の婚姻を認める。これは王命だ。受け入れよ」国王陛下の命令だった。
わっと貴族たちの歓声が上がった。取り敢えず決まって良かったと安堵する貴族達。色々な思惑のなかの一件落着だ。『取り敢えず喜んでおけ』である。
王命とされた以上、ウイリアムに否と言えない。
粛々と受け入れるしか道はない。
絶望し青褪めた死人のような表情のウイリアム。
その彼とは正反対に満面の笑みを綻ばす今代の聖女。
見事なアンバランスな今世紀最大の大物カップル爆誕だ。
周囲の者が寄越す視線の中には侮蔑も混じる。
「では殿下、今から聖女選出致しますが決して約束を違えませぬように」
しつこく念を押した神殿長は聖女選出のために聖宝を高く掲げた。
伝承に、聖宝は精霊からの授かり物。精霊の加護持ちに反応する水晶玉とある。聖女選出はこの聖宝を使って成されるのだ。
皆、固唾を呑んで聖宝に見入いる。これから「何が起こるのか」期待が膨らむ。
カランは静かに成り行きを見守る。
『あっ、婚約破棄の返事してなかった。破棄じゃなくて解消にして欲しい』と呑気に考えながら。
この茶番の結末を想像するカランは込上げる笑いをグッと堪えて耐えていた。
傍から見れば悲しさを堪える美少女の出来上がりだ。
掲げた聖宝がキラリと輝き、それに呼応したかのようにある女性の周りがキラキラと光り出したのだ。
幻想的な光に誘われた神殿長はその女性の元に寄り聖宝に触れさせた。
すると、聖宝はカッと閃光し聖女はこの人だと言わんばかりに輝いたのだ。
「おおお! 聖宝がお認めなさいました。聖女様ですな!」
なんと今年はいないと思われた聖女がいたのだ。
一瞬、場内に「はっ? あれが?」「うそだろう…」どこか非難めいた声が上がる。
だが『取り敢えずの聖女だ。ここは喜んでおこう』取り繕うのは貴族の十八番。腐っても貴族。阻喪はしない。
指名された女性も周囲も、神殿関係者も皆歓喜の声を上げ祝言を述べる。
「おめでとうございます!」「我が国もこれで安泰ですな!」「素晴らしい精霊の加護ですわ!」
騒然とした場内でウイリアムだけが「ま、待て! 待つのだ! 其の者は聖女ではない!」と声を荒げ否定した。全力で真向否定だ。
「殿下、往生際が悪うございます。聖宝が認めました。間違いございません」とは有無を言わせない神殿長の圧だ。顔が怖い。
殿下と聖女認定された女性を交互に見やる周辺貴族は『うわ~ これは‥…』と思うも、この状況を作ったのが他ならぬウイリアムだ。
貴族は憐憫の情を浮かべるも『自業自得か』と浅はかな王子殿下に呆れ果てた。
必死で拒絶するウイリアム。自分で誓約したのだ。逃れられない。
この愚かな王子殿下は教訓として若者の心にいつまでも残ることとなった。
『浅はか者は馬鹿を見る』と。
まだ混乱を来たす場内を沈めたのは「ここに宣言する。ウイリアムと今選ばれた聖女の婚姻を認める。これは王命だ。受け入れよ」国王陛下の命令だった。
わっと貴族たちの歓声が上がった。取り敢えず決まって良かったと安堵する貴族達。色々な思惑のなかの一件落着だ。『取り敢えず喜んでおけ』である。
王命とされた以上、ウイリアムに否と言えない。
粛々と受け入れるしか道はない。
絶望し青褪めた死人のような表情のウイリアム。
その彼とは正反対に満面の笑みを綻ばす今代の聖女。
見事なアンバランスな今世紀最大の大物カップル爆誕だ。
周囲の者が寄越す視線の中には侮蔑も混じる。
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